ハリル「韓国が日本を大きく上回った」 E-1選手権 韓国戦後の会見

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W杯はまた別物

多くのものが見えたというハリルホジッチ監督。今大会の結果がW杯のメンバー選考にどう影響するのか 【Getty Images】

──国民はこの結果に絶望している。半年後のW杯は大丈夫なのか?

 日本国民は失望しているということだが、私とは違った意見だと思う。もちろん違う意見があってもいいが、この2勝は素晴らしい結果だと思う。そして今日のゲームは韓国が完全に支配していて、両チームを比較してはいけないくらいの差があった。その中でベストを尽くして戦ってくれたと思う。

 W杯はまた別物だ。このチームのままで臨むわけではない。代表候補をたくさん見ようとした大会でもあった。21人か22人の選手がピッチに立った。それぞれのパフォーマンスをしっかり分析したいと思う。W杯に向けて、この中で誰が(本大会に)行けるのかということも含めて考えていきたい。もちろん今日の結果だけを見れば、失望している人もいるかもしれない。よりいい結果が残せたかもしれないため、私も残念に思っている。

 しかし、この試合の立ち上がりの10分で多くのものが見えた。相手がすべての面で勝っていた。それでも、この試合は監督のせいで負けたと思うなら、そういう記事を書いてくれて結構だ。私はこの大会で、このチームが2勝を収めたことは素晴らしいことだと思う。

 皆さんがよいお正月を迎えられることを願っている。私が就任して最も点差が開いた敗戦だったので、こういった形で終わったのは残念だ。しかし多くのことを見て、考えることができた試合だった。日本サッカーの現状を全員で見ていかないといけない。W杯で待ち受けているものが、どういうものなのかについては私も分かっている。こういったところから、しっかり教訓を得ながら進んでいかないといけない。多くのものを私は見て、把握している。これからはW杯に向けてベストを尽くしていきたいと思う。よいお年を。

韓国代表、シン・テヨン監督

今大会の優勝で、「自信を取り戻すことができた」というシン・テヨン監督 【Getty Images】

 日本、韓国ともにベストを尽くしたいい試合だったと思う。両チームとも最善を尽くした。日本と韓国にとって、W杯の前哨戦のような大会だったが、結果的に韓国が勝ったことは、われわれにとって良かった。しかし勝利をしたものの、まだまだ補うことが多くあり、W杯で良い戦いをするために日本とともに高め合っていきたい。

 韓国にとっては必ず勝たなければならない試合だったので、プレッシャーもあった。始まってすぐにPKで失点をしたが、そこで崩れることなく選手が気持ちや戦術面で建て直し、さらに逆転したことについては拍手したいと思う。

──両チームともベストメンバーではなかったが、歴史ある日韓戦で大勝しているのに監督が落ち着いている理由はなぜか。それから「W杯の前哨戦」ということだが、この大会の意義をもう少し詳しく教えてほしい。(韓国メディア)

 過去の話になるが、リオデジャネイロ五輪の最終予選(AFC U−23選手権)、決勝で日本と対戦した(編注:シン・テヨンは当時U−23韓国代表監督を務めていた)。韓国は2−0でリードしていたのに、結果として2−3で逆転されてしまった。そうした苦い経験があったので、リードしていてもどのようにプレーを展開すべきか。それ以来、常にシミュレーションするようになっていた。今日は失点して逆転したが、最後まで落ち着いて冷静に試合を分析して選手に指示を出すことができた。ドーハにおける2−3の逆転負けは、私の監督としてのキャリアに大きな傷を残したが、むしろ私にとっていい薬になったし、そういった痛みが大きな財産になったと思う。そのことによって、今日も絶対に勝たなければならない中、重圧も大きかったが、過去の失敗の経験が大いに役立ったと思う。

 2つ目の質問だが、日本と韓国はアジアの代表として共にW杯に出場する。そういった意味で、この大会は韓国だけでなく日本にとっても、勝敗に関係なくそれぞれの弱点を見つめ直す、いい機会になったと思う。日本も韓国同様、ベストメンバーではなかったが、バックアップ要員たちがどれだけ海外組の不在を埋めてくれるのか、どうカバーしてくれるのか、しっかり確認するための重要な大会だった。ベストメンバーのプランB、プランCといったものの構想を練っているが、それらを思い描きながら選手たちを試す意味で、今大会は非常に重要な意味を持っていた。

──まったく同じメンバーが数日後に試合した場合、今日と同じ結果になると思うか?(湯浅健二/フリーランス)

 数日後に対戦したら、今日のような大差で勝てるとは言い切れない。日本の代表監督は大変な名将だし、今日の試合を細かく分析して、問題点を徹底的に把握すると思うので、今日のような結果を出すのは難しいだろう。だが、もしも数日後に対戦したら、今日よりもし烈で激しい戦いになると思う。

──10月にAマッチを2試合を行い、11月は無敗。そして今日は4−1で勝った。この2回のピンチを乗り越えたことは、W杯においてどのような意味を持つか?(韓国メディア)

 2回のピンチということだが、国内で急きょ代表監督に選ばれたということもあり、さまざまなことを言われてきた。当初、就任したときは9大会連続本大会出場が目標ということで、最終予選では試合内容よりもW杯のチケットを得ることにすべてを懸けたと言っても過言ではない。10月のAマッチは、国内組を主体で欧州に遠征してファンをがっかりさせる内容に終わったのも事実だ。11月に入ってからは無敗ということで、親善試合ではあったがいい結果を残すことができた。選手たちも少しずつ力量を向上させてきたし、この大会で優勝したことで、ようやく選手たちも、そして私を含むコーチングスタッフも自信を取り戻すことができた。ロシアの本大会に向けて、もう少し心に余裕を持って、完璧に近い形で準備ができるのではないかと思う。

──戦略的にうまくいったと思うが、キム・ミヌとキム・ジンスを同時に起用した意図は何か。そして途中交代から得点を挙げたヨム・ギフンの起用意図、最後に3バックを活用したことについても説明してほしい。(韓国メディア)

 キム・ミヌとキム・ジンスはポジション争いをさせていて、2人とも攻撃的なプレーをしている。キム・ジンスは日本(アルビレックス新潟)でプレーしていたときも、同様のポジションをやったことがあるということで、同時に使うことで2人をどういう動きかということを確認したかった。ヨム・ギフンは入ってすぐにFKで得点を決めたが、この選手をこういう場面で起用するとどうなるか、というシナリオを頭の中で思い描いていた。今大会で彼は2試合を戦っていたが、その間も「こういうシーンではこの選手がいいのではないか」「こういう場合は別の選手がいいのではないか」ということを常に考えていた。しっかり準備していた戦術が、今日は非常に通用していたと思う。日本戦についてもそれを徹底的にやっていて、「この選手を交代に入れてくるのではないか」ということを、しっかりとシミュレーションしながらフォーメーションを考えていた。今日はそれが非常にうまくいったと思う。

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