モーグルはこれさえ分かれば大丈夫! 独特な採点方法とレース形式を解説

Bravoski(ブラボースキー)

モーグルで採点される要素は3つ

日本勢のメダル獲得に期待が懸かるモーグルの採点とレース形式を解説 【写真:ロイター/アフロ】

 モーグルは1月に行われていたワールドカップ(W杯)で遠藤尚(忍建設)や堀島行真(中京大)が表彰台に上ったこともあり、平昌五輪でもメダル獲得への期待感が高まっている。2月9日の開会式前に予選がスタートするモーグルについて、ここでは分かりづらいシングルの採点とレース形式を説明したい。

 無数のコブが連なる斜面を高速で滑り、途中に2つあるエア台でジャンプして技を決める──。この種目で、採点される要素は「ターン」「エア」「タイム」の3つだ。

 ターンは、「まっすぐなラインを滑っているか」「滑りの質」「下半身を使ったコブの吸収動作」「上半身のバランス」がチェックされる。

 エアは、技の「難度」と「完成度」の両方が採点対象となる。難度が低い技をパーフェクトに決めてもメダルを狙える点は得られない。これはフィギュアスケートなど他の採点競技と同様である。現在は「コーク1080」「ダブルフルツイスト」などが最高難度の技だ。平昌で金メダルの本命と目されるミカエル・キングスベリー(カナダ)は、難易度の高いエアの完成度が高く、安定感は群を抜いている。

 そして、タイムは単純にいかに速くゴールするかであり、3つの採点要素の中で唯一、「客観的な数字」で点が決まる。日本期待の堀島はスピードが持ち味であり、昨年優勝を決めた世界選手権では、断トツのラップタイムで滑っている。その武器をさらに磨き上げ、他の選手たちとの差が出始めているのは追い風だ。

 つまり、モーグルでは正確に滑ってもタイムが遅くてはだめだし、エアが綺麗に決まったとしてもターンが乱れていては勝ち残れない。

女子は80点、男子は90点前後が優勝ライン

派手なエアに目がいきがちだが、配点の高いターンが最も重要となる 【写真:ロイター/アフロ】

 体操、新体操、水泳の飛び込み、シンクロナイズドスイミング、冬季種目ならフィギュアスケート、エアリアル、ハーフパイプ、スロープスタイルなど、ジャッジの採点で優劣を競うスポーツは数多くある。だが、モーグルのように、ジャッジの採点とタイムの両方で点数を決める種目は大変珍しい。

 ただし、3つの要素の配点は同じではない。計100点満点で、配点はターン60点、エアとスピードが各20点となっている。ターンが最も重要だ。

 モーグルで採点するジャッジは7人(小規模な大会は5人の場合もある)。そのうち、ターン担当が5名、エア担当が2名という構成となる。

 ターンの点は、5名がそれぞれ20点満点で採点し、そのなかで最高点と最低点がカットされ、真ん中3つの合計点が採用される。スタートから第1エアまでのトップセクション、第1エアから第2エアまでのミドルセクション、第2エアからゴールまでのボトムセクションと3パートあり、最も長いミドルセクションが大きな見どころとなる。

 エア点は20点満点で採点する2名のジャッジの平均点が加算され、タイム点はスタートからゴールまでの秒数から算出される。

 なお、3要素の合計点は、世界大会レベルならば女子は80点前後、男子は80点台後半〜90点台前半が優勝ラインとなる。

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著者プロフィール

今年で創刊37周年を迎えた双葉社発刊のスキー専門誌。90年代中盤からフリースタイルスキーに着目し、98年長野五輪・モーグル種目で里谷多英、上村愛子らが活躍してモーグルが一大ブームとなる。現在ではフリースタイルスキー(パウダー、パーク、モーグル)の専門誌として年間3冊発刊

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