DeNA・飯塚が味わった格別の初勝利 期待の若手から「勝てる投手」へ
進化した高校3年夏の甲子園
日本文理高時代に意識を変え、「勝てる投手」として進化した 【写真提供:高校野球ドットコム】
「『お前は勝ちたいのか』って聞いたら『勝ちたい』って言う。『じゃあ、今のピッチングじゃどうしようもないだろう。四球が多い。四球を出したら勝てないぞ。どうしたらいいんだ?』と言えば、『コントロールです』と言う。『じゃあ四球を出さないピッチングをしよう。お前がコントロールを意識したって、他のピッチャーより速いのだから。コントロール重視のピッチングをやろう』って。本人が『勝ちたい』って結論を出した時からピッチングが変わりました」
こうして自分の意思を宣言した飯塚。次はコントロールを改善するためにテイクバックが大きいオーバースローから、横回転で動くスリークオーターへいったん転向。投球練習では、「ストライク」を取ることを重要視する。
2年秋、モデルチェンジは功を奏した。飯塚はチームを秋季北信越大会優勝、そして明治神宮大会準優勝に導く投手へ成長。さらに冬場は肩甲骨を意識したトレーニングを積んで可動域を広げたり、チームメイトに打者心理を聞き、実戦を意識した投球を繰り返した。
冬を越え、オーバースローへ戻したセンバツでも飯塚は成長曲線を描き続ける。豊川高戦での好投手・田中空良(東邦ガス)との投げ合いでは、延長13回裏にサヨナラ打を浴び初戦敗退となるも、被安打10、奪三振11、与四球2にまとめ、最速143キロを計測。「ストライクを取りたいときに取れましたし、三振が必要な場面で三振が取れたり、内野ゴロも打たせられたし、高低を使えたのも良かった」と飯塚も自信を深める大会となった。
次の段階は全国大会で勝てる投手。最後の夏、飯塚はその目標を体現する。3季連続甲子園出場を果たすと、1回戦の大分高戦では、佐野皓大(オリックス)との投げ合いを制し、9三振、2失点で完投勝利。2回戦の東邦高戦は、5回までに2失点も6回表に打線の援護を受け、逆転した後は0を並べて6安打、9三振に抑え完投勝利。
さらに3回戦の富山商高戦では好左腕・森田駿哉(法政大)との投げ合いを制し6対5でサヨナラ勝ち。準々決勝では聖光学院高と対戦し、10安打を打たれながらも1失点完投。準決勝の三重高戦には0対5で敗れたが、日本文理高としては09年以来となる夏の甲子園4強。飯塚は「勝てる投手」として大きく進化を遂げた。
甲子園直後にはタイで開催された「第10回 BFA 18Uアジア選手権」の侍ジャパンU−18代表メンバーにも選出。名実ともに高校球界を代表する右腕となった飯塚は、14年10月23日、DeNAから7位指名を受けプロの世界へと足を踏み入れることとなった。
次世代を担う右のエースとしての期待
そして今年、ファームで好投を続けた飯塚は6月19日、横浜スタジアムでの交流戦、オリックス戦で1軍初登板初先発。同郷・新潟県三条市生まれのエース・金子千尋と投げ合い、プロ初勝利はならずも5回無失点の好投。その後も1軍登板を続け、6度目の先発登板となった8月30日の中日戦で、5回2/3を1失点に抑えると、打線も飯塚を援護し6対3でついにプロ初勝利。試合後、筒香嘉智の粋な計らいで、母校・日本文理高の校歌の映像を動画サイトで流してもらい、プロ初勝利の味は格別のものとなった。
3年目は1軍登板9試合で1勝にとどまったが、2度のクオリティー・スタート(QS)を達成するなど、来シーズンに期待を持たせる内容を残した。
今年、19年ぶりに日本シリーズ出場を果たしたDeNAが来年狙うのは20年ぶりのセ・リーグ制覇と日本一。そのピースとして必須なのは一年間ローテーションを守り、「勝てる」若手の先発投手陣である。その筆頭に挙がるのが飯塚だ。このオフには188センチ85キロの身体にさらに強さを求め、18年はチームのみならず、日本の次世代を担う右のエースとして、横浜スタジアムを沸かせる快投を見せていく。
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