今季の日本ハム投手陣を振り返る 吉井コーチの指導スタイル(7)
今季10勝13敗、防御率4.74だった有原について、吉井コーチは「3年目の壁に跳ね返されたようなシーズン」と見ている 【写真は共同】
「成績だけ見ると目立った活躍をした投手はいないのですが、個々の成長を見ると割と順調に来ているのかなという感じですかね。ゲーム展開とか運とかが向けばブレークしていたかもしれない選手が何人かいましたね」
そこで吉井コーチから見た成長具合を、先発陣、中継ぎ陣に分けながら具体的に説明してもらった。
まず先発陣だが、以前も紹介したように、吉井コーチは新しい試みとして成長が期待される有原航平、加藤貴之、高梨裕稔の若手3投手を対象に、登板翌日に本人に投球を客観的に分析させる“振り返りの時間”を設けてきた。シーズン終盤には三者三様ながら、その成果が出てき始めたと言う。
それぞれの投手についてはこう語る。
有原について
打たれた場合の振り返りの中で『ストライクを投げ急ぎすぎました』という発言が多くなって『もっとインコースを使わなければいけない』というところから、『ストライクからボールになる変化球を使わなければいけない』と気づいていった感じですね。まだまだ自分の能力だけでやっている部分があるんですけど、少しずつ変わってきたのかと思います」
加藤について
結果的には6勝していますし、最終的には(投球内容も)去年と同じぐらいか、少し良くなった気がしています。今までは『打たれちゃいけない』と気持ちが強すぎてやられることもあったんですけど、そこを『自分の役目は6、7回を投げてチームが勝てるチャンスをつくれればいい』という考えになり、立ち上がりの入り方もうまくなったと感じています。精神面も1つ上に上がった印象です」
高梨について
新たな若手先発投手の台頭に期待
「もともとは3人と一緒に振り返りをやろうと思っていたのが上沢(直之)です。結果的に彼の場合は2軍の方が長くなってしまったのでできませんでしたが、本当は今年から(先発枠に)入ってきて欲しかったです。でもシーズン後半の活躍や練習のやり方を見ていると、(自分のやるべきことを)分かってきた感じはしましたね。他には今年2勝してくれた吉田(侑樹)が5、6番手でいいので、ローテーションに入ってくれたらいいなと思っています」