宮原と坂本の表彰台入りは可能か? 安藤美姫が平昌五輪の女子SPを解説
完璧な演技をしたザギトワ選手
「完璧な演技」をして、世界最高得点で首位に立ったザギトワ 【写真:ロイター/アフロ】
3回転ルッツ+3回転ループのコンビネーションや、その他の部分でも完璧な演技をしていました。特に3回転ルッツ+3回転ループはすごく難しいコンビネーションなので、それを大舞台で軽くこなせるというのは、相当な練習を積んできたのだと思います。表情を見ていても、自信を持って演技していました。スピンやステップにしてもポジションが美しく、きちんとレベルも取っています。ジャンプに加えて、そういう部分もザギトワ選手の強みだと思います。
SP2位のメドベージェワ選手はさすがの演技でした。ただ、普段はもう少しコンビネーションのランディングが流れていますし、スピード感もあるので、硬くなっていた部分もあったと思います。とはいえ、ザギトワ選手との差はわずかです。2人の選手が五輪できちんと強さを発揮してきたという印象です。
コストナー選手はリンクの空気感を変える
「リンクの空気感を変える」というコストナーは、ジャンプにミスは出たものの、挽回可能な6位につける 【写真:ロイター/アフロ】
コストナー選手はジャンプを失敗してしまったのですが、それでもあそこまで評価されるのは、氷上での雰囲気づくりやスケーティングスキルの高さによるものです。コストナー選手は最初の動きから雰囲気を作るのが本当にうまいですし、リンクの空気感を変えるという意味で、人の心に残る演技をします。そして、それが女子フィギュアの良いところでもあります。女子フィギュアは「冬季五輪の華」と言われています。そう言われるのも、コストナー選手の演技を見れば分かるのではないでしょうか。
メダル争いのポイントは、まずミスをしないことが第一です。点差がさほどないので、今の採点だとフリーでひっくり返すことは十分に可能です。この6人がどれだけ自分の力を発揮して、自分らしく平昌のリンクで輝けるか。それがメダルの色を変えるポイントになることでしょう。トップ6には誰にでもチャンスがあると思います。
(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)