監督交代後、攻撃の中心を担う香川真司 オバメヤンとのラインはチームの生命線

山口裕平

シュテーガー監督就任後、香川は攻撃の中心に

ドルトムントで攻撃の中心となっている香川。シュテーガー監督が就任して以降の5ゴール全てに関与している 【Getty Images】

 ブンデスリーガ後半戦で逆襲を狙うボルシア・ドルトムントにおいて、香川真司は多くを求められることになるはずだ。前半戦のドルトムントは、首位バイエルン・ミュンヘンと13ポイント差の3位でリーグ戦を折り返し、チャンピオンリーグ(CL)では1勝も挙げられずに敗退し、ヨーロッパリーグ(EL)に回ることになった。

 後半戦初戦の第18節、ボルフスブルク戦でスコアレスドローに終わり、バイエルンとの差が15ポイントに開いた以上、逆転でのリーグ優勝は現実的でない。後半戦の目標は来季のCLの本戦出場権獲得となる3位以内の確保、そしてELでの上位進出ということになる。冬の移籍市場ではバーゼルから即戦力レベルのセンターバック、マヌエル・アカンジを獲得したが、それ以外では基本的にこれまでと同じメンバーで後半戦を戦うことになりそうだ。

 今、香川はドルトムントにおいて攻撃の中心といっても過言ではない。

 実際、昨年末に成績不振で解任となったピーター・ボス前監督に代わってペーター・シュテーガー監督が就任して以降、香川はドルトムントが公式戦で挙げた全5ゴールに関与している。就任初戦となった第16節のマインツ戦では、FKからゴールの起点になると、終盤には自らが追加点。続くホッフェンハイム戦では香川が得たPKをピエール=エメリク・オバメヤンが決め、香川のスルーパスからクリスティアン・プリシッチの決勝ゴールが生まれた。年内最終戦となったドイツ杯3回戦でも、クロスからアシストしてみせた。

香川→オバメヤンのラインが大きな存在感を示す

昨シーズン同様、オバメヤンと香川のラインは大きな存在感を示している 【Getty Images】

 ウインターブレイクを終え、ボルフスブルク戦で先発フル出場を果たすと、シュートこそなかったものの攻撃面で一定の存在感を示した。結果的にスコアレスドローに終わったことで現地紙からは香川に対してやや厳しめの評価が下されたが、この試合最大のチャンスとなった後半8分のポスト直撃弾が生まれたのは香川のクロスからであり、これ以外にも香川のスルーパスから決定機になりかけたシーンがいくつかあった。”たられば”ではあるが、規律上の問題によりこの試合のメンバーから外れたオバメヤンがプレーしていれば、結果はもう少し違ったものになっていただろう。

 昨季に引き続き年間30得点ペースでゴールを量産しているオバメヤンだが、もちろん彼も1人でゴールを決めることはできない。得意とするのは驚異的なスピードを生かした裏への飛び出し、そして抜群のポジショニングでグラウンダーのクロスボールを合わせるという2パターンで、特に前者において香川は非常に重要な役割を果たす。一瞬でピッチ上の状況を把握する空間認識能力と両足から高い精度で送られるスルーパスは、オバメヤンのスピードを最大限に生かしている。実際に昨年のマインツ戦で香川が奪ったゴールも、香川がヘディングでオバメヤンにスルーパスを送ったところから生まれている。

 昨季も香川→オバメヤンのラインでドルトムントは4つのゴールを挙げた。チームならず、リーグでも断トツとなる10ゴールを奪ったウスマン・デンベレ→オバメヤンのラインは別格だったが、チームにおける重要な攻撃ラインだった。特に大きな存在感を発揮したのが第24節から28節までの4試合で、この2人の関係だけでチーム総得点の3分の2に当たる4つのゴールを生み出している。この時、ドルトムントはマルコ・ロイスがけがで負傷したことに加え、デンベレが調子を落として4試合で1つもゴールに関与できなかった。香川→オバメヤンのラインに頼らざるを得ないチーム状況が、香川の奮起を促していたのだ。

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著者プロフィール

茨城県つくば市生まれ。サッカー好きが高じ、いつの間にかドイツへやってきてしまったフットボールフリーク。06年に英国を訪れた際、平日の昼間から酒を飲んでフットボール談義に興じるファンに魅せられ、以来ファン文化に興味を抱く。ドイツでは観客動員数世界一の謎を解き明かすべく、日々取材活動に勤しんでいる。

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