【ノア】拳王がエディを破りGHC王座を初戴冠 “東洋の神秘”グレート・カブキが引退

高木裕美

原田は稔を退け防衛 谷口が丸藤と決裂

新日本、全日本のジュニアのベルトを巻いた稔(左)が原田に挑戦するも、ベルト奪取とはならなかった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 GHCジュニアヘビー級王者の原田大輔は、強敵・田中稔を退け、ノアの至宝を死守した。稔はこれまで、新日本のIWGPジュニア、全日本の世界ジュニア、ZERO1のジュニア2冠、WRESTLE−1の初代WRESTLE−1クルーザーディビジョン王座などを戴冠。もし、今回王座奪取に成功すれば、かつて丸藤正道が達成した「ジュニアメジャー3冠制覇」史上2人目の男になるはずであった。

 稔は序盤から腕ひしぎ逆十字固めを仕掛け、原田の左腕へダメージを与えると、さらに10分過ぎには雪崩式フィッシャーマンバスター。原田もニーアッパーから片山ジャーマンスープレックスを繰り出すが、ダメージが浅くカウントは2。ならばと原田は左腕の痛みもかまわず、左右のワンツーエルボーを連打。しかし、稔も右ハイキック、顔面ジャンピングキック、タイガースープレックスを繰り出すと、原田はニーアッパー、エルボー、ボディへのパンチから再度ニーアッパーをブチ込み、片山ジャーマンスープレックスでフィニッシュ。試合後は稔が差し出す右手に握手で応え、敬意を表した。

 GHCタッグ選手権試合では、モハメド ヨネ&クワイエット・ストームの50ファンキーパワーズが、丸藤正道&マイバッハ谷口のマケタラオワリを下し、初防衛戦に成功。丸藤の誤爆に激怒した谷口は、丸藤を裏切り、長井満也と結託した。

 王座返り咲きを狙う丸藤は、放送席に座るかつての先輩・川田利明の目の前で、ヨネに顔面ステップキック、河津落としを放つなど、余裕すら感じさせるファイト。ストームへの虎王は50cm腕ラリアットで迎撃され、ヨネのダイビングギロチンドロップのエジキとなるも、直後にトラースキック、虎王で反撃し、逆水平チョップを打ち合っていく。だが、ヨネを踏み台にして放った虎王がパートナーの谷口に誤爆。怒った谷口は丸藤に襲い掛かると、セコンドに就いていた長井と謎のアイコンタクト。谷口の裏切りで心身共にダメージを受けた丸藤をヨネが担ぎ上げ、合体技のファンキーバスターボムでKOした。

 丸藤にタッグパートナーとして調教され、「でくのぼう」から覚醒したはずが、再び悪の道へと染まり始めた谷口。長井との結託で、今度はどんな顔を見せるのか。

 GHCジュニアタッグ王者組のHAYATA&YO−HEY組は、琉球ドラゴンプロレスリングのグルクンマスク&首里ジョー組を破り、3度目の防衛に成功した。挑戦者組は息の合った連係でペースを握るも、王者組はグルクンを合体攻撃で場外へ追いやると、HAYATAがコーナーからの顔面Gで首里ジョーを粉砕した。

カブキが最後の毒霧&ヌンチャクでファンに別れ

“東洋の神秘”ザ・グレート・カブキが引退の10カウントゴングを聞いた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

“東洋の神秘”ザ・グレート・カブキが引退。世界中に衝撃を与え、プロレス界に多大なる影響と功績を残した名レスラーが、最後の花道を飾った。

 カブキは64年10月に日本プロレスで高千穂明久としてデビューし、崩壊後は全日本プロレスへ移籍。81年のアメリカ遠征時に、歌舞伎役者をモチーフにしたペイントレスラー、ザ・グレート・カブキに変身した。東洋の怪奇派ヒールとして絶大な人気を博し、83年2月に全日本マットに凱旋帰国を果たすと、日本でも一大ブームを巻き起こした。その後、SWS、WARを経て、新日本プロレスでは平成維震軍の一員として活躍。“カブキの息子”として米国WCWでデビューしたグレート・ムタ(武藤敬司の悪の化身)とも対戦を果たした。50歳の誕生日前日となる98年9月7日に後楽園ホールで引退試合を行い、ちゃんこ屋の店主となったものの、09年にリング復帰を果たして以来、ピンポイントで試合に出場。だが、今回、69歳にて本格的に引退することになった。

 カブキは元・平成維震軍の越中詩郎&齋藤彰俊と組んで、潮崎豪&小川良成&井上雅央組と対戦。全日本時代の後輩であった小川にアッパーブローを打ち込むと、小川もコブラクローで反撃。場内からは「カブキ」コール。潮崎のチョップにアッパーカットでやり返すと、井上の顔面に毒霧を噴射。すかさず斎藤がスイクルデスで3カウントを奪取した。

 試合後のセレモニーでは、藤波辰爾、グレート小鹿、川田利明らが花束を贈呈。愛娘の映理さんから「パパ、長い間、お疲れ様でした。家族のためにありがとう。これからも仲良くしてください。大好きです」とねぎらいの言葉をかけられると、カブキは相好を崩してデレデレ。「54年間、応援してくださって、本当にありがとうございます」とファンに感謝したカブキは、10カウントゴングの後、最後のヌンチャクさばきから最後の毒霧パフォーマンスを披露。リングにヌンチャクを置いたまま退場し、もう二度とリングに戻らないという決意を表明した。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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