アイホ女子、パワー不足と得点力の強化を 元代表監督の八反田孝行氏が解説
女子日本代表「スマイルジャパン」はスイスとの順位決定戦に敗れ、2度目の五輪は6位に終わった 【写真:ロイター/アフロ】
日本女子は14日の予選ラウンド最終戦で韓国と北朝鮮の合同チーム「コリア」に4−1で勝利すると、続く18日の5−8位順位決定予備戦でスウェーデンに延長戦の末に2−1で勝利し、予選ラウンドのリベンジを果たした。
そして5−6位決定戦となったスイス戦では、序盤に1点を失うが、その後は一進一退の攻防が続く。ペナルティーで数的優位をもらえるパワープレーのチャンスもあったが、日本はそこで得点を奪えず。そのまま試合終了となり、有終の美を飾ることはできなかった。
今回の戦いについて、元日本女子代表監督で、現在は日本アイスホッケー連盟の強化本部長を務める八反田孝行さんに解説してもらった。
まだ「メダル」には一歩足りなかった
「メダル」を目標に掲げていたが、まだまだその実力には足りなかった 【写真:ロイター/アフロ】
「メダルを狙う」ということが、そう簡単なことではないと分かったと思いますし、現実的な目標から見ると、少し高い設定だったと選手たちも分かったと思います。(大会前は)選手たちも口に出して「メダルを狙います」と言って、自分たちを鼓舞する意味でも明言していました。実際、試合を見ていてソチ五輪からの4年間の成長は大きいと感じましたが、やはり結果的には、1つ1つの力強さや試合運びを見ると、メダルに到達するだけの力はまだ一歩なかったと率直に思いました。
――5−6位決定戦ではスイスと2度目の試合を戦ったわけですが、スコア的には0−1と予選ラウンドより接戦を演じました。この試合におけるスマイルジャパンの戦いぶりは?
決して良い出来ではなかったです。(連戦による)目に見えない疲れなどもあったかもしれませんが、前回のスウェーデン戦もどちらかというと最高の状態で臨めた試合ではありません。終盤に来て、何かいまひとつ自分たちのプレーができていないところがあったかと思います。
スイスが日本の特徴を消してきた
スイスは体を張って日本の良さを潰しにきていてた 【写真:ロイター/アフロ】
私も彼女たちのプレーをずっと見てきていますので、やはり最高に良い状態のときと現在を比べると、現状の彼女たちの1つ1つのプレーというのが、一番良い状態のときではありませんでした。
――どんな点がいつもとは違うと感じられた部分でしょうか?
これは相手があってのものですから、相手によって力を発揮できたりできなかったりします。それは今大会のほかの試合を見ていてもよく分かります。どんなに力があるチームでも、相手によっては自分たちのプレーができなくなります。ですから一概に彼女たちが原因というわけではありませんが、やはり五輪という雰囲気や、大舞台の試合、もしくは相手がメダルを狙うようなチームだったりすると、自分たちのプレーができなかったというよりも、相手がプレーをさせてくれなかった部分もあったかと思います。
例えば今回のスイス戦で言いますと、相手のゴールキーパー(ジャニーン・オルダー)が非常に良い選手なのですが、その選手を脅かすようなプレーができませんでした。シュートこそ日本の方が多いのですが、簡単にキーパーが防いでしまうシュートも多く、どちらかというとスイスの方がヒヤッとさせるシュートを放ってきました。そこはゴール前に選手が入って、スピードやパワーのあるプレーができなかったのもあります。ゴールに向かって突進していく勢い、スピードも日本は足りなかったです。逆にスイスはそのようなプレーを日本にさせず、その前の段階で体を張って1対1から危険なゾーンに入れてくれませんでした。
――スイスが日本を研究し得意とするプレーをさせなかったということですね。
そうですね。ですから予選ラウンドでは1−3という結果でしたが、日本は第1ピリオドでスイスを圧倒しましたし、第3ピリオドの終盤も日本が押し気味で試合をしました。そのあたりの修正をスイスがしてきたと思います。簡単にゴール前の危ないゾーンに日本を入れさせないようにしていましたね。