フルスイングにこだわるDeNA・細川 2年目は1軍定着、レギュラー争いへ

週刊ベースボールONLINE

持ち前のフルスイングでその名を売ったDeNA・細川。CSや日本シリーズの大舞台でも快音を残した 【写真:BBM】

 横浜DeNA・細川成也はプロ初打席初本塁打のデビューを飾り、日本シリーズでも高卒新人野手としては史上初となる、初打席で安打を放った若きスラッガーだ。今回はルーキーイヤーの1年を振り返ってもらった。

入団前は想像できなかった1年

 春季キャンプのフリー打撃でサク越えを連発。高卒ルーキーとは思えない飛距離から「アレックス・カブレラ(元西武ほか)のようだ。彼くらいのパワーがある」とラミレス監督に言わしめた。シーズン当初はプロのレベルに戸惑ったが、徐々に対応力を見せ1軍昇格を果たした。

──今季、終盤に1軍デビュー。以降、CS、日本シリーズを戦い、休む間もなく奄美での秋季キャンプへ。めまぐるしい1年目のシーズンでした。

 そうですね。でも、最後の最後に1軍に上がって結果を残せた。いい1年だったと思います。(10月3日、中日戦のプロ初打席で)ホームランを打てたこともそうですが、CS、日本シリーズに出場させてもらったことが大きかったです。1年目からなかなか経験できることではないですし、入団前には想像できなかったことです。

──ファームでは114試合に出場し、規定打席をクリア。ただ、打率2割0分1厘、10本塁打でしたが、182三振(イースタン・リーグ記録を41も更新)。この結果をどう振り返りますか。

 三振が多くて、打率も残せませんでした。自分としてはもっとホームランを打ちたかったんですが、なかなかいい結果につながりませんでした。ファームで過ごした日々は「悔しい」の一言でしたね。

──どのようなところにプロのカベを感じましたか。

 真っすぐはとらえられても、変化球はまったく対応できませんでした。課題として打撃の確率を上げていかなければならないと感じました。甘いボールをひと振りで仕留めること。そしてボールの見極めもしていかないと、上(1軍)ではやっていけないです。ファームでの試合が終わり寮に帰ってからも、夜間にしっかりとバッティングやティーをやって課題克服に取り組んできました。うまくなるための近道はなく、練習しかないと思っているので毎日欠かさずやりました。

──なかなか結果が残せず、苦労した部分もあったと思います。

 自分の中では早く結果を出したかったんですけど、なかなかうまくいきませんでした。そうした状態でもフルスイングにはこだわっていました。僕の長所はそれしかないと思っています。ファームの高須(洋介)チーフ打撃コーチ(来季から東北楽天)、小池(正晃)打撃コーチ(来季から外野守備走塁コーチ)からも「自分の形は崩すな」と言っていただいたので、そこはブレずにやってこれました。今季は、まず自分の好きなようにやって、その結果を見て来年修正していこう、という方針でやらせてもらいました。今年1年は自分で考えて打撃に向き合うことができました。

──その中でフルスイングを貫くことができた。

 そうですね。ただ、ファームで三振が増えてしまって、「当てにいきたい……」と心が揺らいだ時期もあったんです。でも「変えてはダメだ」とコーチに言っていただき、自分の強さでもあるフルスイングを続けることができました。

──バットを寝かせた構えから、トップに移行する流れが特徴的な打撃フォームです。

 タイミングの取り方は高校の監督(明秀日立高・金沢成奉監督)からアドバイスをもらい一番しっくりきたフォームなので、現時点では変えるつもりはありません。

──CSと日本シリーズでは、安打、タイムリーも記録しました。印象深い打席は?

 広島戦で大瀬良(大地)さんからタイムリー(CSファイナルステージ第5戦、4回2死一、二塁で適時打)を打ったのが印象に残っています。ネクストで待っている間は緊張しましたが、打席に立ったら緊張はどこかに飛んでいった。素直にうれしかったです。

あこがれの筒香から「スタイル崩すな」

 ポストシーズンで印象に残る活躍を見せたとはいえ、技術的には足りない部分のほうが多い。来季も2軍で技術を磨きながら1軍を目指す戦いが続くだろう。本人はそれを自覚しながらも、視線は目標とする左打者の背中を追う。

──これからの課題として、自身でも挙げたように変化球への対応力があると思います。

 慣れていくしかないと思います。後半戦は変化球もちょっとずつ見極められてきました。自分の中ではまだ変化球を狙って打つことは難しい。ボール球は振りにいって止められるようにしないと上(1軍)では結果が残せません。来年も引き続き、磨いていきたいです。

──入団前からあこがれの選手は筒香嘉智選手でしたよね。一緒にプレーしてどう感じましたか。

 日本シリーズでもそうでしたが、ここぞの場面で打つ勝負強さはすごい。自分もベンチで見ていて、ああいう打者になりたいと、あらためて思いました。

──筒香選手からは何かアドバイスをもらいましたか。

「自分のスタイルは崩すなよ」と言っていただいています。

──11月25日からは台湾ウインター・リーグに参加しています。

 シーズン後半からいい形できているので、さらに台湾でどこまで結果を残せるかを試したいですね。打率、本塁打と数字も気にしていきたい。自分の中でも楽しみです。

──では、2年目に向けての意気込みを。

 1軍に定着すること。そして、外野手のレギュラー争いに割って入っていきたいです。1軍の外野手の壁はかなり高いですが、越えていかなければ試合には出場できません。しっかり練習してレベルアップしていきたいです。

──代打よりも外野での出場を目指す。

 そうですね。将来は外野のレギュラーで試合に出たいと思っているので、もちろん代打で出たときは、そこで結果を出さなければ外野のレギュラーにもなれません。頑張ります。

(取材・構成=滝川和臣)
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