「南北融和」がアピールされた平昌開会式 韓国で切れないスポーツと政治の関係
気温はマイナス5度程度にとどまり
平昌オリンピックが開幕、開会式では「平和」のテーマのもと「南北融和」がアピールされた 【写真は共同】
会場となったオリンピック・スタジアム周辺は風の強い地形らしく、スタジアム隣を流れる川は水面が凍結。来場者の心を凍りつかせたが、寒波が去ったおかげで式中の気温はマイナス5度〜7度程度にとどまり、大事なく執り行われた。もし寒波の最中であればマイナス20度、体感はマイナス30度とも言われていたことを考えれば、出席した選手や観客含め、すべての大会関係者が胸をなでおろしたことだろう。
テーマ通り式の各所に「南北融和」がアピールされた開会式の構成で、政治色に対する是非はあるだろうが、現地の観客はそれなりに盛り上がりを見せていた。特に会場が一体感に包まれたのは、終盤に世界中の人々が『イマジン』を歌うシーン。下手をすれば食傷気味になりかねない平和アピールをきれいにまとめてみせるジョン・レノンの偉大さが際立った。
会場がこの日、一番の盛り上がりを見せたのはやはりクライマックスとなる聖火台への点火の場面だ。最終点火者として大方の予想通り、元フィギュアスケーターのキム・ヨナさんが登場すると会場のボルテージは最高潮に達した。“国民の妹”が聖火台に火が灯し、いよいよ17日間にわたる大会が幕を開けた(競技開始からは18日)。
日本が登場した際にはこれといって会場の反応はなく
選手37人、計97人で入場した日本選手団だったが会場の反応はこれといってなく…… 【写真は共同】
対象的なのが日本の次に進んできたジャマイカ選手団。わずか6人での入場だったが、各々が曲に合わせて飛んだり跳ねたり。ところ狭しと動き回るレゲエの自在さが際立っていた。同様に少人数で注目を集めてたのはトンガ。たった1人の代表選手であるピタ・タウファトファ(クロスカントリー)が氷点下のなか上半身裸で登場すると、会場は熱い大歓声に包まれた。
母国以外でもっとも多くの歓声を受けたのは圧倒的に米国だ。入場に合わせてヒット曲『江南スタイル』が流れるなどBGMにも後押しされた会場の盛り上がりは、選手入場で随一。隣国の日本が登場した際にはこれといって会場の反応はなく、少し寂しいものだった。
余談だが、選手入場の途中で記者席にはなぜか北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長と米国のドナルド・トランプ大統領のそっくりさんが並んで登場。各国記者がセルフィーに走り、本物のスターを取り囲むように二重三重の輪が即座にできあがるなど一時騒然とした。党委員長に対する注目は世界共通のようだ。