今年は「○○年に一人」の逸材が中心!? 西尾×小関×福田ドラフト鼎談〜野手編〜
社会人の段階なら源田より藤岡が上
トヨタ自動車・藤岡は現西武の源田を継ぎショートを守る。高次元で3拍子がそろい、特に肩は飛び抜けて強い 【写真は共同】
西尾:藤岡裕大(トヨタ自動車)は上位候補ですよ。2位はあるでしょう。
小関:抜群ですよね。ショートやってくれたのが良かったよね。去年までは源田(壮亮/西武)がいたのでできなかったですけど、この選手は外野よりもショートだと思いますね。フィールディングがいいですし、なにより肩が強い。
――150キロを投げるとか。
西尾:ピッチャーやってたんですよね。高校(岡山理大付高)の時。
小関:バッティングは間違いなく源田よりいいですよ。今の源田と比べるとあれですけど。
西尾:トヨタの源田より、トヨタの藤岡のほうがいいということですね。
小関:素晴らしいですよ。2位にぴったり。3位だとかわいそうだなって感じですね。そう思わせる選手って少ないですよ、だいたい実戦力があって4位とかね、そういう選手が多いですけど、彼は華があるということですね。
西尾:大学のときは体重を増やしすぎたみたいです。プロフィールをみると85キロぐらい。それでスピードが落ちたんですよ、確かに。今は絞って70キロ台だと思うんですけど、足も戻りましたね速いときに。
小関:大学のときかわからないですけど、三塁打で11秒切って10秒台があったんですよ。スピードはある選手で、走攻守がそこそこ高いわけじゃないですよね。肩と足が抜きん出てる。
西尾:肩はスーパーですね。
――イメージとしては田中広輔(広島)から肩を強くした感じですが、いかがでしょう?
小関:田中はプロでガッって伸びましたね。藤岡も非常に近いものがありますね。
藤岡の打撃フォーム動画
――田中の名前が出たので(笑)、弟の俊太についても聞いていいですか?
西尾:彼もいいですよね。おととい見た時に三塁打のタイムが11秒3ぐらい。バッティングもいいです。これも2位とか3位とかかなって感じですね。
――守備はセカンドになるんですかね?
西尾:ずっとセカンドですよ。ショートは見たことないですね。
小関:専業ですね。
西尾:足も速いし、セカンドがほしいところはニーズがあるので、どこかが3位以内でくるんじゃないかと思いますね。藤岡と田中は即戦力になります。1年目から普通に出てくるんじゃないですかね。源田があれだけやれたので。
西濃運輸・松本の強肩は名人芸
小関:きのう見たんですけど、体がちょっと筋トレしすぎじゃないかな? っていうくらい、柔らかさがなくなりましたね。要するに強く体ごと持っていく。最近はやりの柳田(悠岐/ソフトバンク)のようなバッティング。この体でやるのかっていう違和感は感じましたね。もうちょっと西川遥輝(日本ハム)とかみたいな柔らかさが残るといいなと思いました。
西尾:都市対抗が良かったですよね(MVPにあたる橋戸賞を受賞)。去年かかってもおかしくなかったんですけど、最後のチャンスと思って鍛えたんでしょうね。
――解禁して1年経ったんですね。
西尾:3年目ですからね。
小関:きのう見たら鈴木薫が良かったですね。ホンダのセンター。
福田:国学院にいたよね。
西尾:足速いですよね。ちょっと非力かなって感じですが。きのうはバッティング良かったですか?
小関:バッティングはまあまあでした。
西尾:1番を打ったり、9番を打ったりしてますね。キャッチャーだと松本直樹がすごいと思いますね。
――西濃運輸の松本ですね。
西尾:セカンド送球のタイムなら歴代1位じゃないですかね。1.7秒台前半とか…すごいですよね。取ってからの速さは名人芸ですね。
小関:毎回毎イニング速いですよ。
――盗塁阻止率はどうですか?
西尾:ちょっと焦るところがあるので、もうちょっとゆっくり投げるのはいいんじゃないですかね。
小関:前後しますけど、中村はそんな泡食って投げないです(笑)。松本はちょっと体重を軸足に移して、最初から投げるつもりで取るんですよ。それは実戦ではできないことですから、もうちょっと実戦を想定してその場で動かないで投げてほしいですね。
西尾:投げるボールはすごいですけどね。動いてあれだけ投げられるのは。立教大のときは20打数ノーヒットなんですよね。
小関:レギュラーじゃないですもんね。
西尾:でもバッティングは悪くないですよ。6番を打って、都市対抗でも去年ホームラン打ってますしね。これも間違いなくかかると思いますね。
福田:キャッチャーはどこも補強しとかないと。1軍と2軍で最低3人ずついないといけないから。
西尾:DeNAは4人ぐらいしかいないですもんね。黒羽根も出しちゃいましたし。
――となると需要は高まるかもしれませんね。
西尾:キャッチャーだとホンダの辻野雄大も好きですよ。
小関:バッティングがいいですよね。
――キャッチャーだと木南(了/日本通運)とか岸田(行倫/大阪ガス)もいます。
福田:木南どうですか? お兄ちゃんが日刊スポーツの競馬記者なんですけど(笑)。
西尾:“ミスター社会人”にはなりそうです。いいキャッチャーですけどね。プロだとレギュラーにはならなそうな気がしますね。
福田:今回の日本代表では正捕手?
――決勝ではマスク被ってました。大城(卓三/NTT西日本)もいましたね。
小関:大城の評価高いですよね。東海大相模高から東海大で、もともと名前は売れていましたが。どちらかと言うと打つ方で。
西尾:打つ人でしたよね。
小関:だんだん守りも良くなって、肩も強くなってきて。珍しいですよね。年を経るごとに真剣に投げなくなるんですけど、欲がでてきたのかなって。ピッチャーからの信頼も厚いって聞きました。
西尾:岸田も若いので、高卒3年目というのは魅力ありますね。大阪ガスのキャッチャーはいつもいいですし、結構早い段階からマスクを被っているので、十分候補だと思います。
――あと、キャッチャー以外の野手でいうと北川利生(日本通運)が挙がりますね。
福田:北川いいですね。
――サード、外野もやれて。
西尾:キャッチャーもやってましたからね。大学4年のとき。
福田:右方向に結構でかいの打てますね。
小関:社会人によくいる強打者って感じがしますね。もっさりしすぎてるというか。
西尾:うまいですけどね。ヒットは簡単に打つ。器用ですし右打ちもうまい。あと、日本生命の2年目・神里和毅が今年はいいなと思いました。
福田:神里ね。力強くなった。中央大出身。
西尾:ただ、よくいるタイプなので評価はそんなに上がってないかもわからない。右投げ左打ちの外野手で足も速くてっていう。
――日生の先輩・小田裕也(オリックス)のような感じですか?
西尾:小田も日生では9番でしたからね。
小関:チームメイトの西野(真弘)もああいう感じ。いいですよね。
西尾:意外と戦力になったりして。
小関:使われればああなるんだけど、みんな似た選手が多いので……めぐり合わせですよね。
西尾:プロ行っても全然やれるとは思います。あと、ヤマハの前野幹博は指名の可能性があると思います。もともと長打力があって、足は意外に速くて。今は外野やってるんですかね、もともとサードをやってましたけど。大学4年生と同じ学年なので、まだ若いですからね。
――左の大砲でいうと丸子達也(JR東日本)もいましたね。
西尾:丸子は下位の可能性があるかもしれませんね。
小関:ポジションがね。
西尾:ファースト専任ですから。本人が下位でも絶対にプロ行きたいとか言わないと難しいかも。長打力はすごいですけどね。
独立リーグに異色の逸材
福田:小関さん、いいのいるんでしょ?
小関:和田康士朗(BC・富山)はいいですね。まだ18歳なんですよ。埼玉の小川高出身で。
福田:野球部にいなかったんでしょ? 陸上部ですよね。
西尾:陸上部ですね。インタビューさせてもらったんですよ。走り幅跳びやってて、6メートル45が自己ベストだって。
――おお、すごい。
西尾:バッティングもすごいですよ。まだ確実性はないですけど、柳田みたいにすごい振るんですよ。ちょっと顎も上げ気味で。
小関:あれはびっくりしましたね。
西尾:リーグでは打率2割7分ぐらいですね。184センチ68キロでまだまだ細いですけど、高卒1年目なんでね。クラブチームで高校2年からやってて、都幾川倶楽部ってところかな。育成ならかかると思うんですけど、面白いですね。
小関:高校野球やってなかったのがすごいですね。
西尾:大嶋(匠/日本ハム)ぐらいですか、ソフトボールの。
福田:動画見たけどいいスイングしてますよ。すばらしいスイングしている。
西尾:調査書も届いてるみたいで。
福田:なにより若いのがいいよね。小関さんに言われて動画を見たら、一目惚れしたね。
小関:日本の野球、やるじゃんって思いましたね(笑)。
福田:これからちゃんといいもの食べて、体大きくして。頑張ってほしいね。
<第2回:投手編につづく>
アマチュア野球の逸材を追って全国各地で取材活動を行う西尾氏、福田氏、小関氏に集まっていただき、雑誌「アマチュア野球」(日刊スポーツ出版社)で人気を博した座談会を今回はスポーツナビにて実施した 【スポーツナビ】