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待ち遠しい大谷の実戦、現状分かるのは?
データで見る二刀流への挑戦
4シームの平均速度はメジャー選手と比較してもトップクラスの大谷
4シームの平均速度はメジャー選手と比較してもトップクラスの大谷【Getty Images】

 季節外れの感はあるが、米国には感謝祭の日(11月の第4木曜)にクリスマスツリーを飾り、その周りにおじいちゃんやおばあちゃん、親戚らから順次届くプレンゼントを置いておき、クリスマスの朝に開ける――という家庭が多い。


 ただ、子供にしてみれば、たまったものではない。我慢して待つからこそクリスマスがより特別になるのかもしれないが、早く開けたい、早く遊びたいが本音ではないだろうか。


 赤や緑の包装紙に目が行くたび、はやる気持ちを抑えなければならない。


 話変わって――。


 3月9日(現地時間)から、米アリゾナ州フェニックスでセイバー(SABR/米国野球学会)のカンファレンスが行われる。米国内にとどまらず、国外からも多くのアナリストが集まるが、そんな彼らは、大谷翔平(エンゼルス)が2月24日のオープン戦初登板で最速97マイル(約156キロ)をたたき出したと聞いて、何を思ったのだろう。


 ひょっとしたら、彼らは子供の頃に味わったクリスマス前のじれったさを、思い起こしていたのではないか。


 彼らが知りたがっているであろう、さらなる詳細なデータを調べるには、投球の回転数などを弾き出す「Statcast」というシステムが不可欠。しかしアリゾナのキャンプ地の場合、ダイヤモンドバックスとロッキーズが共有するソルトリバー・フィールドにしか設置されていない。27日、大谷はその球場で打席に入ったが、わずか3打席。3打席目に内野ゴロを打ったときの打球の初速は判明しているものの、まだまだ情報量は限られる。また、そのマウンドに立つ可能性は見えていない。


 おそらくアナリストたちはシーズンが始まるまで、目の前の興味深い対象をもどかしい思いで見つめるしかない。


 だが、大谷が北海道日本ハム時代に残した一部のデータは明らかになっている。昨年12月、MLBのアナリスト、マイク・ペトリエーロ氏が入手したものを大リーグ公式ページで紹介した。今回はそこで明かされている数字を元に、少々比較を試みたい。

平均球速ではメジャートップクラス

 まずは4シームファストボール(以下4シーム)のスピンレート(回転数)について。

 本来、スピンレートだけでは、球質を判断することは難しく、縦横の動きも重要になってくるが、ペトリエーロ氏によれば、大谷の2017年平均は2301回転(1分間)だったという。


 これはミサイルの弾道追尾システムを応用した計測機器「トラックマン」の値で、これから比較するのは、それをベースに開発されたStatcastの数値だが、投球データに関しては、同じと考えていい。そのStatcastのデータを検索できるのが「baseball savant」というサイトだが、大リーグの先発投手に絞って4シームの平均回転数を調べると(16、17年で合計250球以上の投手を対象)、最高値はタイソン・ロス(パドレス)の2553回転で、2位がジャスティン・バーランダー(アストロズ)の2551回転だった。そして、カブスのダルビッシュ有が2507回転で6位となっている。


 2500回転以上は6人で、2400回転以上だと38人。2300回転以上になると97人で、大谷は97位タイに相当する。こうして見ると、先発投手の平均値(2247回転)よりは高いが、飛び抜けているわけではない。


 一方で、球速に関しては、突出していた。


 同記事に掲載されていた大谷の4シームの平均球速は97.5マイル(約157キロ)。回転数を調べたのと同じ条件(16、17年で合計250球以上の投手を対象)で、先発投手の4シームの平均球速を調べると、92.7マイル(約149キロ)だった。


 平均球速1位はノア・シンダーガード(メッツ)の98.6マイル。2位がネーサン・イオバルディ(レイズ)の97.7マイル、3位がルイス・カスティーヨ(レッズ)の97.5マイルで、大谷は3位タイということになる。終盤になっても100マイルを記録するルイス・セベリーノ(ヤンキース)が97.3マイルで4位だが、いずれにしても大谷の平均球速は、大リーグの先発陣の中では3本の指に入る。


 やはり、球速がすべてではないが、ここまで来ると努力ではいかんともしがたい能力の高さがうかがえる。

丹羽政善
丹羽政善

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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