高梨沙羅、会心の笑顔で銅メダル 重圧から解放され、迷わず4年後へ

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ソチの悔しさをぶつけるジャンプ

ソチ五輪からの長い4年間の戦いを終えて、高梨の表情は憑き物が取れたかのようだった 【写真:ロイター/アフロ】

「飛び終わった瞬間、安心して涙が出ました」。ソチ五輪でメダルを逃してからこの瞬間まで、高梨沙羅(クラレ)が耐え忍んできたプレッシャーはどれほど大きなものだったのだろう。その答えをただ1人知る高梨は、決勝2本目を着地すると両手でガッツポーズ。暫定1位となり、ゴーグルを取ってテレビカメラに手を振る表情は、まるで憑(つ)き物が取れたかのように透き通る会心の笑顔だった。

 平昌五輪のスキージャンプ女子ノーマルヒルは12日にアルペンシアスキージャンプセンターで行われ、高梨が銅メダルを獲得した。金メダルは、この日唯一ヒルサイズ超えとなる110メートルの大ジャンプを飛んだ今季ワールドカップ(W杯)個人10戦7勝のマーレン・ルンビ(ノルウェー)、そして銀は同2勝のカタリナ・アルトハウス(ドイツ)となった。

 4年前は初の大舞台に「のみ込まれた」という高梨。「(自分を)信じられるようなトレーニングをしてこなかった」と悔い、その後は平昌での金メダルを目標に掲げて練習を積み重ねてきた。一番良い色には届かなかったが「(悔しさとうれしさは)半々。でもここに来て一番良いジャンプが最後に飛べたのでホッとしました。ソチの悔しさはこの2本でぶつけられた」と充実感を漂わせた。

最後は自分に暗示をかけるように

銅メダルを獲得した高梨沙羅の2回目の飛躍=平昌 【共同】

「自分に勝つチャンスは4年に1度」と臨んだ今シーズン。連勝街道を驀進(ばくしん)していた昨シーズンまでから一転、高梨は海外勢の躍進に押され頂点に立てなくなった。それでも国内からは金メダルを期待する声が聞こえてくる。五輪までのW杯では最高2位と、ついに一度も勝利を収めることができなかった。

 そして迎えた平昌五輪。ノーマルヒル、ラージヒル、団体と計3戦行われる男子と異なり、女子はノーマルヒル1試合のみの開催で、まさにチャンスは1度しかない。試技の前は「良からぬことを考えたりもした」と不安や緊張がピークに達していたが、自分でそれを振り切った。

「正直ここに初めて入ってきた時は(自分を)まだ信じられなくて、いろいろと試しながら練習もしてきましたし。ただ最後は自分に暗示をかけるように、今までやってきたことを思い返して、もうやるしかないと」

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