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女子ボクシング界の未来背負うシールズ
強敵との対戦でブレークとなるか?

周辺階級に存在する強敵たち

WBC、WBO女子ミドル級王者クリスティーナ・ハマー(右)は22戦全勝の強敵だ
WBC、WBO女子ミドル級王者クリスティーナ・ハマー(右)は22戦全勝の強敵だ【Getty Images】

 ただ……そんな中でも、シールズは業界の範疇(はんちゅう)を超えた名前になる可能性があると見る関係者は少なくない。なぜなら、今の彼女の周辺階級には戦うべき相手が存在するからだ。


 1階級下のミドル級には、22戦全勝(10KO)のWBC、WBO女子ミドル級王者クリスティーナ・ハマー(ドイツ)が君臨する。今後、シールズはミドル級に下げ、まずは4月にハマーと同じ興行でそれぞれ前哨戦予定。それをクリアすれば、今夏にも両者が対決するというのが青写真になっている。


「下の階級での私は誰よりも大きく、強くなれるはず。ハマーの方が私よりスキルがあると考えている人が間違っていると示してやりたい。その後には154パウンド(スーパーウェルター級)までだって落とせる」


 シールズ本人のそんな言葉通り、スーパーミドル級での彼女はややパワー不足にも見えるが、適正ウェイトのミドル級ではより豪快なファイトが見せられるかもしれない。女子ボクシングはとかく迫力不足が指摘されるだけに、時に派手なパフォーマンスで魅せることの意味は大きい。

ブレークにはファンを喜ばせる戦いも必要

ウェルター級の統一王者セシリア・ブレークフス(左)もシールズの敵になりえる存在だ
ウェルター級の統一王者セシリア・ブレークフス(左)もシールズの敵になりえる存在だ【Getty Images】

 本当にスーパーウェルター級の身体を作れるのなら、ウェルター級の統一王者セシリア・ブレークフス(ノルウェー)との対戦もいずれ視界に入ってくる。32戦全勝(9KO)のブレークフスは、全米ボクシング記者協会が選ぶ女子年間最優秀選手に選ばれたばかり。


“女子パウンド・フォー・パウンド最強”と呼ばれる36歳の女王にシールズが無敗のまま挑むことになれば、そのファイトは女子ボクシング史上に残る一戦となるだろう。


「幸いにも強敵は存在するのだから、まずは彼女たちを相手に勝ち続けること。同時にいろいろな場所で人々の前に立って、話し、名前、顔を売ること。全国区のスターになるのは容易ではないが、クラレッサはそれが不可能ではないユニークな素材ではあると思う」


 12日のファイト解説を務めたラウル・マルケス(元IBF世界スーパーウエルター級王者)は、“スターの条件”をそう述べていた。


 ただ強いだけではなく、いわゆるロールモデルとしてアピールする必要がある。同時に強敵にも恵まれ、ファンを喜ばせる形で勝ち続けなければならない。米国内で女子ボクサーのスター誕生は難しいが、それができるとすれば“T−レックス”くらいか。近年では稀有(けう)な商品価値を感じるからこそ、プレミアケーブル局の「Showtime」もキャリア初期からシールズをサポートし、過去3戦はメインイベントで起用してきたのだろう。


 米リングに降り立った久々の女子スター候補は、18年をブレークの年にできるかどうか。今後約1年の間にハマー、ブレークフスを連破するようなことがあれば、シールズの知名度は大きく上がり、多くのファンは女子ボクシングを無視できなくなる。そういった意味で、ミシガン州出身の22歳は自身の栄光以上に大きなものを背負って戦い続けているとも言えるのだろう。

杉浦大介
杉浦大介

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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