大谷が米国で二刀流を成功させるには? 元メジャーリーガー藪恵壹氏が私案を披露
日本ハムでは入団から5年間、二刀流を貫いた大谷。投手として42勝、打者として48本塁打をマークしている 【写真:BBM】
提案1:先発“6番手”で打者出場も確保
エンゼルスが大谷選手サイドに対して具体的にどのような二刀流プランを提示し、また大谷選手自身がどのような二刀流像を理想と考えているのか、今後、明らかになるのでしょうが、ここでは私が考える「メジャー1年目に二刀流を成功させる方法」について、私なりの提案をもとに解説したいと思います。
まず、一部報道で触れられている“先発1、2番手”でシーズンを通して先発ローテーションを守るプラン、つまりこれはエース格として働くことを意味していますが、率直に言って難しいでしょう。もちろん、投手に専念するのであれば可能性はあります。しかし、大谷選手は二刀流を最優先するのですから、ある程度の打者としての出場数の確保も考えなければいけません。
また、NPBとMLBの先発投手に対する考えの違いも考慮に入れる必要があるでしょう。そもそもレギュラーシーズンが143試合制で先発投手は6人で中6日の登板(つまり1週間に一度の登板)が基本のNPBに対し(エンゼルスも6人制に前向きなようですが……)、MLBはそれよりも19試合も多い162試合制で、先発投手は5人で1年間をローテーションするのが基本です。つまり、最も登板間隔が短くて中4日。1週間に2度登板することもザラなわけです。この場合についてシミュレーションをすると、登板の前に2日間の調整日、後にも1日のリカバリー(もしくは休日)を設けると、純粋に野手として試合に出場できるのは週に2試合まで。そもそもの打席数が限られてしまいます。そして最も不安なのは大谷選手のこれまでの経験です。
【表A】大谷翔平の年度別投手成績 【写真:BBM】
【表B】2017年度のMLBの主な先発投手の成績(△は左投げ) 【写真:BBM】
そこで現実的に考えられるプランが、ローテーション5(FIVE)から大谷を外し、先発6番手に位置付けることです。短くても中6日、つまり最大で1週間に一度の登板となるようにローテーションに手を加え、その間に野手として3試合の出場を目指します。日曜に先発、火曜〜木曜は野手で出場という『大谷メジャー1年目の1週間の理想的なサイクル』はある期間の日本ハム時代の1週間の流れをベースにしたものですが、この中でコンディション調整のために先発登板を何度か回避しつつ、20試合、120イニング前後(1試合6イニング)が理想の目安となるでしょうか。勝ち星は10勝プラスアルファ。これが現実的な数字ですね。
打者としては登板日にDH解除で2〜3打席に立つと予想し(微妙ですが……)、年間40〜60打席、登板日以外に70試合にDHで4打席に立って280打席にこちらもプラスアルファで、計320〜380打席でしょうか。ちなみに、16年の382打席がMAXで、300打席以上はこれ一度だけですから、イニング同様にここが限度と考えられると同時に、20試合に投げて70試合に野手で出場できれば、結果は別にして、ひとまずは“二刀流成功”と言えるのではないでしょうか。