17年に目立ったチームを多角度から分析 今宮純のF1ザ・ショウダウン

F1速報

多くのオーバーテイクを成功させたリカルド(左) 【XPB Images】

 コンストラクターとドライバーのダブルタイトル4連覇を達成した最強メルセデス、その偉業をまずは称えよう。2014年701点→15年703点→16年765点、そして17年はかなり目減りして668点にとどまった。前年対比97点減は、100点減のレッドブルに次いで実は2番目だ。ポイント大幅増はフェラーリ、昨年より124点も増えて522点。ちなみに2番目は49点増のルノーだ。

 メルセデスの強さばかり印象に残っているが、あらためてワイドな視点で17年チーム力をレビューしよう。

完走レース

1位:メルセデス39回
2位:フォース・インディア38回
3位:フェラーリ35回
4位:ウィリアムズ33回
5位:ハース32回

(※完走扱いのリタイアは完走としてカウント)

 全20戦の17年シーズンでリタイアがたった一度きりのメルセデス。第5戦スペインGPでバルテリ・ボッタスがパワーユニット(PU)のトラブルによるリタイアのみ。さすがと言うほかはない。だが目立つのは2年目ハースが堂々の完走第5位。開幕から序盤9戦に7回入賞した結果実績を特筆したい。

連続入賞レース

1位:レッドブル37戦
2位:メルセデス36戦


 16年スペインGPを思い出してほしい。ルイス・ハミルトン対ニコ・ロズベルグの同士討ちが起きマックス・フェルスタッペンが劇的な初勝利。あれからレッドブルは17年の最終戦まで37戦連続入賞。これは彼らがNAエンジン全盛期(セバスチャン・ベッテル4冠)にやってのけた33戦連続を超える“チーム・ベスト”。信頼性問題が今年さんざん話題になったが入賞レースをずっとつないできているレッドブル。

オーバーテイク回数

1位:レッドブル65回

 ダニエル・リカルドが最多43回、フェルスタッペンも22回。彼らのパッシング能力は秀逸で、それを可能にするエントリースピードとブレーキングの安定感はマシンの力である。抜く力を授けたレッドブル。

最高スピード

1位:フェラーリ 362.4キロ

 高地メキシコGP決勝でベッテルがマーク。昨年はここでウィリアムズのボッタスが最高372.5キロを記録した。今年、次々にラップタイムが更新されていったが最高速はダウンした。なおレッドブルのリカルドがルノーPU(TAGホイヤー)ながら、アゼルバイジャンGP予選で年間3位相当の最高速356.3キロをマークしたことも付け加えておきたい。

最速ピットストップ(年間)

1位:メルセデス
2位:ウィリアムズ
3位:レッドブル


 フェリペ・マッサにも新人ランス・ストロールにもウィリアムズは確実に2秒プラスで作業を済ませた。「絶え間ないクルーの筋トレと猛練習の成果です(笑)」とメカニックの白幡勝広さんは語っていた。DHLが発表した『ピットストップ年間チャンピオン』に基づくとメルセデスが1位で、ウィリアムズは僅差の2位。「なんか(裏が)あるんじゃないの(笑)」と、一言言いたい白幡さん?

ベスト・インプルーブ

もっともコストパフォースに秀でた結果を残したフォース・インディア 【XPB Images】

1位:フォース・インディア

 評価の基準を、開幕前バルセロナ合同テストでのベストタイム順位から、年間ランキング結果で査定。セルジオ・ペレスはあのテスト時点で10位がやっと。チーム順位も7番目で、トロ・ロッソやルノーの後塵を拝していた。そこからぐんぐん中間チームをリード、開発スピードとアップデートの精度によって、2年連続でランク4位を獲得。17年シーズン中のインプルーブはビッグチームにも劣らない。

最小グリッド・ダウン・ペナルティ

1位:フォース・インディア&ハース

 PU及びギヤボックス交換などによるグリッドダウンをカウントすると、この2チームにPU関連のグリッドダウンはなかった(ドライビングにかかわるペナルティは省く)。それだけマシン&PUのトータル・リライアビリティを保ち、規定制限基数内でどちらも20戦をカバーした。一方でマクラーレンは393、トロ・ロッソ(ルノー)は174ダウン。今年から来年に向けて、ホンダの改善課題は言うまでもないこと……。

「2017プラチナ・パレート大賞」

フォース・インディア

 パレートとは“性能最適賞”の意味であり、コストパフォーマンスにおいて最も秀でる実績を残したこのミドルチームに大賞を授与する。これ以上のランクアップ、トップ3圏内を目指すのは難しく、“4位防衛戦”も厳しそうでも、約400名スタッフのフォース(努力、気力、迫力)を見てみたい。レーシング・アット・ハートなチーム、ここにあり。
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