森山監督「足りないものを見せつけられた」 U-17W杯 ニューカレドニア戦後の会見

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日本はニューカレドニアと1−1で引き分け、グループ2位でノックアウトステージ進出を決めた 【佐藤博之】

 サッカーU−17日本代表は14日、インドのビベーカーナンダ・ユバ・バラティ・クリランガンスタジアムでU−17ワールドカップ(W杯)第3戦のニューカレドニア戦に臨み、1−1の引き分けに終わった。前節のフランス戦から先発メンバー9人を入れ替えた日本は、前半7分に中村敬斗のゴールで先制したが、その後のチャンスを生かせず。後半38分にCKから最後はジャコブ・ジェノに決められて同点に追いつかれた。同時刻に行われたフランスvs.ホンジュラスは5−1でフランスが勝利したため、日本はグループEの2位でノックアウトステージ進出が決まった。

 試合後、森山佳郎監督は「徐々にミスをしないようにと消極的になり、思い切りの良さがなくなって躍動感のない試合になってしまった」と反省の弁を述べた。また、「勝ち点1に値する頑張り具合だった」「僕らに足りないものを見せつけてくれた」とニューカレドニアの印象を語ると、次の試合に向けては「主力メンバーを温存できた」「総力戦ですべて出し切る試合にしたい」と気持ちを新たにした。

 日本の次戦は日本時間の17日23時30分から、ラウンド16でグループFを首位で通過したイングランドと対戦する。

徐々に消極的になり躍動感がなくなった

――序盤は中村の先制点もありいい入りだったが、その後は決定機を逃し中盤もパスミスがあったりした。試合を全体的に振り返ってどう思うか? また、試合に出ていなかった選手に発奮してもらい決勝トーナメントに弾みをつけたいと言っていたが、その面での手応えは?

 序盤の早い段階で得点が入って、落ちついた感じで入れたと思ったのですが、徐々にミスをしないようにと消極的になり、思い切りの良さがなくなって躍動感のない試合になってしまったなと思います。

 あと、福岡(慎平)と鈴木(冬一)以外はスタメンが初めてだったので、連係がないというか、ぱっと集めて(試合に)出すことの難しさを感じました。ベースを崩さずに2、3枚変えるのと、背骨から全部変えてしまってから構築することの難しさをひしひしと感じています。

――新しい選手を試したということだが、プレッシャーもあってかミスも多く、パフォーマンスが悪いように見えた。その中でも福岡と鈴木(冬)は違いを見せていたとは思うが、今日の試合の連係面についてはどう思うか?

 核を変えずに枝葉の部分を変えていくというのは割とスムーズだと思うのですが、チームを丸ごと変えて連係がない中でやるというのは、技術的なところも高くないとなかなか難しい。そこのところでは要求を満たすことができなかった部分はあったと思います。

 次の試合に向けてポジティブなことは、今日の試合は交代も含めてほぼ主力メンバーを温存できました。彼ら(主力メンバー)は既に2試合戦うことができているので、全然そういうこと(=連係面での課題)はないと思います。ポジティブに考えると、コンディションよく次の試合に(臨める)。次の試合はノックアウトステージなので、とにかく全力を尽くして、ひたむきにボールを追いかけて、ゴールに向かっていくだけです。気持ちを切り替えてやるだけですね。

――ニューカレドニア戦で主力メンバーを使わなかった理由は? どんなプランで試合に臨んだのか?

 ゲーム状況からいって、疲れている主力を出すより(試合に)飢えている選手を出すことがこの試合ではベターなのではないかというところです。休ませたところもありますけれど、それ以上に試合に出たくてここに来た選手たちに出場機会を与えて、次の試合に「俺を出せ」という自分を出したい、自分がチームにプラスになる存在だという存在感を示してほしいということが一番の理由です。

――2試合連続で狙っていたことを出せない試合が続いたが、今日の試合の収穫は何か? また、ディフェンスラインが安定しない中で最後はシステムを変更した(4バック→3バック)。その狙いを教えてほしい。

 もともと3バックは主力メンバーは何度か試していて、そこではいい形ができて、負けていないというか、理解したメンバーでやれば効果的な部分があります。特に攻撃のところで変化をもたらすことができる。時にワイドを使いながら中を突いていく、ということが可能になるようにシステムを変更しました。やはり(3バックを)初めてやるメンバーが多少いる中で、なかなかやろうとしたことがピッチ上に表れてくれなかった。どうしても後ろ向きに(なってしまった)。中を使いながらクロスとか、外を使いながら中を使うというようなイメージでした。

 これまで主力の中では(3バックを)試したことが何度かあり、やり方を理解したメンバー同士ならできるけれど、そういう特殊なというか、普段やっていないことを本番の試合でポンとやることの難しさは感じました。

 この試合でポジティブだったことは、先ほども言いましたけれど、フランス戦でできなかったことを振り返ることができた。この試合は新しい選手をチャレンジ、「個」のチャンレンジというようなまったく別の考えを持っていて、選手にも伝えていました。フランス戦はまたこの試合が終わってからもう1回振り返って、質や連係の部分はもう一度見つめ直して、わずかな時間ですけれど修正したいと思います。まだ対策を練るところまではいっていないです。

次の試合はまったく別物

森山監督は「次は主力で総力戦」「すべて出し切る試合にしたい」と、気持ちを切り替えた 【佐藤博之】

――ニューカレドニアはプレッシャーも激しく、若さを全面に押し出してプレーしていたが、実際に戦ってみての印象は?

 今日のニューカレドニアは勝ち点1に値する頑張り具合だったと思います。チームの一体感や、極限までハードワークして、喜びに満ちあふれた姿を見て、素晴らしいなと思いました。僕らに足りないものを見せつけてくれました。選手の重圧がどれほどだったのかは分かりませんが、僕も2年半このチームと歩んできてこんなゲームは覚えがないです。

 ただ、そこでネガティブにはなっていません。次の試合はまったく別物として考えていると選手にも話していますし、次は主力で総力戦ですね。今日できなかったやつらも相当悔しい思いをして、次に「ちくしょう」という姿を見せてくれると思いますし、外から見ていた主力の選手も日本の力を示せない歯がゆさを感じていたと思う。そういったことをプラスの力に変えて、(次の試合は)総力戦ですべて出し切る試合にしたいと思います。

――ニューカレドニアは闘う姿勢を見せていたが、どのように感じたか?

 勇気をもって前に前にプレーして、ファイティングしてくる姿は、僕らのミスを恐れて後ろに後ろにというのとは違い、素晴らしかったと思います。その姿勢には感銘を受けました。

――先制点を決めた中村を後半に変えたが、その意図は?

 足をつったので仕方がないです。もう少し引っ張る予定ではいました。

――次の試合はイラクかイングランドになるが、どのような試合になると考えているか?

 イラクかイングランドということで、どちらが来ても大変な試合になると思います。イングランドは個人の能力としても大会でナンバーワンだと思いますし、イラクは7番の選手(ムハンマド・ダウド)に最終予選でやられたのですが、今大会でもあの選手がものすごい活躍を見せています。イランもそうですが、アジア勢のアグレッシブさにすごく感銘を受けています。どちらが来ても、とんでもなく激しいプレーになるのではないかなと思います。

――今日は久保建英のプレータイムが少なかったが、今後どのような活躍を期待しているか? 

 彼は常にゲームをしたい子なので、(今日も)出たいという意思を示していました。サッカー小僧なので、ゲームをやる中でリズムを作っていくので今日も出しました。次の試合では、今日の内容も踏まえて頑張ってくれると思います。
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