加藤条治「自分を信じて」臨んだ五輪 4度目の挑戦“金”届かずも清々しく
「金メダル」だけを目指して挑んだレース
4度目の挑戦も金メダルには届かなかった加藤、しかしその表情は晴れやかだった 【写真:松尾/アフロスポーツ】
「金メダル」だけを目指して挑んだレース。12組のアウトスタートだった加藤は、いきなりフライングを取られてしまう。「正直、不安は残りました。でもスタートの音をしっかり聞いてから出れば問題ないと思っていたので、それに集中しました」。2回目はうまくスタートが決まり、最初の100メートルを同走の高亭宇(中国)に次ぐ全体2位の9秒53で通過した。
しかし、最初のカーブ中盤で「左足が1度思い切り抜けてしまった」と加藤。そのミスでトップスピードに到達するのが遅れ、「最後の体の動きが渋くなった」と悔やんだ。同走の高亭宇に遅れを取り、この時点で2位と、金メダルの可能性がついえた。その後も4選手が加藤のタイムを上回り、4度目の出場となった平昌五輪は6位で終戦した。
「レース前はかなり調子も上がってきて、ようやくここに来てメダル圏内まで入ったと思ったんですけど、最初のカーブで大きなミスがあって届きませんでした。悔しい気持ちはありますが、過去の五輪と違って清々しさもあります。ここまでの過程や、自分でチャレンジしてきたことの充実度が非常に高いものでした。それは自分の頑張りだけではなく、周りからのサポートをものすごく感じていたからだと思います」
そう語る加藤の表情は晴れやかだった。
シーズン開幕前に立てたプラン
五輪の1レースだけに向けて加藤は「自分を信じて」ピークを持ってきた 【写真:松尾/アフロスポーツ】
昨年3月に、03年に入社した日本電産サンキョーを退社。今季開幕前の夏ごろは両ひざの状態が思わしくなく、トレーニングもまともにこなせない状態だった。
「スケートに大切な屈伸運動をほぼ避けていたくらいです。スクワットなどはするんですけど、ひざの曲げ方は違うし、基本的なウエートトレーニングはしていても、スケートにつながる動きは全くせずに夏を過ごしてきました」
そんな中、9月に新しい所属先(博慈会)が決定。応援してくれる人も増えた。加藤は平昌五輪に向け、今季は段階を踏んで状態を上げていくプランを立てる。
「以前のようにシーズン頭からずっと勝ち続けていくことは、まず不可能だと自分で整理しました。前半戦は絶対に結果を求めてはいけない。今までの基本的なウエートトレーニングを、少しずつスケートにつなげていく作業に集中する。そして五輪選考会の段階で、ぎりぎりに選ばれるところまで持っていこうと思っていました」