オグリの奇跡、有終の豪脚ディープetc. 有馬記念引退レースをプレーバック
15年ゴールドシップ 個性派らしい別れのあいさつ
“牝馬の時代”を作った1頭、ブエナビスタの引退式には約6万人ものファンが残り別れを惜しんだ 【写真:中原義史】
そんなブエナビスタも有馬記念は2年連続2着と惜敗し、三度目の正直だった引退レースでも7着。国内では初めて掲示板外に敗れたわけだが、最後のこの敗戦でこれまでの戦績に傷がつくわけはなく、牡馬を相手に伍したブエナビスタの奮闘を多くの人は称えた。そして、今度は母ビワハイジから続く新・華麗なる一族の確立へ、名繁殖牝馬としての役目も期待されている。
大きな声でいななく、記念撮影に収まろうとしないなど、ゴールドシップは最後まで個性派らしい姿を見せてくれた 【写真:中原義史】
ラストイヤーとなった15年は天皇賞・春で横山典弘を背にドラマチックな勝利を挙げるも、その後は前述した宝塚記念で大きな出遅れが響き15着、ジャパンカップも8着と大敗続き。引退レースとなった有馬記念は最初の主戦・内田博幸とのコンビを復活させ、大きな着順での連敗中にも関わらずファンは1番人気に支持した。「それでもゴールドシップならやってくれる!」。そんな期待感を抱かせる馬だった。
結果は8着に終わったものの、引退式では内田の涙を誘うスピーチに呼応するように大きくいなないたり、記念撮影で人垣の間にまったく入ろうとせず後ずさりしたりと、最後まで“らしい”キャラクターを貫いたゴールドシップ。勝っても負けてもこれほどまでにファンに愛された個性派最強馬という意味では、ここ10年では彼の右に出る者はいないのではないだろうか。
最強古馬テイエムオペラオー(右)が敗れ、若駒マンハッタンカフェが勝つ――世代交代のコントラストが色濃く出た2001年有馬記念 【写真は共同】
今年は最後にどんなドラマが待っているのか
(文:森永淳洋/スポーツナビ)