五輪逃した男子アイホに久々の吉報 新星が日本人初のNCAAデビュー
報じられなかった歴史的快挙
NCAA(全米大学体育協会)アイスホッケー1部に属するニューハンプシャー大(UNH)1年生の佐藤航平(21)が、17年10月のコロラドカレッジ戦に出場を果たし、アイスホッケーでは日本人初となるNCAA1部でプレーした選手となった。
「最初は緊張しましたが、徐々にスピードという僕の武器を生かしたプレーもできた。願い続けてきたNCAAでのプレーは夢のようでした」(佐藤)
日本ではほとんど報じられなかったこの“歴史的快挙”。世界ランク23位と中位であえいでいる日本の男子アイスホッケー界にとっては久々の明るい話題だった。
「NCAA1部でもレベルが高い東海岸の大学であるUNHに入学したのは本当に凄いこと」と語るのは、アジアリーグ・東北フリーブレイズの監督で、北米アイスホッケー事情にも詳しい若林クリス氏。「佐藤選手は常にゴールに向かう姿勢、北米出身の選手でも追いつけないスケートの速さが評価されている。スタメンに定着できれば、NHLをはじめプロスカウトが常に目を光らせている大学なので、いつかは声がかかると思います」。
中1から北米修行を決断
最初は驚いた父・雅広さんだが、息子の熱意に負け「覚悟して、絶対に途中で投げ出すな」と送り出したという。当時は中学生で北米留学なんてことは誰も考えなかった時代。親子は先駆者としての苦労を身をもって知らされた。
「当初は英語も全く分からないし、不安ばかり。でも『絶対に本場の北米でプロになる』という思いしか頭になかった。日本人留学生も10人ほどいましたが、あえて現地の学生と過ごし日本語はほとんど話さなかった」(佐藤)
少年が家族と離れ異国で生活するだけでいろいろな困難があったに違いない。そこに、プロとアマチュアを厳密に区別する北米の契約社会も重くのしかかった。
「ビザやアマチュア規定の関係で、アルバイトは禁止。生活費と学費は基本的に仕送りです。経済的には本当に苦労しました。試合報酬をわずかでも受け取ると、その瞬間にアマチュア資格剥奪でその後の進路が一気に狭まるので、些細(ささい)なことにも本当に気を使う。またNCAAには非常に厳しい学業規定があり、その冊子は電話帳くらい分厚い。そんななか、息子と手探りで一つひとつ問題を解決していった感じです」(雅広さん)
そんな苦労をしながらも、佐藤は着々と力をつけ13〜14シーズンにはカナダのアマチュアリーグで得点王とMVPを獲得。同年6月には、20歳以下のジュニア世代で構成されるアマチュアリーグの最高峰、USHL(1部)からドラフト20巡314人目で指名される。NHL選手を多く輩出しているこのリーグに呼ばれたことは、NCAAを経てプロになる夢がぐっと現実味を帯びたことを意味した。