「自分に勝つチャンスは4年に1回」 高梨沙羅、金メダルへの覚悟を語る

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「私の力不足」。2014年ソチ五輪でのジャンプを終えた当時17歳の高梨沙羅は、4位に終わった後、目を赤く腫らしながらそう答えた。あれから4年、女子スキージャンプにとって2度目の五輪がやってくる。

 悔しさを糧に積み上げたワールドカップ(W杯)の勝利数は53。あと1勝を挙げれば、男女通じて歴代最多勝利数となる。18年2月の平昌五輪でも金メダル候補筆頭に挙げられる高梨は、この4年間でどのように成長し、次の五輪でどのように戦おうとしているのか。11月3日〜5日まで札幌で行われた国内大会3連戦を終えた高梨に話を聞いた。

「試技でも良いジャンプを」

11月上旬、札幌での3連戦を終えた高梨 【写真:大橋泰之】

――この3連戦の手応えはいかがでしたか?

(ジャンプ台の)レールが冬仕様のアイストラックで、(着地する)下はサマーで人工芝とハイブリッドの試合ではあったのですが、若干冬の感覚とは違うものながらも、近いものを体感することができたこの3日間でした。

 冬本番の試合に向けての良い経験をさせていただけて、その中で自分をそこに向けてどうコントロールしていくかが鍵になっていくと考えていました。

 最初にノーマルヒル、続いてラージヒル2戦だったので、ノーマルからラージへの移行や悪天候なども含めて、いろいろ自分をコントロールすることが大変でした。

――ノーマルヒルとラージヒルはどちらが好きですか?

 私はラージのほうが好きですね。空中にいる時間が長いので。

――飛距離が長い方が好き、ではフライングヒルはいかがですか?

 フライングヒルは飛んだことがないのですが、飛ぼうとも思わないですね、飛ぶ距離も(ラージヒルの)倍近くて恐怖心もでてしまうくらいなので、本当にあれは別物だと思います(笑)。

――五輪で女子ジャンプはノーマルヒルしか行われないので残念ですね。

 女子ももうちょっと(男子のようにラージヒル、団体など)種目が増えてくれるとうれしいですね。

――3戦2勝という結果には満足していますか?

 結果というよりも内容を見ると、今の最低限のことはできたと思うんですけど、もう少し改善していかなければならない反省点は見えました。冬のW杯に向けて課題をしっかりまとめて、合宿で改善していきたいなと思います。

――それはどのような課題ですか?

 1本目や試技の段階で必ず失敗が出てしまうのですが、(試技と本番2本の計)3本とも同じ良いジャンプを安定して飛べるようにすることが必要です。(ジャンプ台で)しっかり重力を感じて飛べるように、練習から意識付けしていきたいです。

ソチでは「のみ込まれた」

ソチでの経験から「五輪は別物」と語る 【写真:大橋泰之】

――初めての五輪で「魔物」は見ましたか?

 ソチ五輪までは(W杯などと)同じ試合のひとつとして頑張ります、という意識で臨んだのですが、やはり五輪は別物で、感覚の違いがありました。(そこに)のみ込まれた自分はいたと思います。(次の五輪では)心構えをして、しっかり自分をそこまで準備させていかなければいけないなと思いますね。

――21歳となり、4年前と立場の変化は感じますか?

 明らかに若手ではないと思うので、下から出てくる子たちに今まで自分が経験してきたことを教えてあげられるような、器のある選手になりたいと思っています。まだまだ先輩たちから学ばなければいけないことや勉強させていただくことも多いので、その背中を見て学びながら、下の子たちにも教えてあげられるような選手になりたいです。

 技術的には今、どんどん女子ジャンプのレベルも上がってきています。自分もその流れに置いていかれないように、自分の目指すジャンプに向けて陸上でのトレーニングから技術を積み重ねていかなくてはならないなと思います。

――その中で4年間、トップジャンパーの地位を守ってきました。

 何をもってトップジャンパーなのかなって思うんです。ジャンプ台によって(誰しも)得意不得意があります。もちろんその時の自分のベストは尽くしますが、そのジャンプ台をいかに攻略できるかという競技だと思うので。

 やるべきことは一緒でも、そのジャンプ台のGをしっかり感じていかに飛べるか。それを攻略できたことで、結果が付いてきたという感じです。

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