【DEEP】中井りんは完勝で堂々“主役”宣言! 元谷は勝利でRIZIN再出撃アピール

長谷川亮

中井りんが1年2カ月ぶりの試合でTKO勝利。ブランクを感じさせない強さを見せた 【写真:田栗かおる】

「DEEP 82 IMPACT」が24日、東京・ディファ有明で開催された。今大会では1年2カ月ぶりの試合となる中井りん、10カ月ぶりの元谷友貴、7カ月ぶりの長谷川賢と、再スタートを期する選手が多く出場。新たな舞台で、あるいは再起戦として、それぞれが持ち味と強さを見せ激闘を繰り広げた。

中井はブランク感じさせない1回TKO勝利

1ラウンドTKO勝利を飾り、堂々と女子格闘技界の“主役”になると宣言 【写真:田栗かおる】

 16年12月のRIZINで村田夏南子に一本勝ちして以来の試合となった中井は、韓国のキム・ヨンギと対戦。ヨンギは昨年9月KINGレイナに敗れたものの(一本負け)、12月には韓国で世志琥を降している(判定勝ち)。

 テーマ曲は変えることなく、コスチュームも以前のイメージのまま入場した中井は、サウスポーのヨンギに対し開始から的確にジャブを当てていく。そしてヨンギの左強打を避けるためフットワークで左回りし、そこからさらに右ストレート、左フックと当てていく。右のパンチはストレート、クロス、スイングフックと軌道を変えて打ち分け、以前よりパンチの技術と精度が高まった印象を受ける。

 打撃戦を優位に進めた中井は1ラウンド後半タックルで出るとヨンギをテイクダウンし、そこからマウントに移ってヒジを連打で振り下ろし、レフェリーはここで試合をストップ(1ラウンド4分37秒 TKO)。復帰戦を完勝で終えた中井はマイクを持つと佐伯繁代表とファンに感謝を述べ、「これからもDEEPを盛り上げます」と続けた後で、代名詞であるバク宙を2回決め金網を後にした。

 大会後のバックステージで中井は「前から(試合間隔が)空くことはあったので、みなさんが思うほどブランクは気にならなかった」と試合を振り返り、「(女子格闘技の)主役になります」と堂々宣言。また対戦を迫っている渡辺華奈に関しては、「オファーを頂いた訳ではないので分からないですけど」と前置きをした上で、「いつでもやります」と迎え撃つ構えを見せた。

元谷は激しい打撃戦を判定で圧勝

10カ月ぶりの試合となった元谷友貴は激しい打撃戦を制し、判定で勝利 【写真:田栗かおる】

 昨年4月にRIZINで堀口恭司と対戦し判定で敗れた元谷は、その後ブラジルへ飛びシュートボクセで武者修行を行い、そこからの復帰戦で韓国のビョン・ジェウンと対戦した。ビョンは16年8月に、DEEP2階級王者である今成正和と対戦し判定で破っている20歳の新鋭。試合は激しい打撃戦に終始する。

 シュートボクセで磨いた技術を確認する意味合いと「相手もグラウンドに行かなかったし、打撃で攻めました」という元谷は、頭を振りながら右ストレート・左フックと繰り出しビョンをとらえるが、自身も被弾し鼻周辺を紅潮させる。

「このレベルで打撃で勝てなかったら、この先はないと思った」と、そんな思いがあったと話す元谷は、被弾があっても倍返しとばかりにパンチをまとめて攻勢を取る。ビョンは顔から出血し、血染めの打撃戦となる。

 打撃にタックルを織り交ぜるビョンに、時折テイクダウンを喫したり金網へ押し込まれた元谷だが、大きく劣勢となる場面は作らせない。最終3ラウンドも右フック・左フックと繋いでビョンをグラつかせるなど、優勢で終了。文句なしの判定3−0で勝利すると、「もうちょっと成長していくんで榊原さん、またRIZINよろしくお願いします」と大舞台への再出撃をアピールした。

水野が約11年半の苦闘を実らせ初戴冠

水野竜也が約11年半の苦闘を実らせDEEPミドル級王座初戴冠 【写真:田栗かおる】

 大幅減量を行い出場したDEEPウェルター級GPで決勝へ進むも、決勝で偶発的なバッティングにより試合続行不可能となり負傷判定負けを喫した不運の長谷川は、林源平を相手に危なげなく試合を進め、1ラウンド3分09秒、肩固めで一本勝ち。「ミスのない試合をする練習をしてきました」という通り、盤石な展開で勝利した。

 メインでは前王者RYOが返上した王座を懸け、奥野泰輔と水野竜也による第9代DEEPミドル級王座決定戦を実施。ひたすら前に来る奥野をグラウンドへ持ち込み、バックについてスリーパーを狙う水野だが、奥野は腕を引き剥がして極めさせない。

 水野が有利に進めながらも判定決着かと思われた試合だったが、水野は最後まで一本への執着を捨てず、3ラウンド終盤遂にスリーパーをガッチリ極めると奥野がタップ(3ラウンド4分34秒 チョークスリーパー)。06年9月にプロデビューした水野が約11年半の苦闘を実らせ初戴冠を果たした。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント