マルチなアタッカーへ変貌した清武弘嗣 日本代表にこの選手を呼べ!<C大阪編>
ゼロックス杯で新シーズン初ゴールを記録
17年シーズンの2冠王者C大阪からは、マルチアタッカーへ変貌した清武弘嗣を推薦 【(C)J.LEAGUE】
GKキム・ジンヒョンのロングフィードを新戦力の韓国人FWヤン・ドンヒョンと杉本健勇の両長身FWが競り、こぼれたボールを清武が頭でプッシュ。マークについていた田坂祐介をかわして一気に抜け出し、GKチョン・ソンリョンの位置を見ながら右足を確実に振り抜いたのだ。
「ボールが来たので、頭でいったら勝ちかなと。あとは冷静に決めるだけでした」と本人もしてやったりの新シーズン初ゴールとなった。セレッソは最終的に3−2で勝利。幸先のいい新シーズンのスタートを切った。
近年、得点に絡む仕事が増加
ゼロックス杯でもゴールを決めるなど、近年の清武は得点に絡む仕事を頻繁に見せる 【写真:築田 純/アフロスポーツ】
これは、かつてC大阪のエースナンバー8を背負った森島寛晃(現統括部長)が残した言葉だ。だが、近年の清武はそのネガティブなイメージを払拭(ふっしょく)しつつある。
ドイツ・ハノーファーでエースナンバー10を背負った15−16シーズンは、2度の負傷離脱を強いられながら5得点をマーク。16年夏に移籍したセビージャでも開幕のエスパニョール戦でいきなりゴールを飾った。半年間でチームを去ったものの、出場機会さえ得られていたら、もっと数字を残していただろう。
1年前に復帰したC大阪でも、度重なるけがに見舞われながら、J1に18試合出場して6ゴールと奮闘。全34試合に出場した柿谷曜一朗と同じ数字を残している。尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督から両サイドやトップ下など多彩な役割を求められる中、得点に絡む仕事を頻繁に見せたのは、前向きに評価していい点だ。
サイドプレーヤーとしての自信を深める
高精度のクロスや豊富な運動量などを持ち、サイドプレーヤーとしての仕事もこなす 【(C)J.LEAGUE】
ゼロックス杯でも、開始7分に左サイドからお手本のような精度の高いクロスを上げ、山村和也と柿谷の飛び出しを誘った。ああいう質の高いボールを入れられるのも、この選手の大きな強みと言っていい。
「セレッソは細かいパスで最後まで崩していくというチームカラーがあるけれど、今年は単純にクロスを上げてゴールというのもたくさんあると思う。自分は元々クロスが不得意なわけではないので、そういうのも入れていければいい」と清武も前向きに言う。
サイドに必要な運動量も着実に増えている。17年シーズンのJ1でフル出場した場合は、走行距離が11キロ台後半に達するのが常。12キロを超える試合も少なくなかった。「ボール扱いに長けたチャンスメーカー」から「泥臭く走ってゴールに迫れるアタッカー」へと変貌を遂げつつあることがよく分かる。