日本ジャンプ界に若き力の台頭 小林陵侑の7位入賞は「大きな一歩」に

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96年生まれのジャンパー

96年生まれの若きジャンパー、小林陵侑がノーマルヒル個人で7位入賞 【写真は共同】

「寒波注意報」が出るほど冷え込んだ平昌で10日夜、ノルディックスキージャンプ競技の先陣を切る男子ノーマルヒルが行われた。気温はマイナス10度前後まで冷え込み、会場のアルペンシアスキージャンプセンター周辺は開催が危ぶまれるような強い風が吹き付けることもあったが、無数のシグナルレッドを挟みながら試合は続行。何とか最後の選手まで決勝の2本目を飛び終えた。

 日本勢では小林陵侑(土屋ホーム)が初めての五輪で7位入賞。伊東大貴(雪印メグミルク)は20位、葛西紀明(土屋ホーム)は21位、陵侑の兄・潤志郎(雪印メグミルク)は1本目で31位と、30位までが進める2本目にわずか届かなかった。

 ヒルサイズまであと1メートルに迫る108メートルのジャンプを2本そろえた小林陵。日本勢のノーマルヒル入賞は前回ソチ五輪の葛西(8位)に続き2大会連続だが、その前となると小林陵が生まれた2年後、1998年長野五輪の船木和喜(2位)、原田雅彦(5位)、葛西(7位)まで遡(さかのぼ)る。

 ラージヒルまで含めた五輪個人戦で見ても、75年生まれの船木より下の世代はこれまで入賞を果たせていなかった。今回、80年代生まれの選手たちを飛び越して、長野五輪の2年前である96年生まれの若きジャンパーが入賞者として日本ジャンプ界の歴史に名を刻んだことになる。

「(7位は)予想以上です」

メダルは逃したが「大きな一歩だった」と小林陵も納得のジャンプだった 【写真は共同】

 小林陵は今季のワールドカップ(W杯)通算成績34位。16年1月にW杯初出場を果たし、当時19歳にしていきなり7位に入り期待を集めたが、その後30試合に出場するもひと桁順位は無し。16−17年に至っては1ポイントすら獲得できずにシーズンを終えた。

 しかし今季はサマーグランプリ白馬大会で2位に入るなど夏から好調を維持。11月3〜5日に札幌で行われた国内3連戦でも2位、優勝、3位と表彰台を確実にとらえ「自信になった」と手応えを口にしていた。昨年12月のオーベルストドルフ大会で記録した12位は、W杯で自身2番目の好成績だった。

 この日のノーマルヒルは1本目を終えて2位〜9位までが6ポイント以内、距離に換算すると3メートル以内にひしめく混戦模様。そのなかで9位につけた小林陵は、2本目に向かうにあたり、悔しさに耐える兄・潤志郎と「仇を取る」と言葉をかわしてスタート台に向かったと言う。

 最初の種目を幸先良く終えた小林陵は試合後、「(7位は)予想以上です。トップ10(争い)が厳しいなかでここに食い込めたのは大きな一歩だったかなと思います」とうれしそうにコメント。「(深夜0時近くに飛んだ)2本目は足先凍るかと思いました」と笑わせつつ、取材対応を終えたあとは現地ボランティアスタッフにせがまれ写真に収まっていた。

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