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ヤンキースWS進出ならずも成功の1年
田中将大はチーム力の向上に手応え
リーグ優勝決定シリーズで敗れたものの、センセーショナルな活躍を見せたジャッジ(写真)をはじめ、若き選手の成長が見られた今季のヤンキース
リーグ優勝決定シリーズで敗れたものの、センセーショナルな活躍を見せたジャッジ(写真)をはじめ、若き選手の成長が見られた今季のヤンキース【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

“ミラクル・ヤンキース”の魔法がついに途切れた瞬間だった。


 10月21日(現地時間)、ヒューストンで行われたア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦で、西地区王者のアストロズが4対0でヤンキースに完勝。シリーズは4勝3敗でアストロズが勝利し、予想外の形でここまでたどり着いたヤンキースの今シーズンは終わった。


「私たちは“敵地で勝てなかった”と言われるのだろう。ただ、とてもいいチームと対戦し、彼らが私たちを打ち負かしたということ。彼らが勝ったんだ」


 シリーズを終えて、ヤンキースのジョー・ジラルディ監督は悔しさを押し殺しながらそう語った。その言葉通り、ホームチームが全勝という“内弁慶シリーズ”だが、最後は実力上位のチームが順当に勝ち残った印象も残る。


 天下分け目の第7戦では、ジョージ・スプリンガー、ホセ・アルテューベ、カルロス・コレアというアストロズの“ビッグ3”が合わせて11打数4安打と活躍。投げてはチャーリー・モートン、ランス・マクラーズという先発3、4番手の完封リレーで、ヤンキース打線に付け入る隙を与えなかった。先発ローテーションの2枚看板(ダラス・カイケル、ジャスティン・バーランダー)が投げないゲームで完敗したのだから、ヤンキースは何の言い訳もできない。

破竹の勢いにしわ寄せ

 ここに至るまで、前評判は決して高いとは言えなかったヤンキースの頑張りは見事だった。一発勝負のワイルドカード戦ではツインズ相手に初回に0対3とリードされながら、打線とブルペンの力で逆転勝利。地区シリーズではア・リーグの本命インディアンスに2連敗を喫したものの、その後に奇跡的な3連勝で留飲を下げた。さらに今回のアストロズとのシリーズでも2連敗後に再び3連勝した際には、ヤンキースこそが今秋の“運命のチーム(the team of destiny)”に思えたものだった。


 しかし――。


 破竹の勢いを感じさせる逆転劇の連続は見応えがあったが、一方でチームは確実にすり減っていった。今季を通じてエース役を務めてきたルイス・セベリーノは疲れをにじませ、打線もファンの後押しがないヒューストンでのゲームでは沈黙。何より、最大の武器と目されたブルペンの中で、第6戦ではデービッド・ロバートソン(0/3回で4安打4失点)、第7戦ではトミー・カンリー(1回1/3で4安打3失点)というキーパーソンが痛打された。プレーオフの早いラウンドからフル回転してきたしわ寄せが、ここで出たと見るのはこじつけではないだろう。


 結局、今のヤンキースには、インディアンス、アストロズというシーズン中に100勝以上を挙げた列強を連破する底力は備わっていなかったということ。総力戦のはずの第6、7戦での一方的な負け方は、時の運だけでは語りきれない成熟度の差を感じさせた。ナ・リーグのプレーオフを悠々と勝ち抜いたドジャースとのワールドシリーズは、こうして夢に終わったのだった。

杉浦大介
杉浦大介
東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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