【大日本プロレス】過激に“インスタ映え”する大日本 橋本大地が6年目でシングル初戴冠

高木裕美

デスマッチの怖さより、笑い、涙、感動の爽やかさの団体

過激なデスマッチで注目される大日本だが、「リアル」な体験ができることから幅広い層の支持を集めている 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 17日の大日本プロレス「〜BIGJAPAN DEATH VEGAS〜2017」横浜文化体育館大会では、4大タイトルマッチなどが行われた。

 大日本は1995年3月に旗揚げし、過激で奇想天外なデスマッチで世間の注目を集めるように。現在はデスマッチとストロングの二本柱で、月に一度の東京・後楽園ホール大会を毎回満員とし、地方でも堅実な集客力を誇っている。

 今年の流行語でいうなら、大日本は数あるプロレス団体の中で最も「インスタ映え」する団体である。飛び散る蛍光灯の破片、天高くそびえ立つ足場、漆黒の十字架カミソリボード、光り輝く画鋲の海、あらぬ角度に捻じ曲がったパイプイスなどのデスマッチアイテムの数々は、プロレスを観たことがない人にも説得力十分。また、前半の試合では、バラモン兄弟の「ろくでなし」vs.ヘラクレス千賀の「ひとでなし」っぷりに観客が巻き込まれる場面もあり、「リアル」な体験ができることから、女性からちびっこまで幅広い支持を集めている。怖いというより、笑いあり、涙あり、感動ありと、全体を通して爽やかな余韻を感じさせてくれる団体である。

新勢力の躍進が目立った17年

2017年の大日本は、新勢力の躍進が目立った1年であった。 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 2017年の大日本は、新勢力の躍進が目立った1年であった。

 団体の看板タイトルであるBJW認定デスマッチヘビー級王座では、アブドーラ小林から高橋匡哉、竹田誠志へと王座が変遷。戴冠当時30歳の高橋、32歳の竹田は、いずれも今回が初戴冠で、確実に世代交代の波が押し寄せている。高橋はSMASHからの移籍、竹田はアマレスや総合格闘技のバックボーンがあるなど、いずれも畑違いのジャンルから、大日本のデスマッチに憧れて、この危険なリングへと自ら足を踏み入れている。今後もこの次世代選手の活躍に刺激を受けて、デスマッチに挑戦する若者が現れるかもしれない。

 また、もうひとつの看板であるBJW認定世界ストロングヘビー級王座では、ストロングの象徴ともいえる関本大介を破り、王座を初戴冠した鈴木秀樹が、約8カ月にわたり王座を保持。191センチ、110キロの均整のとれた肉体と、昭和の匂いを感じさせるファイトスタイル、多彩なフィニッシュ技など、「外敵」でありながら説得力十分な実力でファンを惚れ込ませ、この活躍が認められて今年のプロレス大賞・技能賞を獲得した。

 同王座は12年に華々しく設立されたものの、初代王者となった佐々木義人が、負傷が原因で引退したのをはじめ、第2代王者の征矢学、第3代王者関本も負傷。第4代王者の石川晋也は王座を返上して引退と、一時は「呪われたベルト」扱いをされていたが、第5代王者となった石川修司が「自分がそのジンクスを払拭(ふっしょく)する」と、決意の王座戴冠を果たしたことで、その後はトラブルなく、15年7月20日に大日本が東京・両国国技館に初進出した際には、関本vs.岡林裕二の同王座戦が、デスマッチ王座を差し置いて、堂々のメインを務めている。元王者である関本、岡林が他団体で放つ圧倒的な存在感に加え、今年の鈴木の活躍で、いまや多くの選手が憧れるタイトルとなった同王座。来年も大日本内のイキのいい若手や、他団体の実力派レスラーが狙うベルトとなるだろう。

 BJWタッグ王座戦でも、佐藤耕平&石川修司のツインタワーズを破った関本大介&岡林裕二組から、アブドーラ小林&伊東竜二組が王座を奪取。デスマッチ戦線ではシノギを削ってきた小林と伊東だが、このコンビでの同王座戴冠は意外にも今回が初となる。タッグの魅力は、組み合わせの妙にあることから、来年も、意外なコンビが戴冠することもありそうだ。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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