「暴れてこい!」と背中を押す――稲葉ジャパンの船出と新たな指針

ベースボール・タイムズ

7月に監督に就任した侍ジャパン・稲葉監督。2020年東京五輪での金メダルへ向けて、11月の「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」が初陣となる 【花田裕次郎/ベースボールタイムズ】

 2020年東京五輪での金メダル獲得へ向け、侍ジャパンが新たなスタートを切る。率いるのは稲葉篤紀監督。初陣となる「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」(11月16日〜19日、東京ドーム)を前に、45歳の新指揮官が目指す“熱いチーム”の指針を探った。

「活気のあるチームにしたい」

 再び、挑戦が始まる。今春の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で準決勝敗退に終わった侍ジャパン。悔しさと課題に、確かな収穫を残して小久保裕紀監督は退任。その後任に指名されたのは、選手、コーチとして豊富な国際経験を持つ稲葉氏だった。「目標は東京五輪での金メダル」と宣言する若き新指揮官は、7月31日の就任会見、10月12日のメンバー発表を経て、来る11月16日の“初陣”へ向けて胸を高鳴らせている。

「何よりもまず、勝ちたいという思いがある。そのためのメンバーを選んだ。最初に候補選手を多く挙げて、そこから打順、ポジションを考えながら選んでいった。他にも候補者が多くいて、うれしい悩みでした。とにかく活気のあるチームにしたい」

 今大会の出場資格は24歳以下(1993年1月1日以降生まれ)、または入団3年目以内で、オーバーエイジ枠は3人まで。故にトップチームの代表歴を持つ選手は少ないが、就任会見で「最後まで諦めずに全力でプレーするメンバー。そういう熱い選手たちを集めて、熱い戦いをしていきたい」と語った稲葉監督が求めるものは変わらない。今回のメンバーにも「“野球界の鑑”であれ、というものは改めて伝えていきたい」と自覚を促し、侍ジャパンの誇りを伝えていく。

前チームから継承する「結束力」

第2回WBCでは4番を務めるなど勝負強いバッティングで世界一に貢献した稲葉監督 【写真:アフロスポーツ】

 09年の第2回WBCを最後に世界の頂点から遠ざかっている日本野球だが、侍ジャパンの常設化とそれによるチーム強化に関しては一定の成果があった。小久保体制下で打撃コーチとして尽力した稲葉監督も、「選手同士がコミュニケーションを取る機会が増えたことで、パッと集まってもすぐにチームが一つになれる。結束力という意味で、常設化したことは非常に良かった」と“前進”を認める。

 同時に、小久保前監督が3年半をかけてつくり上げたチームも「メチャクチャいいチームだった。監督、コーチ、選手、みんなが一つになっていたし、本当に一体感があった」と振り返る。「大事なのはチームの輪、そして結束力」。舵取り役が代わっても目指す方角は変わらない。いい部分は残し、次へとつなげる。まずは“継承する”ことから始めるつもりだ。

「小久保監督は非常にいいものを残してくれました。その土台がある。稲葉ジャパンだからと言って、イチからつくるのではなく、これまで培ってきたものを継承していきたい。人選や試合中の采配には僕の色が出ると思いますが、侍ジャパンに対しての考え方など、小久保監督がつくり上げてきたものはしっかりと継承していきたい」

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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