稲葉監督「薮田は自分のピッチングを」 アジアプロ野球CS・開幕前日会見

中島大輔

前日会見で大会への意気込みを語った日本代表の稲葉監督、台湾代表の洪一中監督、韓国代表の宣銅烈監督(左から) 【写真は共同】

「アジア プロ野球チャンピオンシップ」の前日会見が11月15日、東京ドームで行われ、野球日本代表(侍ジャパン)の稲葉篤紀監督、韓国代表の宣銅烈監督、チャイニーズ・タイペイ代表の洪一中監督が出席。今大会への意気込みを語った。

守りの野球をしながらいかに点を取るか

 以下、3人の監督の会見の模様。

――3監督に聞きます。大会前に選手に伝えたことは何ですか。

洪監督:「試合ではネガティブな考え方を持たず、実力を発揮してくれ。この試合を楽しもう。なるべくいい成績を出そう。素晴らしい試合を見せよう」と言いました。

宣監督:今回の大会に向けた準備は短い期間で、練習試合を3試合しました。その最後の日に、「自信を持て」と言いました。東京ドームで試合をするのは初めての選手がほとんど。大観衆の前で緊張すると能力を発揮できないので、「自信を持つように」と話しました。

稲葉監督:宮崎合宿で5日間のうち3日練習、練習試合を2試合やらせてもらいました。若い選手は元気があって、一つになっていくチームに仕上がりました。選手には「日の丸を背負って戦うということは、まず勝利が大事。勝つために、自分がどうしなければいけないかを考えながらやってほしい」という話をしました。

――各チームの打線のキーマンを教えてください。

洪監督:王柏融(ワン・ボーロン/Lamigo)です。台湾での練習試合では低調でしたが、力を発揮してくれると期待しています。力のある打者です。彼にかかっていると言っても過言ではありません。

宣監督:韓国のカラーとしては、長打力より機動力を押し出していきます。打撃ではコンタクト能力があります。1、2番がいい状態です。キーパーソンは、金ハソン(キム・ハソン/ネクセン)、具滋ウク(ク・ジャウク/サムスン)、朴ミン宇(パク・ミンウ/NC)です。

稲葉監督:日本としましては機動力をしっかり使っていくのと、クリーンアップは山川(穂高/埼玉西武)選手を中心に、上林(誠知/福岡ソフトバンク)選手、近藤(健介/北海道日本ハム)選手でどっしり組んでいく打線にしていきます。

――優勝に向けてどんな戦い方をしていきたいですか。

洪監督:一つ一つの試合で、たくさんの強い敵と戦います。日本も韓国も素晴らしい選手がいます。でも、台湾は弱者ではない。全力で、いい成績を出せるように。(ここまでの練習試合では)うまく行っていないところもありますけど、全力を尽くすだけです。

宣監督:チームには若い選手がほとんどです。緊張せず、自分のプレーをしっかりしてくれれば、いい結果が出ると思います。

稲葉監督:両チームは本当に打撃がいいので、とにかくピッチャーを中心とした守りの野球をやっていきながら、どうやって点数を取っていくかだと思います。

――稲葉監督と宣監督に聞きます。明日の先発投手が決まっていたら、教えてください。どんなピッチングを期待しますか。

宣監督:張現植(チャン・ヒョンシク/NC)です。ペナントレースでは4シーズン、自分のボールを投げていました。潜在能力が素晴らしい。持っている力を発揮できれば、いい結果を出せると思います。日本の機動力に備えたいです。張現植はスライダーが非常にいい投手です。

稲葉監督:薮田(和樹/広島)投手で行きます。広島で今年、非常に勝ち星が多いです。強い真っすぐを投げますので、韓国のバッターはストレート系に強いという情報が来ていますけど、とにかく自分のピッチングをしっかりしてほしいと思います。

韓国・宣監督は日本の機動力を警戒

――3人に聞きます。相手2チームで警戒する選手を教えてください。

洪監督:韓国も日本も、投手も打者もいいチームで、みんな注意が必要です。数日間ですべての選手を研究して理解するのは難しい。野手、投手ともに全員警戒すべきだと思っています。

宣監督:日本には制球力がすばらしい投手が多いです。警戒しています。若い選手たちには機動力があります。それが張現植を先発に選んだ理由でもあります。薮田投手はペナントレースで15勝した投手と聞いています。台湾の王柏融選手は4割打者で警戒すべきです。

稲葉監督:台湾は王柏融選手が打線の軸でありますから、警戒しないといけないと思っています。韓国は投手陣が宣監督になられて、投手力をしっかり強化してきたと思います。独特の投げ方、少しバッターのタイミングを外す投手を選んできているなと、警戒しないといけないと思っています。

――稲葉監督に質問です。選手時代に韓国と対戦したことはありますか。もしそうなら、印象に残っていることを聞かせてください。

稲葉監督:韓国と試合をしたことはたくさんあります。韓国としても日本に勝ちたい思いは非常に強いと感じる部分があります。僕も韓国とはたくさん試合をしましたけど、いつも以上に力が入るというか、勝ちたいなという気持ちがすごく燃えてくるチームです。

――宣監督に質問です。韓国は攻撃に比べてピッチャーが弱いと言われていますが、どのように投手陣を運用していこうと思いますか。

宣監督:張現植を先発にするのは悩みました。張現植はプレーオフで自分のボールを投げていて、私としては高い点数をつけました。日本の機動力は素晴らしいですが、一番早いスライドステップ(クイック)で投げてくれます。5、6回まで投げてくれると思います。良くないと思ったら、投手を12人連れて来ているので、1、2イニングずつでも投手を活用していきたいです。

――稲葉監督に質問です。韓国打線をどう評価していますか。

稲葉監督:韓国の打線は、昔は振ってくる、一発長打のある打者が多かったんですけど、今回はどちらかと言うとコンタクトがうまいといいますか、当てにくるバッティング。一発というより、コツコツ打ってくるように変わってきた感じがします。

――台湾の洪監督に聞きます。陳冠宇(チェン・グァンユウ/千葉ロッテ)が(初戦の韓国戦で)先発と聞きました。理由を教えてください。

洪監督:誰が先発か説明してくれと言われても、しようがありません。内部でディスカッションした結果です。言えるのは、韓国を前に、彼が戦ってきた国際経験を生かしていきたい。私たちは比較的若いチームですが、陳冠宇は経験があるので先発にしたいと思いました。
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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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