打線のマイナーチェンジがはまった侍J 稲葉監督の「最後の迷いどころ」は!?

中島大輔

西武を相手に6対0で快勝を収めた侍ジャパン・稲葉監督(写真左)。これが新チームの“初勝利”となった 【写真は共同】

 宮崎合宿初日から晴天続きだったが一転、SOKKENスタジアム(宮崎市清武総合運動公園野球場)で埼玉西武と練習試合が行われた11月13日は曇り空で、6回からは雨が降ってきた。

 そんな中、16日から「アジア プロ野球チャンピオンシップ」に臨む野球日本代表(侍ジャパン)は6対0で“初勝利”。わずか2試合の調整期間で、稲葉篤紀監督は本番に向けて手応えをつかんだ様子だ。

「昨日、今日と点差は関係なしに、送らせよう、エンドランをしようといろんな選手にいろんなことをやってもらいました。みんな、普通にこなせました。いろんな作戦を使えるという手応えがあります」

特に状態が良い西川、近藤、上林

 西武戦で指揮官が確認したかったのは、調子の見極めと、前日からマイナーチェンジした打線がどう機能するか。この日は3番に近藤健介(北海道日本ハム)、5番に上林誠知(福岡ソフトバンク)と二人の打順を入れ替え、1番には京田陽太(中日)に代わって西川龍馬(広島)を起用した。

 結果、打線は計11安打。西川、近藤、上林の状態が特に良く、6番に入った外崎修汰(西武)は右方向に2安打と内容のあるバッティングを披露した。6回から途中出場した京田は内角のストレートをうまく呼び込んでライト前へ運び、猛打賞だった前日に続いて状態の良さを見せつけている。4番・山川穂高(西武)は5回2死一塁から高めの変化球をセンター前にうまくはじき返してチャンスを拡大すると、続く上林は2ストライクからレフトオーバーのタイムリーニ塁打。「追い込まれていたので何とか対応していこうと思って、しっかり真っすぐを打つことができてよかったです」と振り返った。

 打線は全体的に上向きで、盗塁、エンドラン、バントと足を絡めた攻撃も随所で見られた。2試合の練習試合を通じ、新生・侍ジャパンは打線の形が固まってきた。稲葉監督は最後の迷いどころについて、こう話している。

「山川選手と近藤選手はそんなに足が速くない中で、3、4番に置くのか、4、5番に並べていくのかという攻撃のパターンですよね。1、2番を誰にするのかで、そこは変わってくるのかなと考えています」

京田&源田の1、2番で機動力押し出す

 2番は源田壮亮(西武)の起用を明言。この2試合で6打数無安打だったが、「西武でもずっと2番をやっていますからね」と実績を買っての決断だ。

 1番の候補は京田と西川で、おそらく京田で行くのではないだろうか。その方が、より走塁面を押し出すことができるからだ。攻撃における機動力の使い方について、指揮官はこう語った。

「クイックのタイムを見ながら、走れるピッチャーなら走らせます。クイックが早いピッチャーで走らせられないなら、どうやってセカンド、サードに送るのかを考えてやっていくと思います」

 京田と源田の1、2番なら、相手投手がどんなタイプでも攻撃を使い分けることができる。京田を本職ではないセカンドで起用することに関し、稲葉監督は「バッティングに影響するのかと思っていたけど、影響しなかった」と前日に話したように、起用するメドが立った。ともに盗塁数が今季リーグ2位だった二人を1、2番に並べ、スピードを押し出していくのではないだろうか。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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