【新日本プロレス】年末恒例のワールドタッグリーグが開幕 ジュース&サミがロス・インゴ破る金星

高木裕美

「WORLD TAG LEAGUE 2017」が開幕。初日から波乱の展開となった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 新日本プロレス「WORLD TAG LEAGUE 2017」開幕戦となる18日の東京・後楽園ホール大会では、札止めとなる1732人を動員した。

 新日本のタッグリーグ戦は、1991年から98年までは「SUPER GRADE TAG LEAGUE」、99年から2011年までは「G1 TAG LEAGUE」として行われ、12年から現在の名称に変更された。なお、新日本では、6月前後に開催されるジュニアの祭典も、当初の「TOP OF THE SUPER Jr.」から「BEST OF THE SUPER Jr.」に改称されていたり、92年から実に26年間続く1.4東京ドーム大会の名称も、92年から00年の「闘強導夢」系から01年から05年の「WRESTLING WORLD」、06年の「闘魂始動〜CHAPTER1〜」を経て、07年から現在まで「レッスルキングダム」になったりと、名前の変動が激しい。

 同じく1972年設立で、共に今年、旗揚げ45周年を迎えた全日本プロレスが、73年から「チャンピオン・カーニバル」(途中、休止期間あり)、78年から「世界最強タッグ決定リーグ戦」を現在まで同一名称で毎年継続しているのと比べると、それぞれの団体のカラーの違いを顕著に感じるところである。

 今年の「WORLD TAG LEAGUE」では、A、B各ブロックで8チームずつが総当たりリーグ戦で激突。12.9今治まで公式戦を行ない、各ブロックの1位同士が、12.11福岡で行われる優勝決定戦で雌雄を決する。

 今年の注目ポイントは、すでに1.4東京ドーム大会で対戦カードが決定しているオカダ・カズチカ、内藤哲也、棚橋弘至、ケニー・オメガのエントリーが見送られたこと。これにより、1.4ドーム大会では、このタッグリーグ戦の優勝チーム絡みのタイトルマッチが組まれる可能性が決定的となった。シングルプレーヤーではなく、「タッグ屋」としての活躍を求める選手たちにとっては、またとないチャンスだろう。

Aブロックに天コジ、永田&中西 第三世代が意地みせるか

Aブロックに並ぶ中西、天山、永田、小島の第三世代。リーグ戦で意地を見せられるか 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 Aブロックの注目は、「天コジ」こと天山広吉&小島聡組だ。IWGPタッグ王座を最多記録となる6度の戴冠に成功しており、かつては団体の枠を超えてタッグを組むなど、その歴史と絆の深さはプロレス界随一。今年の3.6大田区大会で王座戴冠した際には、欠場中の本間朋晃に向かって「本間が復帰するまでベルトを守り続ける」とメッセージを送るなど、人情にも厚い(残念ながら、初防衛できずに王座転落)。11月4日には、2人の師匠である大剛鉄之助さんが死去していることから、このリーグ戦で天国に優勝を捧げたいと願っているだろう。

 また、天コジと同じ第三世代の永田裕志&中西学組にとっても、今回のリーグ戦で結果を残し、東京ドーム大会本戦への切符を手に入れたいところ。永田は卒業を宣言した今年夏の「G1クライマックス」で大惨敗に終わっており、今年、同じくデビュー25周年を迎えた盟友・中西と共に、もうひと花咲かせるためにも、チームワークとキャリアで、若手食いを狙っていくだろう。

 この日はこの第三世代の4人でタッグを組んでバレットクラブと対戦し、小島が伝家の宝刀ラリアットでチェーズ・オーエンズを粉砕。天コジとして9年ぶり3度目の優勝へ向け、好調ぶりを見せ付けた。

王者組がそろうBブロック 真壁の新たな勲章は?

ヘナーレ(左)とのタッグでリーグ戦制覇を狙う真壁(右) 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 一方、Bブロックは、現チャンピオンである78代IWGPタッグ王者組のKESことランス・アーチャー&デイビーボーイ・スミスJr.組をはじめ、第73代王者組の石井智宏&矢野通組、第75代&77代王者組のハンソン&レイモンド・ロウ組、第76代王者組のタマ・トンガ&タンガ・ロア組と、今年、タッグ王座を巻いた4チームがひしめく激戦区。実力きっ抗な顔触れだけに、いかに効率よく勝ち点を獲得し、決勝戦の舞台に躍り出られるかがカギとなりそうだ。

 また、15年&16年と連覇を達成した真壁刀義&本間朋晃組は、今年は本間が負傷欠場中のため、真壁が新たにヘナーレをパートナーに従えて臨む。ヘナーレは昨年は中西学とのコンビで初出場してインパクトを残し、今後の活躍が期待されたが、2.21後楽園大会で左アキレス腱を負傷。今大会が復帰戦となった。この日は公式戦がなかったが、6人タッグに出場し、鈴木軍と対戦。真壁がデイビーボーイ・スミスJr.を豪快なラリアットで吹っ飛ばせば、ヘナーレもフライングショルダーを繰り出し、チームの勝利に貢献した。最近は国民的人気CMにも出演し、ますます知名度がアップしている真壁にとっては、このあたりで明確な勲章を手にし、片手にチェーン、片手にベルトで、さらなる露出をはかりたいところだろう。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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