【ディファカップ】トーナメントはDDT22歳コンビが優勝 潮崎が「男豪三兄弟」でまさかの“覚醒”

高木裕美

2年ごとの開催「ディファカップ」が10年ぶり復活

10年ぶりのディファカップが開催。来年6月に閉鎖される“聖地”に新たな1ページが刻まれた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 東京・ディファ有明を舞台とするタッグトーナメント「ディファカップ」が28日、約10年ぶりに復活。来年6月の施設閉鎖を前に、「ディファカップ・メモリアル2017」として、一夜限りの夢の競演が実現した。

 ディファカップの第1回大会は、03年2月8日&9日の2日間にわたり、プロレスリング・ノア、プロレスリングZERO−ONE、闘龍門JAPAN、WEW、IWA・JAPANの5団体共催で開催された(団体名は当時)。優勝したのは 闘龍門のウルティモ・ドラゴン&YOSSINO(現・吉野正人)の師弟コンビ。準優勝はZERO−ONEの高岩竜一&佐々木義人組。なお、3位決定戦では、ノアのKENTA&鈴木鼓太郎組がDDTのMIKAMI&KUDO組に勝利している。

 第2回大会は約2年後の05年5月7日&8日に、ノアとZERO1−MAXの運営会社ファースト・オン・ステージの共催で開催され、ノアの丸藤正道&KENTA組が優勝。ZERO1−MAXの日高郁人&藤田ミノル組が準優勝している。また、3位決定戦では、カズ・ハヤシ&レオナルド・スパンキー組が、タイガー・エンペラー&スペル・シーサー組を破っている。

 なお、当時初代GHCジュニアタッグ王者組でもあった丸藤&KENTA組は、優勝賞金100万円をZERO1−MAXの星川尚浩選手のために寄付。また、同大会では、大阪プロレスを退団し、“大人の事情”でリングネーム&キャラクター変更を余儀なくされた元えべっさんが、「えべ太郎」として初登場。その後、現在の菊タローへと改名している。

 第3回大会も、やはり2年後の07年5月5日&6日にグローバル・レスリング連盟(GPWA)の主催により行われ、KAIENTAI−DOJOの真霜拳號&円華組が優勝。準優勝はDDTのHARASHIMA&飯伏幸太組で、3位決定戦では、ZERO1の日高郁人&浪口修組が、プロレスリングElDoradoのKAGETORA&ヘラクレスオオ千賀組に勝利している。

 なお、GPWAとは、日本のプロレス団体における統一コミッション設立を目指し、ノアの三沢光晴社長が会長、ファースト・オン・ステージの中村祥之取締役が事務局長を務めた連盟である。新日本プロレス・全日本プロレスの2大老舗団体は加入しなかったものの、複数の団体・個人が加盟。06年11月14日には後楽園ホールでGPWA興行「Realize」も開催されているが、翌年のディファカップを最後に、活動休止状態となっている。

竹下が中嶋へのリベンジ デビュー1年の上野も奮闘

トーナメントは竹下&上野組の22歳DDT同級生コンビが優勝 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 GPWAが機能しなくなったためか、これまで2年おきのペースで開催されてきたディファカップも長き眠りにつくが、ディファ有明の閉鎖決定に伴い、実に10年ぶりに復活が決定。1DAYトーナメントとなる今回は、1回戦で竹下幸之介&上野勇希組(DDTプロレスリング)vs.葛西純&平田智也組(プロレスリング FREEDOMS)、中嶋勝彦&熊野準組(ノア)vs.高岩竜一&ショーン・ギネス組(ZERO1)が激突。決勝戦は、竹下&上野組vs.中嶋&熊野組という顔合わせとなり、22歳のDDT同級生コンビが優勝を果たした。

 竹下は現KO−D無差別級王者として、史上最多記録となる9度の防衛中。パートナーの上野は、竹下と大阪市立咲くやこの花高等学校の同級生であり、竹下の試合に触発されてプロレス入りしたデビュー1年生である。

 一方、中嶋は15歳でデビューし、さまざまなリングを経験後、ノアに入団。昨年は初のGHCヘビー王座を戴冠した。パートナーの熊野は、ノア生え抜きとして13年にデビュー。このディファ内にあったノアの合宿所・道場で修業を積んでおり、この会場に対する思い入れは強い。

 竹下と中嶋は、竹下がデビュー丸1年の13年8.18DDT東京・両国国技館大会で一騎打ちを行っており、15分39秒、垂直落下式ブレーンバスターで中嶋が勝利している。

 キャリアのもっとも浅い上野は、キレのあるドロップキックで奮闘。竹下も中嶋に対し、4年間の成長を見せ付けるブルーサンダー、エルボー、ドラゴンスープレックスを繰り出す。熊野は竹下にMNを決め、2人がかりでエルボーを打ち込むが、上野がミサイルキックで2人まとめて吹っ飛ばす。15分過ぎ、熊野に対し、上野、竹下が連係のフロッグスプラッシュを打ち込むと、熊野も竹下をアルゼンチンバックブリーカーでとらえて意地を見せるが、竹下はこれを切り返すと、豪快なジャーマンスープレックスで勝利をつかんだ。

 かつて「両国でボッコボコにされて負けた」中嶋に対し、「借りを返すまではいかないけど、少しは僕のことを思い出してくれたと思う」と、心ばかりのリベンジを果たした竹下は、今回のディファカップで、強い選手、強い団体がいると実感したことで、「DDTを最高で最強の団体にするため頑張っていく」と、さらなる精進を決意。

 一方、デビュー1年で早くも大きな勲章を手に入れた上野も「すごくうれしい。竹ちゃんと2人で戦って獲れたのも幸せ。ありがとう」と喜びをかみ締めるも、初体験となる中嶋のキックには「死ぬかと思った。今まで食らった中で、ダントツでメチャメチャ痛かった」と本音を吐露。それでも、「これからもっともっと進化していく」と、今回の経験を糧に、トップレスラーを目指していくことを誓った。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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