【ボクシング】ワイルダー、統一戦へのアピールなるか NYで前王者スティバーンとV6戦

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2年10カ月ぶりのリマッチを行うことになった王者ワイルダー(左)と挑戦者スティバーン 【(C)NAOKI FUKUDA】

 38戦全勝(37KO)という驚異的なレコードを残しているプロボクシングのWBC世界ヘビー級王者、デオンテイ・ワイルダー(32=米国)の6度目の防衛戦が11月4日(日本時間5日)、米国ニューヨーク州、バークレイズ・センターで行われる。挑戦者は前王者で現WBC1位のバーメイン・スティバーン(38=ハイチ/カナダ)。両者は15年1月、今回とは逆の立場で拳を交え、ワイルダーが大差の判定勝ちを収めて王座を奪っている。その後、5連続KO防衛を果たしているワイルダーに対し、スティバーンは再起戦で二線級を相手に判定勝ちを収めただけで、これが約2年ぶりのリングとなる。2018年に4団体の王座統一を狙っているワイルダーにとっては圧勝がノルマと言えるかもしれない。

オルティスがドーピング違反 挑戦者変更

 もともとワイルダーは元WBA暫定王者でWBC2位のルイス・オルティス(38=キューバ)の挑戦を受ける予定だったが、9月末になってオルティスのドーピング違反が発覚。そのためWBCはオルティスの挑戦資格を剥奪し、ワイルダーにスティバーンと対戦するよう指令を出した。こうした経緯があって2年10カ月ぶりのリマッチ(再戦)が実現することになったわけだ。

 ワイルダーはこれが6度目の防衛戦だが、直前になって挑戦者が変更になるのは今回が3度目のこととなる。最初は昨年5月のV4戦で、試合前に挑戦者のアレクサンデル・ポベトキン(38=ロシア)のドーピング違反が発覚。イギリスで最終調整していたワイルダーは試合地のロシア入りする直前で米国に引き返した。

 このときは試合そのものが中止となり、のちに双方が損害賠償で相手を訴える法廷闘争にまで発展した。2度目は今年2月のV5戦で、やはり挑戦者がドーピング違反で挑戦権を剥奪されたため、ワイルダー陣営は試合1カ月前に代役を探す羽目に陥った。ちなみに相手を変えて臨んだV4戦は8回終了TKO、V5戦は5回TKOで勝利を収めている。
 一方のスティバーンも昨年12月、ワイルダーの戦線離脱にともなうWBC暫定王座決定戦が決まっていたが、前日になってポベトキンの再度のドーピング違反が明らかになったため対戦を拒否したことがある。試合間隔が空いてしまった裏には、こうした事情もあったのだ。今回は11月4日の前座で次期挑戦者決定戦に出場することになっていたが、オルティスの戦線離脱によって思いがけず早く雪辱のチャンスが巡ってきた。

KOによる完全決着が王者のノルマ

 両者は15年1月、スティバーンの持つWBC世界ヘビー級王座に1位のワイルダーが挑む形で拳を交えた。08年北京五輪ヘビー級で銅メダルを獲得後にプロ転向を果たしてから6年、32戦すべてを4回以内で終わらせてきたワイルダーに分のある試合とみられたが、不安材料も少なくなかった。勝負が5回以降にもつれた場合のスタミナは大丈夫なのか、打たれた場合の耐久力に問題はないのか、などなど。しかし、それらは杞憂(きゆう)に終わった。ワイルダーは2回と7回にあわやダウンかという見せ場を作るなどして試合を支配。あとは左ジャブを有効に使って12回判定勝ちを収めてみせた。

 その後、ワイルダーは5度の防衛をすべてKO(TKO)で片づけてきた。現在の戦績は38戦全勝(37KO)で、KO率は97パーセントを超える。身長201センチ、リーチ211センチ、体重105キロとやや細身だが、思い切りパンチをたたき込むシンプルでワイルドな戦い方は迫力満点だ。

 対するスティバーンは無冠になってから判定勝ちを収めて再起を果たしてはいるが、初回にダウンを喫するなど不本意な内容だった。ガードを固めながら圧力をかけ、左ジャブから右クロスに繋げる強打者で、28戦25勝(21KO)2敗1分の戦績を誇る。大型化が進む現在のヘビー級では体重こそ110キロ前後あるものの身長188センチ、リーチ196センチと決して大きいわけではないが、地力は十分にある。

 2年10カ月前とはいえ一度は大差の判定で決着がついたカードだけに王者有利は不動といえる。初戦では途中で右拳を痛めたためKOを逃したワイルダーにとっては、完全決着がノルマと言っていいだろう。ただし、スティバーンの一発が当たった場合は20対1のオッズがひっくり返る可能性があることも忘れてはなるまい。

Written by ボクシングライター原功
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