今年馬券を買い続ければ儲かった騎手は? 単勝回収率で目を引く吉田隼人

JRA-VANデータラボ

「回収率」に注目

 師走競馬に突入したこの時期、例年よく話題になるのが各種リーディング争いだ。ただ、我々ファンの立場からすると、「いくつ勝ったか」よりも、「どれだけの確率で勝ったか(勝率)」や「買い続ければ儲かったのか(単複の回収率)」のほうが、目の前のレースや通年の馬券で好結果を残すためには重要だ。そこで今回は、今年の「回収率」に注目してジョッキーの成績を見てみたい。データの分析には、JRA-VAN Data Lab.とTarget frontier JVを利用し、本年の11月25日までを対象とした。

単勝回収率ランキング(20勝以上)

表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 まず表1は、今年の中央競馬全レースにおける単勝回収率ランキングである。騎乗数が少ないと1つの大穴で回収率が極端に高くなりやすいほか、今後の役にも立ちづらいため、この表では本年の勝利数20勝以上のジョッキーを対象としている。

 その中でトップに立ったのは藤岡佑介騎手だ。今年の初日、京都1レースで単勝5570円の穴を出すと、1月28日には後の菊花賞2着馬・クリンチャーでなんと単勝2万4480円を記録した。ただ、10月半ば以降は好走しても2〜3着ばかり、そして11月25日〜12月3日まで騎乗停止になるなど、ここにきて当初の勢いを欠いているが、その分、復帰後の巻き返しに期待したい。

 同じく126%で続くのは丸山元気騎手。こちらは3月26日・中京11レースの鈴鹿特別で記録した単勝3万馬券が効いている。ただ一方で、単勝4倍未満の支持を受けた馬でも【9.5.4.5】で勝率39.1%、複勝率78.3%と安定した結果を出し、単複の回収率はともに110%をマークした。11月26日には負傷で乗り替わりになったが、翌週にはすぐ復帰しており、今後も穴馬はもちろん、人気馬でも狙っていきたい。

 そして3位は岩崎翼騎手で124%。こちらは単勝13番人気の3歳牝馬で3勝……、といっても、そんな馬をピンポイントで狙うのはなかなか難しいが、一方で単勝1〜3番人気馬で【13.7.8.16】勝率29.5%、単勝回収率127%をマーク。さらに、単勝4倍未満の馬ではなんと【8.1.2.1】で勝率66.7%、複勝率91.7%と驚異的な数字を叩き出している。本稿執筆中の12月2日中京3レースでも、単勝2.7倍の1番人気・スリーランディアでしぶとくハナ差勝ちを収めており、こちらも上位人気でも注目したいジョッキーだ。

吉田隼人騎手の単勝オッズ別成績

表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 そして表1の中でも目を引くのが、唯一の勝率10%台・12.1%を記録し、単勝回収率も116%で6位に入った吉田隼人騎手だ。表2は同騎手の単勝オッズ別成績を調べたものだが、単勝50倍以上では1勝のみ。別途人気で見ると11番人気以下は【0.2.1.127】。つまり、人気薄での一撃、二撃で大きく回収率を上げたのではなく、安定して人気相応以上の結果(勝利)を重ねることで、100%を超えてきているということだ。

 全体的に見ると、単勝3倍未満や、ひと桁台後半でやや落ち込むものの、3〜4倍台や10倍以上50倍未満ではいずれも100%を突破。3倍以上50倍未満の全馬を買っても138%になるので、あまり細かいことを気にせず狙っていく(覚えられない)なら、そのゾーンに入った馬すべてに手を出しても悪くない。こちらも本稿執筆中の12月2日中山1レースで、単勝12.2倍のロータスクイーンを勝利に導いた。

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