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小林、伊東らFW陣はアピールできたのか?
ロシアへの切符をつかむために必要なこと

小林にとっては韓国戦が悔やまれる結果に

中国戦、韓国戦と今大会2ゴールを挙げた小林だが、韓国戦は悔やまれる結果に
中国戦、韓国戦と今大会2ゴールを挙げた小林だが、韓国戦は悔やまれる結果に【写真:田村翔/アフロスポーツ】

「ちょっと全体に下がりすぎている部分があった。守備の時も後ろで余っている選手が多かったので、前に押し出して積極的にいければ良かったんですけれど、(相手の)3バックを自分1人で見ている感じだったので。あれだけ幅を取られたら、誰かを後ろから出して(マークを)ズラしていかなければいけなかったんですけれど、うまくいかなくて、最後まで重たいままで自分も孤立していた。ボールを取った後も味方との距離をなかなか縮められなかった」と小林は不完全燃焼に終わった心境を吐露した。


 彼のようなタイプのFWは周囲といい連係を構築し、数多くのパスを供給してもらわなければ輝くのは難しい。チーム全体が機能しなかったことが、シュート2本に終わった最大の要因だろう。先の2試合ではゴール前での迫力がもっと見られただけに、小林にとって韓国戦は悔やまれる結果となった。


 加えて言うと、国内組の小林には欧州組を含めたベストチームでコンビを磨く時間的余裕がない。W杯最終予選も16年10月のオーストラリア戦から出ておらず、かなりタイムラグがある。彼は右サイドとトップの2つのポジションでプレーできるが、右サイドには久保裕也、浅野拓磨がおり、トップにも大黒柱の大迫勇也を筆頭に、岡崎慎司、武藤嘉紀、杉本健勇らがひしめいている。本田圭佑も2つのポジションで起用された実績があるだけに、小林にとっての直接的なライバルとなる。その牙城を崩すだけのインパクトを韓国戦で残せたとは言い切れないのが事実だ。ただ、E−1選手権全体で見れば、得点感覚やゴールへの推進力、万能性も示したことから、彼のロシア行きの可能性はかすかに残されたのではないだろうか。

伊東は連係が課題、スピードと突破力は魅力

伊東にはスピードと突破力の両方を併せ持つ数少ない存在という利点がある
伊東にはスピードと突破力の両方を併せ持つ数少ない存在という利点がある【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 一方、右サイドの新たなオプションになると期待が高まった伊東は、韓国レベルの相手と対峙(たいじ)した時には持ち味の仕掛けをうまく出し切れない課題が垣間見えた。


「ボールを受けて仕掛ける場面を多く作りたかったんですけれど、試合展開的に難しくなってしまった。W杯になったら相手ももっと強いですし、守備でも攻撃でもクオリティーを上げていかなければいけない。ただ、代表は時間が短いし、チームほどの連係は絶対にできないので、その中でコミュニケーションを取ってやっていかなければいけない。そこが難しさだと思います」と本人も少なからず戸惑いを覚えた様子だった。


 実際、伊東は欧州組との経験が皆無に等しく、国際舞台の経験値が少ないことも大きな課題だ。普段、同じJリーグでプレーし、特徴を理解している面々と共に戦ってもすり合わせが難しいのに、欧州組との共演になればよりハードルが上がる。仮に3月以降もチャンスを得たとしても、その問題点をどう克服していくかは簡単ではない。ただ、スピードと突破力の両方を併せ持つ数少ない存在という利点が伊東にはある。


 縦に抜け出す浅野、日ごろはセカンドトップとしてフィニッシュに特化した仕事をしている久保、タメを作るのを得意とする本田とは明らかにタイプが異なる。その特殊性を研ぎ澄ませ、ハリルホジッチ監督に必要性を強く認識させられれば、ロシア行きが見えてくるかもしれない。未来への希望を感じさせたのは確かだ。

ジョーカーとしてアピールした川又

ジョーカーとしてロシアへのチャンスを残したといえる川又
ジョーカーとしてロシアへのチャンスを残したといえる川又【写真:アフロスポーツ】

 もう1人、ロシアへのチャンスを残したのが川又だろう。3試合とも終盤15〜20分間の出場だったが、北朝鮮戦では後半ロスタイムに車屋の左クロスに打点の高いヘッドを合わせ、中国戦でも小林のゴールをお膳立てするなど、「短時間でもゴールに絡める存在」であることを力強く示した。


「自分が出てきてガラリと雰囲気が変わる? まあ、それは自分でも分かっている中でのゴール(という課題)です。正直、本当はFWとしてゴールが欲しいけれど、チームがいい方向に向くようなプレーができればそれでいい。今回は3試合しかなかったですし、リーグ戦みたいに34試合続くわけではないから、その3試合でチームにいい影響をもたらせれば優勝できたはず。これがW杯だったら、15〜20分出た俺がチャンスを決め切れるか決め切れないかで、チームが上に上がれるかどうかが決まる。そこを考えながらやっていたので悔しいですね」


 川又は複雑な胸中を明かしたが、ラスト15分で仕事をするジョーカー枠でアピールしたのは事実。その重要性を指揮官はどう認識しているのか。それ次第で、日本人離れした身体能力を誇る28歳の点取屋の今後の動向が決まるだろう。


 いずれにしても、彼ら3人、あるいは今大会結果を出せなかった金崎夢生、土居らを含めて言えるのは、ロシア本番前までにどこまでパフォーマンスを上げられるかだ。ハリルホジッチ監督の評価基準の最重要項目はコンディション。現段階では実績ある欧州組が優位なのは間違いないが、彼らが軒並み調子を落とすようなことがあれば、国内組が浮上するだろう。そこで頭抜けた結果を残している人間は生き残りの望みが出てくる。日韓戦でのアピールはそろって失敗に終わったと言わざるを得ないが、限られた枠へ滑り込むために今回の反省をどう生かすのか。彼らがこの先、注力すべきなのはそこしかない。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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