【全日本プロレス】 諏訪魔が王座陥落 ドーリングが新王者に 元WWEヨシタツが挑戦表明するも……

高木裕美

ドーリングが諏訪魔を破り、約2年9カ月ぶりに王座返り咲き 【写真:前島康人】

 21日の全日本プロレス「旗揚げ記念シリーズ〜秋山準&大森隆男デビュー25周年記念大会〜」神奈川・横浜文化体育館大会では、4大タイトルマッチなどが行われ、1870人を動員した。

 メインイベントの三冠ヘビー級選手権試合では、ジョー・ドーリングが諏訪魔を破り、約2年9カ月ぶりに王座返り咲き。試合後、元WWEスーパースターであったヨシタツがリングに上がり、11.9東京・後楽園ホール大会での王座挑戦を表明するも、客席からは大ブーイングを浴びせられ、ドーリングからは無言のタックルを食らわされた。

試合後は握手でわだかまりを払拭

序盤から両者は肉体と感情を激しくぶつけ合う展開に 【写真:前島康人】

 諏訪魔とドーリングはかつて「Evolution」というユニットを結成。年末の世界最強タッグリーグ戦にも、12年から14年まで3年連続でエントリー(13年は優勝)している盟友であったが、ドーリングが今年7月にEvolution離脱を表明。今年の8.27両国国技館大会では、かつての先輩・小島聡(新日本プロレス)との重要な一戦の直前に、リング上で諏訪魔を襲撃。このダメージのせいで、諏訪魔は小島に敗れ、大いなる遺恨が生じた。

 その後、「王道トーナメント」準決勝戦となる9.23仙台で両者が対戦し、諏訪魔が勝利を収めたものの、心中は納得できておらず。「王道トーナメント」を制覇した諏訪魔が10.9後楽園ホールで宮原健斗を倒し王座返り咲きを果たすと、ドーリングも石川修司との次期挑戦者決定戦を制し、再び両者が対峙(たいじ)することになった。

 序盤から両者は肉体と感情を激しくぶつけ合うと、15分過ぎ、エプロンで諏訪魔を抱えあげたドーリングが、そのままリング内に投げ捨て、そこへダイビングボディーアタック。しかし、諏訪魔もバックドロップで投げると、ドーリングはデスバレーボムからラリアットをたたき込み、レボリューションボムを狙うが、これは諏訪魔が切り返してラリアット、バックドロップ。しかし、ドーリングもクロスボディーで流れを引き戻すと、ラリアットからのレボリューションボムで完勝。試合後はドーリングが差し出した右手に諏訪魔も握手で応え、これまでのわだかまりを払拭(ふっしょく)した。

ヨシタツ登場に会場からブーイング ドーリングも暴走

会場からのブーイングにも空気を読まずに挑戦を申し込むヨシタツ(左)にドーリングも暴走 【写真:前島康人】

 場内がドーリングへの祝福ムードにあふれる中、リングに現れたのがヨシタツ。「9年前、WWEで会って、それからお互い、いろいろあった。どちらが濃い人生を歩んできたのか、11月9日、決めようぜ」と三冠王座を賭けての対戦を要求するも、客席からは大ブーイング。WWEで活躍した実績を引っさげ、14年10月より古巣・新日本プロレスに登場したものの、同年11月に首を負傷し、その後、復帰は果たしたが、自ら立ち上げたハンタークラブは自然消滅し、今年4月にはタグチジャパンにスタッフとして加入するも、わずか1カ月で解雇。そして、新日本を離脱。今年7月には全日本の「王道トーナメント」に参加するも、2回戦敗退と、まったくタイトル挑戦に見合う実績と評価を得ていないだけに、全日本ファンからの反発も必然。それでも、空気を読まずに自分の主張を続けるヨシタツに、ついにドーリングも暴走。マイクアピール中のヨシタツにタックルを浴びせ、その口を黙らせた。

 16年春には悪性脳腫瘍が発覚し、一事は命すらも危ぶまれながらも、奇跡のカムバックを遂げたドーリングは、闘病生活を支えてくれた家族や友人に感謝しつつ、「最高だ。オレはこのためにカムバックしてきた」とベルトを誇示。かつての盟友であった諏訪魔の強さをたたえ、王座戴冠の喜びに浸った。

 一方、わずか12日間で王座から転落した諏訪魔は、「一発一発が重かった。これからもライバルとして戦う。まだまだあきらめない。終わらないよ」と、かつての盟友の完全復活に手応えを感じつつも、史上最多となる7度目の三冠王座戴冠にも意欲を見せた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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