宇野昌磨「五輪でやり残したことはない」 一夜明け、気持ちは次の世界選手権へ

スポーツナビ

一夜明け、メダリスト会見に臨んだ宇野昌磨 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 平昌五輪フィギュアスケートの男子シングルで銀メダルを獲得した宇野昌磨(トヨタ自動車)が一夜明けた18日、メダリスト会見に臨んだ。

 ショートプログラム3位で迎えたフリースケーティング(FS)は最終滑走者として登場した宇野。冒頭の4回転ループで転倒したものの、その後は演技を立て直し、FSで202.73点、合計306.90点で2位に入った。

 初出場の五輪で強心臓ぶりを見せた宇野は、会見でも五輪を「ひとつの試合」と語り、帰国後は3月の世界選手権に向けて、今回見つかった課題に取り組んでいきたいと、早くも次を見据えていた。

明日、明後日から練習に取り組みたい

五輪で課題は見つかったが「やり残したことはあまりない」と宇野は語った 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――メダル獲得から明けた今の気持ちを聞かせてください。

 メダルをもらってからしばらく経ちますが、変わらず五輪での2位という結果にあまり実感はないですが、2位という結果はうれしいです。

――これからはどういう目標を持ちたいですか? しばらく休むか、すぐに競技に取り組むか教えてください。

 まだ今シーズンは終わっていないので、世界選手権に向けて今日(日本に)帰るので、また明日、明後日から練習に取り組んでいきたいなと思っています。今回見つかった課題として、羽生結弦選手(ANA)やハビエル・フェルナンデス選手(スペイン)のようなジャンプの完成度の高さというものが、僕に一番足りていないと実感したので、そういったところを来シーズンに向けても、そして今季の世界選手権に向けても取り組んでいくところかなと思います。

――日本には世界的に人気のあるものがたくさんありますが、日本で一番人気のあるものは何でしょうか? 羽生結弦選手でしょうか?

 本当にその通りだと思います。僕が思い当たる中で一番人気というか、羽生結弦選手は誰でも知っている人なんじゃないかなと思います。

――今回の五輪で何に勝って、何に負けたのか。4年に1度の大会ではありますが、特別な大会ではないとおっしゃっていました。五輪で残った宿題があれば教えてください。

 五輪に残したものは何もないかなと思っていて。今回見つかった課題はもちろん、先ほども言った通りあるんですけれど、それは五輪での課題ではなくて、ひとつの試合として、今後に必要な課題であって、やり残したことはあまりないかなと思います。

――周りの方の反応は? まず弟さんはどんな反応をされたのか? コーチやご家族ですごい反応をされた方がいたら教えてください。

 まず、弟とは全く連絡を取っていなくて、何も来ていなくて、会ったとしても何も言われないと思います。多分、家族のみんなは五輪で銀メダルを取ったことより、五輪で練習してきたことを出せたということに強く喜んでいると思いますけれど、まだ連絡はありません。

 多分、(自分自身が)連絡を返さないので連絡が来ないのだと思います(笑)。友達からはたくさん「おめでとう」という言葉をいただきました。(お祝いの連絡には)なるべく手短に返させていただきました。

「印象的で感動したのは、ネイサンのフリーでの演技」

宇野は印象に残った選手として、フリーで巻き返したネイサン・チェンを挙げた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――日本に帰ったらいろいろな人が注目して、声をかけられると思います。メダリストとして見られることに対してどう感じますか?

 うーん……でも、そんなに何も変わらないかなと思います。メダリストになったからといって、何かが変わるとは思っていないですし、何も僕も変わらないですし。実際に人と会う機会も、リンクと家を移動するだけなので、あまり(人には)会わないので本当に日常生活は何も変わらないんじゃないかなと思っています。

――自分の演技の前に他の選手の演技をご覧になったとおっしゃっていました。印象に残った演技、印象に残ったことがあれば教えてください。

 これは見ていなかったので、結果を聞いてすごくうれしかったのは、ネイサン(・チェン)がショートで思うような演技ができなかったけれど、フリーであれだけの点数、あれだけの演技をしたという結果を聞いた時に、今回の五輪で僕は一番感動しましたね。他の選手もたくさん良い演技をしている中で、僕が一番やはり印象的で感動したのは、ネイサンのフリーでの演技でした。

――ネイサン選手のフリーを受けて、何か刺激を受けたことはありますか? 自分はこうしてみたいと思ったことがあれば教えてください。

 単純に僕はうれしかったですし、感動したという気持ちはありましたけれども、刺激といったものは特にないですね。ネイサン選手の実力が本来、ああいう演技だと僕は思っているので、僕は刺激というよりも、ショートがあまりうまくいかなかった時にフリーがうまくいったことがうれしかったです。

「まだまだ僕の実力が羽生選手に劣っている」

メダリスト会見でねじれたリボンを羽生結弦に直してもらう宇野 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――「羽生結弦選手に勝つことが僕の唯一のスケートの目標」と去年からおっしゃっています。今回、銀メダルになって悔しいのか、まだ追いかけられるワクワクがあるのか、どちらの気持ちでしょうか? また、勝てそうだなという手応えを、そろそろ感じているのか教えてください。

 今回の結果について、僕はあまり悔しいとは思っていなくて、実力の差が完全に結果に出たと思っています。追いかける立場というのはとても楽なんですけれど、いずれもう少し実力が近くなったら、もっときん差で競え合えるような選手に早くなりたいなと思っています。やはり、まだまだ僕の実力が羽生選手に劣っていると、今大会中にあらためて実感しました。

――昨日、羽生選手がいることで、今後もちょっと楽をさせてくださいといった話をしていたと思います。2連覇した羽生選手は今後、スケート界でどういう存在になっていくと思いますか? また宇野選手自身にとってどういった存在か、あらためて教えてください。

 もう、これまでと変わらないんじゃないですかね。これまでもずっとトップで走っているのが、あらためてトップというのを証明した試合だったと思いますし、それを追いかけ続けるということに、これからも変わりないと思います。

――今、首から掛けていらっしゃる銀メダルについて、日本に帰ったらどなたかに掛けてあげたい、どのように保存したいなどがあれば教えてください。

 かけたい人がいれば、みんなかければいいかなと(笑)。特に大事に扱おうとは思ってもいないので、みんな触りたい人は触ってくださいという感じですし、保存方法にしても僕は家族に渡してお任せします。
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