4年間の成長を感じたスマイルジャパン 元代表監督の八反田孝行氏が解説

構成:スポーツナビ

3大会目の五輪で初白星を飾ったスマイルジャパン。予選ラウンドの戦いを振り返る 【写真:ロイター/アフロ】

 平昌五輪の女子アイスホッケー予選ラウンド最終戦が14日に行われ、日本女子代表「スマイルジャパン」は韓国と北朝鮮の合同チーム「コリア」と対戦し4−1で勝利。1998年長野五輪、2014年ソチ五輪に続く3大会目にして、初白星を飾った。

 スマイルジャパンは10日の第1戦でスウェーデンに1−2の惜敗、12日の第2戦でスイスに1−3で敗れており、この結果、予選ラウンドを1勝2敗で終了。18日から始まる5〜8位決定戦に回ることになった。

 ここまでの戦いについて、元日本女子代表監督で、現在は日本アイスホッケー連盟の強化本部長を務める八反田孝行さんに解説してもらった。

完全アウェーの中で勝ち切れたことを評価

今大会2得点を決めている久保英恵。コリア戦の先制点は見事な連携からのゴールだった 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

――日本女子代表は予選ラウンド3試合を終えました。コリア戦では五輪初勝利を挙げましたが、この試合を振り返って、いかがだったでしょうか?

 立ち上がりが予想していた以上に良かったです。完全アウェーで緊張感が出る試合で、選手は硬くなるかと思っていましたが、非常に動きが軽快で素晴らしい立ち上がりでした。一方、コリアの方が動きが硬かった印象です。

――序盤の攻勢の中から、久保英恵選手(西武)が先制点を奪いました。

 鮮やかなパスから久保選手がシュートを決めてくれました。早い段階で得点を奪え、続いてパワープレー(※ペナルティーによる数的優位な状況)でも追加点を奪えたことは試合運びとして良かったです。2点目は、日本が目指している「シュート&リバウンド」という形で決められたので、非常に良いと思います。

 ただ気をつけないといけなかったのが、2点目が入ってからホッとしてしまったのか、流れが変わっていきました。コリアが初シュートを打ったのが10分ぐらい経過した時点でしたが、これはゴール前で角度が変わる難しいシュートでした。それをゴールキーパーの小西あかね選手(西武)がしっかり処理しました。この辺りから日本の軽率なパスミスなどもあり、流れが移りましたね。

――第2ピリオドには失点も許しました。

 第2ピリオドの立ち上がりも第1ピリオド同様、攻勢が続き動きは良かったです。3点目が入るチャンスもあったのですが、そこでシュート技術のミスでフィニッシュを決め切れない嫌な展開でした。これでゲームの流れが相手に傾き、ワンチャンスが失点につながりました。小西選手とすれば、数少ない相手のシュートを1試合を通して無難に守っていましたが、この1本だけが悔やまれるところでした。

――コリアに迫られてから、日本は遠目のシュートもたくさん打っていた印象です。

 それは相手GKが実力もあって、1発では入らないため、ブラインドを作ったり、手前で角度を変えたり、リバウンドを狙うという意図だったと思います。ですがコリア戦ではその前のスウェーデン戦やスイス戦に比べて、ゴール前まで攻め込む機会もあったので、ゴール前でセンタリングから狙うチャンスも作れました。あとは最後の決定的なところでシュートミスがあり、決めなければいけないシュートが何本もありました。1戦目、2戦目では腕力を含めたシュート力の差が露呈しましたが、この試合では技術的なミスショットも見られたので、次に向けての課題かと思います。

――第3ピリオドでは再びパワープレーから小池詩織選手(道路建設)が追加点を奪いました。

 第3ピリオドも相手に攻め込まれたところもありますが、普通の試合であれば当たり前のことで、会場の雰囲気が相手の「絶好のチャンス」であるかのように見せていました。ですがその中で、難しい試合を勝ち切ったことは評価できます。1点を失ったり、得点を決め切れないという課題はありますが、2連敗で迎えたこの状況で勝利できたことは、今後の試合に勝ちにいくという意味で、価値ある勝利でした。

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