足攻明言の侍Jで期待のルーキー野手 守備では東京五輪を見据えた起用

中島大輔

指揮官が注目した二遊間の動き

新生・侍ジャパンで飛躍が期待される源田(写真左)と京田のルーキー野手2人(写真は合宿初日より) 【写真は共同】

 気温22.5度、肌を突き刺すような日差しのもと、「アジア プロ野球チャンピオンシップ」(11月16〜19日/東京ドーム)に出場する野球日本代表(侍ジャパントップチーム)はSOKKENスタジアム(宮崎市清武総合運動公園野球場)で合宿2日目を過ごした。

 キャッチボールを終えて投内連携が始まると、稲葉篤紀監督はセカンドの後方へ。投手のバント処理や二塁けん制などが行われる中、指揮官は二塁手の後ろでじっと目を凝らした。

「二遊間の動きを見たかったのでね。京田(陽太/中日)選手がセカンドをやっていましたし、背中越しから見て自信を持ってやっているのか、おどおどしているのかを見ました」

 セカンドに入ったのは京田と外崎修汰(埼玉西武)で、ショートには源田壮亮(西武)。その中で、指揮官が特に目を向けたのが京田だった。中日ではショートを守る中、侍ジャパンでは本職に加えてセカンドでも期待されている。

二遊間を守れるのは大きな武器

「練習の動きはできるなという感じはしました。これが実戦に入って、本人がどういう動きをするのか。韓国(初戦の対戦相手)とはある程度ロースコアになっていく中で、守備は非常に大事になってくるという話をみんなとしています。京田選手をセカンドで使っていくのか、(他の選手で)まず守備を重視していくのかは、(12、13日の)練習試合を見て決めていきたいと思います」

 侍ジャパンの最終目標は東京五輪での金メダル。今回招集されたU−24の面々は、そこに向けて選考されていく。仮にショートとセカンドをともにこなせる選手がいれば、本番に向けて大きな武器になると指揮官は考えている。

「今、セカンドには菊池(涼介/広島)選手がいますので。今後を見据えて、(本職がショートでも)ある程度セカンドも本当はできたほうがいいという思いはあります」

 京田自身、東京五輪での選出を視野に入れ、慣れないセカンドに挑戦している。

「試合に出たいので、いろいろなところをできた方がチャンスは増えると思います」

ともに実力を認め合う京田&源田

 投内連携が終わってシートノックに移ると、源田、京田ともにショートに入り、軽やかなステップワークと正確なスローイングを披露した。お互いの印象を聞かれると、源田は「きれい」、京田は「速い」。ルーキーイヤー、ともに1年間ショートのレギュラーを守り抜いた2人は改めて認め合った。

「スローイングがすごくいいなと思っていて、合宿で見てもスローイングの球がきれいでした」(源田)

「とにかく速いですね。ボールを捕りにいくのから速いですし、捕ってからも速いですし。スローイングも正確で」(京田)

 守備力の高い2人が二遊間のコンビを組めば、仮に初めてでも、呼吸は合いやすいものなのだろうか。源田に聞くと、ポジショニングも含めてのことになるので試合で組んでみなければわからないというものの、「たぶん、大丈夫だと思います」と笑顔が返ってきた。

稲葉監督「アグレッシブに攻める」

 だが、仮に2人を同時に起用することができれば、攻撃面でもプラスの効果がある。特に期待されるのが、走塁面だ。今季の盗塁数は、源田がパ・リーグ2位の37、京田はセ・リーグ2位タイの23。三塁打はともにリーグトップの成績を残している。

 今回の侍ジャパンに選ばれたのは、その多くが足を使うことができる面々だ。ボークの判定基準が日本と異なる国際大会で盗塁を成功させるのは難しいが、指揮官は積極的に足を使っていくと話した。

「特に練習試合では、アウトになってもいいので、安全にではなく、アグレッシブに攻めていきたいという思いはあります。ちょっとでもスキがあったら走っていく姿を見せて、バッテリーに揺さぶりをかけるのは大事になると思います」

 この2日間のフリー打撃は2つのケージを使って行われたが、11日は一つにし、より実戦的な守備練習を同時に行っていくと稲葉監督は話した。

「明日1日をしっかり有効に使って、練習試合に臨みたいと思います」

 11日の練習が終われば、12日は北海道日本ハム、13日は西武と練習試合を行い、16日には「アジア プロ野球チャンピオンシップ」開幕だ。本番の東京五輪に向けて、選手たちの激しい争いがいよいよ始まる。
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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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