難解・秋華賞を解く鍵「人気」と「前走」 穴が少ない1着候補はリスグラシュー

JRA-VANデータラボ

前走ローズS組の前走着順・人気別成績

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 前走レース別では、ローズS出走馬が【7.8.4.58】と3着以内30頭中19頭を占める。そのローズS組について、同レースでの着順、人気別成績を見ると、まずローズS連対馬は【4.5.2.8】複勝率57.9%で、複勝回収率も116%を記録。3着から優勝した馬はいなかったが、こちらも複勝回収率146%と狙いは立つ。

 また、表では6〜9着はすべて馬券圏外としたが、10着以下も含め、同レース6〜14着馬は【0.0.0.32】に終わっている。ただ、2桁着順でも2頭(ブラックエンブレム(15着)、リラコサージュ(18着))が好走して、10着以下の単複回収率は100%を突破。確率は低いが、一発大穴を狙うなら大敗馬狙いも悪くはない。人気面では、同レース1番人気馬が勝率55.6%の好成績。下位人気からでも好走は可能だが、1着候補なら4番人気以内に推されていた馬が望ましい。

ローズSで1〜2着とも4番人気以下だった年(過去10年)

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 今年のローズSは、勝ったラビットランが8番人気、2着のカワキタエンカは6番人気と、穴馬のワンツー決着だった。そこで、ローズSの1〜2着がともに4番人気以下だった年を調べると、過去10年では08年、10の2回あり、08年はムードインディゴ、10年はアニメイトバイオと、両年とも連対馬のうち1頭が本番でも2着に好走していた。ローズS上位馬をフロック視するのは危険だ。

ローズS4着以下から巻き返した馬

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 ローズSで馬券圏外から巻き返した馬は表6の5頭で、リラコサージュを除く4頭は同レース5番人気以内。そして、最低でもオープン特別勝ちの実績を持っていたことで共通している。もう少し細かく見ると、メイショウマンボはほかにフィリーズR優勝、リラコサージュはフラワーC3着があるため、オークス優勝・フィリーズR優勝・フラワーC3着以内のいずれかの実績を持つことで5頭は共通している。

ローズS6番人気以下からの好走馬

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 ローズSからはもうひとつ。同レースで6番人気以下だった秋華賞好走馬も見ておきたい。引き続き秋華賞でも人気薄の馬も多い上、オープン、重賞実績も不問。ただし、リラコサージュ以外の4頭は、同レースで馬券に絡んだ馬だった。ローズSが6番人気以下で馬券圏外では、さすがに好走の余地は少なくなる

前走ローズS以外からの好走馬

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後に、ローズS以外からの好走馬は表9の11頭になる。表からもわかる通り、昨年以外はすべて1頭ずつ。逆に言えば、ローズS組2頭+別路線1頭だった。この組の11頭中9頭は前走2番人気以内で、前走が芝だった10頭はすべて前走3番人気以内である。また、11頭中8頭は前走3着以内のため、3番人気以内かつ3着以内が理想だ。加えて、近年は芝2000mで優勝実績のある馬ばかりが好走(過去5年の6頭中5頭)するようになっていることにも注意したい。

 なお、紫苑Sが重賞に格上げされた昨年は2頭好走。一方、12年から中10週になったクイーンS組は、同年以降に出走した3頭が3、5、8番人気で6、11、16着と、すべて人気を下回る結果に終わっている。

結論

 過去10年の優勝馬10頭中9頭が3番人気以内から出ている秋華賞。2〜3着候補は8番人気以内が一応の目安になる。前走はローズS組が好走馬の多数を占めており、特に同レース1番人気馬や連対馬は好走確率が高く、人気薄で連対した馬も侮れない。ローズS以外からの好走馬では、前走上位人気で馬券に絡んでいる馬が中心になる。そして芝2000m優勝実績を持つことも、近年の別路線組に共通する傾向だ。

 今年は各馬とも一長一短、特に1着候補の選定は難しい一戦となった。表1に挙げたように、まず1〜3番人気から選ぶのが妥当で、今年はアエロリット、ファンディーナ、リスグラシューあたりになりそうな下馬評だ。このうち、傾向から穴が少ないのはリスグラシュー。表4でローズS「3着」や「3番人気」を個別に見ると勝ち馬が出ていないのは気になるものの、大きく「4番人気以内」「4着以内」と見れば問題ない。道中の位置取りも桜花賞やオークスくらい、前走より少し前で運べれば好走馬の多い「中団」になる(表3)。ただ、仮に3番人気以内を外すと、1着候補としては評価が下がる点には注意したい。

 4番人気以下が予想されても優勝は可能と考えるなら、まずは昨年2頭が好走した紫苑S組から、優勝馬のディアドラ。同レース1番人気1着で、芝2000m優勝実績もクリア(表8)。差し脚質も好材料だ。もし3番人気以内に食い込めば一気に優勝候補筆頭格まで浮上する。

 その他では、ローズS組は連対馬の成績が良く(表4)、4番人気以下のワンツーだった年でも、どちらか1頭は2着に入っているため(表5)、今年のラビットランカワキタエンカも侮れない。ただ、ローズSで5番人気以下だった馬から優勝馬が出ていないことは(表4、7)、今回の人気とあわせて気になるところで、2〜3着候補という色合いが強くなる。

 なお、上位人気が予想されるファンディーナは、ローズS1番人気(表4)や、同レース馬券圏外でもフラワーC好走実績を持つ点は好材料(表6)。ただし、ローズS6〜14着馬はまったく好走がなく(表4本文)、6着馬だけ見ても【0.0.0.6】。トールポピー(10着)、マルセリーナ(7着)、ローブティサージュ(11着)、レッドリヴェール(6着)と、G1優勝実績馬ですら掲示板外敗退を喫している。

 そしてアエロリットは、クイーンSを2番人気で制してきた点は良いが(表8)、2000m未勝利馬は別路線組過去5年の好走馬6頭中1頭のみ。加えて中10週になってからのクイーンS組は、すべて人気を下回る結果に終わっている(表8本文)。また、本文では触れていないが、関東馬は過去10年連対率5.2%止まり(関西馬15.7%)。特に美浦で追い切られた関東馬は昨年1番人気10着のビッシュなど、馬券圏外が続いているのも不安材料だ。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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