巨人・野上の“せっこいピッチャー”願望 「投手って実はやることが多いんです」

週刊ベースボールONLINE

9年間過ごした西武から巨人へ。「行きたい」と言っても行けるチームではないと、FA移籍を決断した 【写真=BBM】

 ありきたりな表現を使えば、ピッチャーらしい性格。言葉は謙虚だが、内に秘める思いは強い。2017年オフ、埼玉西武からFAで巨人に移籍した野上亮磨のことだ。新天地で迎えるキャンプでも、ブレずに、こだわりの調整を貫くV奪回のキーマンに、新たなシーズンに懸ける想いを聞いた。

子どもの頃はダイエーファン、巨人は…

 17年オフの補強第1号選手。シーズン14勝を挙げたマイコラス(現カージナルス)のメジャー移籍が濃厚と言われていた当時、その穴埋めを期待されての移籍だった。巨人合流からまだ日は浅いが、グラウンドではエースの菅野智之らと行動をともにすることが多い右腕に、まずは“ジャイアンツ”をテーマに話を聞いていこう。

──ジャイアンツのユニホーム姿、自己採点をお願いします。

 まだ違和感はありますけど(苦笑)。人気球団・ジャイアンツのユニホームを着ることができた喜びはありますね。

──福岡の出身ですが、ジャイアンツに対してはどんな思い入れがあるのでしょうか。野上選手が生まれた2年後の1989年に福岡ダイエーホークス(現福岡ソフトバンク)が誕生しているので、身近な球団といえばホークスです。

 はい。物心ついたときから、ダイエーファンです。ソフトバンクではなくダイエーファン。“FDH”です。なので、ホークス戦ばかり見ていましたから、正直ジャイアンツに関してはあまり詳しくなくて。思い出といえば、僕には兄がいるんですが、昔、ジャイアンツ戦の中継を見ていたら、「お前なら次、何投げる?」と阿部(慎之助)さんの配球を予想するよう言われたことがありました。

──結果は?

「インコース、真っすぐ」と答えたら、たまたま一緒。その1回だけなんですが、強烈に覚えていますね。昔は、ジャイアンツ戦は福岡でも地上波で放送されていたんですが、先ほど話したように、自分、ダイエーファンなのであまり興味がなくて(苦笑)。中継が延長されると他の番組が見られなくなる。午後9時からって、ちょうどいい時間帯じゃないですか。面白い番組がいっぱいある。なので「邪魔だな」と思っていました(笑)。

──邪魔(苦笑)。9年プレーした西武を離れ、巨人に移籍する決断は決して簡単ではなかったと思います。

 悩みました。ライオンズが好きでしたし。仲間も良かったので。でも、いろいろな方の話を聞く中で、「ほかの球団も見た方がいいよ」というアドバイスをいただくことも多くて。仲間は離れても仲間ですし、ジャイアンツではまた新しい仲間もできたので、判断は間違いではなかったのかなと、現時点では感じています。移籍先にジャイアンツを選んだのは必要としてくれたからですが、「行きたい」と言っても行けるチームではありませんよね。なかなかないチャンスが巡ってきた。それならば、ジャイアンツでやってみたいという気持ちが強くなったことが、移籍を決めた理由です。

──小さいころは「邪魔」だと思ったジャイアンツ。プロ入り以降は交流戦での対戦もありました。

 ジャイアンツのユニホーム相手には、やはり投げにくかったです。強いイメージがあるので。

──昨季、巨人は4位に終わり、球団ワーストの13連敗と苦しい時期もありました。その13連敗の最後の3敗は、野上選手も先発した西武3連戦。その後入団することになる相手を、当時はどう見ていたのですか。

 まさかそのときには移籍するとも思っていませんし、セとパでは違うので、あまり見てはいなかったんですが、13連敗は自分たちも経験があったので(15年)。大型連敗中って、先発をやっていると個人の連敗もあるんですよ。最初の方はいつか終わると簡単に考えているんですが、8連敗になるとかなりヤバい。何をしてもかみ合わない。10になると自分も連敗で、いいピッチングをしてもダメなんです。何をしても止まらない。多分、同じ気持ちなんだろうな、「分かる、分かる」と思って見ていました。

──ここまでを見る限り、新天地でも心が乱されることのないタイプに思えます。

 いや、そんなことないですよ。楽しみもありますけど、不安もあります。「俺、ちゃんとできるかな?」って。ルーキーのころの気持ちですね。

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