ダルビッシュ争奪戦はカブス入りで決着 現実になったエプスタイン社長の“確信”
ワールドシリーズでの乱調が有利に働く?
昨季のワールドシリーズでダルビッシュは2試合連続KO。だが、カブス陣営は「ワールドシリーズの2試合でダルビッシュを判断できないことを知っていた」という 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
カブスにとって、「オフが始まったときから、(ダルビッシュが)トップターゲットだった」とエプスタイン社長は認めたが、「当初は、決して現実的ではなかった」とも明かしている。
激しい競争も予想され、マネーゲームになるかもしれない。それは避けたかった。しかし、ワールドシリーズで打たれたことは、ある意味、彼らに有利に働いたのかもしれない。
「あれで、過剰反応するチームがいるかもしれないと思った」とエプスタイン社長。
「でもわれわれは、ワールドシリーズの2試合でダルビッシュを判断できないことを知っていた」
契約の詳細に関しては明かされず
ダルビッシュは、「どの分野においても自分が良くなる、次のステージに行く壁を破るのは挑戦する心があるかどうか。(交渉を)挑戦する場に使ってしまって申し訳ないんですけど(笑)、英語のレベルをちょっと上げたいというので、一回場に入ってみようと思いました」と振り返ったが、むしろ、カブスはそこにダルビッシュの誠意を感じ取った。ダルビッシュが自らの言葉で、コミュニケーションを図ろうとしたのである。
そのとき、エプスタイン社長は、「一つのことがクリアになった」とある確信を抱く。
ダルビッシュがカブスに悪い印象を持っていないこと。むしろ、それを望んでいるのではないか、という――。
一方のダルビッシュも、「最初から最後まで印象に残ることばっかり」と話し、気持ちが傾く。なにより、家族が喜んでくれた。
「奥さん(聖子さん)は最初の方からカブスがかなり好きそうだった。シカゴの街もすごく気に入っていますし、喜んでいます」
カブスでも慣れ親しんだ背番号「11」を着ける。シカゴの地でどんな投球を見せてくれるのか 【写真は共同】
この日、その点は明かされず、また、通常ではありえない2年後の契約破棄条項が何を意味するのかも、疑問として残った。
会見で、そこを問われたダルビッシュは、「契約の細かいことについて話すのは賢明ではない」と言った後で、こう付け足している。
「ここでなぜとか話すと、いろんなことを話さないといけなくなる」
いろんなこととは何なのか。答えが見えたとき、キャンプ直前の契約の意味も明らかになるのかもしれない。