日本ジャンプ界に若き力の台頭 小林陵侑の7位入賞は「大きな一歩」に
明暗分かれた兄・潤志郎
対照的に兄・潤志郎は風に嫌われてまさかの失速 【写真は共同】
今季の小林潤はサマージャンプから一貫して好調だった。冬に入り本格的なシーズン開幕を迎えても、W杯個人第1戦で日本勢3シーズンぶりの優勝を果たすなど好調を維持。ここまでのシーズンW杯総合ランキング8位はもちろん日本勢最上位で、今大会でも日本のエースとして期待されてきた。
初めての五輪へ手応えをつかみながら臨んだだけに、より一層悔しさが募るのだろう。「僕の前の選手が逆に距離を落としていたので、あまり風が良くないとは思いましたが、ちょっと納得いかないですね」と語る表情は硬くひきつっていた。
今季のW杯個人11戦で2本目に進めなかったのはフライングヒルの1回しかなかっただけに、条件に恵まれず悔しいジャンプとなったことに落胆は隠せない。
平昌の気まぐれな風は日本に味方するか
「スタート台に行く時も、僕は6、7人前になったら(台に)行くんですけど、(2人は)12人くらい前から行くんですよ。暖かい控室があるのに、これ絶対体冷えるだろうなと。『緊張してる―?』って聞いたら、『そんなに緊張していないです』とか言いながら、早い(笑)。そういうところで自然と緊張感が出ている」
しかし初の五輪本戦を終えて、本人たちは「2本ともあまり緊張せずに飛べた」(小林陵)、「力みも何もなかった」(小林潤)と、いつも通りの精神状態にあるようだ。
男子ジャンプはこの後もラージヒル、団体と2種目を残している。立地面から強風の問題が大会前から指摘されていた会場は防風ネット設置など対策を施したものの、「もう風の音がすごいんですよ。(スタート台では)気持ちが怯んじゃうくらい、『ブワーッ』って音が鳴っているんです」と葛西。数回のシグナルレッドに見舞われたシモン・アマン(スイス)は、スターティングゲートを外す度にスタッフにくるんでもらった毛布で体をこすってもらい、寒さをしのいでいた。
平昌の気まぐれな風と寒さを味方につけ、今後も日本勢が上位進出してくれることを祈りたい。
(取材・文:藤田大豪/スポーツナビ)