U-17日本、フランス戦はスコア以上の完敗 ほろ苦い経験を“いいレッスン”に
くじかれた日本のゲームプラン
「高温多湿」のグワハティ。日本のゲームプランはこれを利用して相手を追い詰めるというものだったが…… 【佐藤博之】
E組の第2戦までの会場であるインド北東部の都市グワハティは、東南アジアにも近い気候で、その様を一言で表してしまうと「高温多湿」。汗がまるで蒸発してくれないため、プレス席でじっとしているだけの記者陣もシャツがびっしょりと濡れていく嫌な感覚を味わいながらの観戦となる。とにかく暑い。記録上の湿度は78パーセントながら、風もないため、体感湿度はもっと高い。ピッチ上で激しく動いて戦う選手たちにとっては、当然ながら小さからぬ負荷だった。
日本のゲームプランはこれを利用してフランスを追い詰めようというもの。「前半からボールを動かして相手を疲れさせる」(MF奥野耕平=ガンバ大阪ユース)という狙いで、ボールをしっかり保持することを意識しながらの試合運びであった。だが、これに対してフランスは強度のメリハリを付けながらのプレッシングで、日本の意図をくじきにかかる。奥野と平川怜(FC東京U−18)の両ボランチを厳しくケアして自由を与えず、中盤で日本のパスワークを引っ掛けての高速カウンターからゴールを狙い続けた。「回させられていた」とはFW宮代大聖(川崎フロンターレU−18)の弁だが、ボールは支配していても、試合を支配している感覚は持てない45分だったのは否めない。
前半は攻守でリズムが作れぬまま終了
前半13分、これまで多くのチャンスを作っていたU−17欧州選手権得点王のグイリ(9番)に先制点を許す 【佐藤博之】
以降もフランスは日本にボールを持たせつつも、気持ち良く動かすことは許さない。日本を侮る空気感は皆無で、最大限に日本をリスペクトしながら、こちらの長所を消しにきた。15年にフランスホームの試合(バル・ド・マルヌU−16国際親善トーナメント)で日本が3−2と勝利したことは、日本側に自信というアドバンテージをもたらしたが、フランスが己を引き締める材料となった印象もある。堅実に分厚いフランスの対応を前にして、日本の打つ手は乏しかった。
加えて、フランスが素早い攻守の切り替えから繰り出す速攻は、確実に日本の体力を削り取った。フィジカル的な強さやサイズに優る相手との競り合いを連続してこなすことでも体力は奪われていく。「こんなに強度の高い試合は初めて」と漏らしたボランチの奥野は、「相手のカウンターで縦に走らされて、疲れさせられてしまった」と振り返る。前半は攻守でまるでリズムがつかめぬまま、ハーフタイムを迎えることとなった。