【スターダム】無冠転落でも前を向く岩谷麻優「きちんと治して復帰します!」
2本のベルトを2日間で失い、左ヒジ脱臼で欠場となった“スターダムのアイコン”岩谷麻優。現在の心境は? 【スポーツナビ】
今年6月の後楽園大会で、ワールド・オブ・スターダム王者だった紫雷イオを下し、団体史上初のワールド&ワンダー・オブ・スターダムの二冠王者となり、名実ともにスターダムの頂点に立った。宝城カイリ(現カイリ・セイン)の退団、紫雷イオの長期欠場(6月〜8月)と“3本柱”が欠ける中で、1人奮闘し団体をけん引していく存在にもなった。
そして新しいチャンピオン像を求めるべく、2日連続で赤&白ベルトの防衛戦を行ったが、9月23日大阪大会では美闘陽子に敗れワンダー王座を失うと、翌日には前述したケガによりトニー・ストームへとベルトが移動。無冠になったと同時に、長期欠場というどん底に落ちる結果になった。
今回スポーツナビでは、そんな失意の中にいるであろう岩谷に、現在の心境を聞いてみた。
ケガの瞬間は人生で一番痛かった
いつも出している技だったが、偶然ロープにかかってしまい、手を強くついてしまう結果に 【写真:前島康人】
以前、鼻を折ったことはあるんですけど(2012年、練習中に鼻骨を骨折)、それは1カ月で治って、大会も数回休む程度でした。だから、ここまで大きなケガで欠場は初めてです。
――どんな状況でのケガだったのでしょうか?
いつも試合でやっている、相手がロープにもたれているところへの低空ドロップキックを狙ったのですが、トニーによけられて、ロープに足が引っかかってしまって。その際にロープの反動もあって、手を強くついてしまいました。
――ケガの瞬間は?
もう痛くて、やばかったです。これは「やったな」と。人生で一番痛かったです。ただ、「痛い、ヤバイ」と思いつつも、レスラーの本能なのか「試合をやらなきゃ」って思ったんです。でも、本部席にいた風香GMが大声で、「うわー、骨が!」って叫んで。それでゴロゴロ転がって場外に逃げたんですけど、ちょうど本部席が目の前で、第1声の「骨がー」というのが聞こえたので、「え、なにごと?」と思って自分のヒジを見たら変形していて、これは「やっちゃった」と。そうしたら、レフェリーが降りてきて、試合を止めてもらった感じです。最初はもうパニックで、「痛い痛い」というのと、「ヤバイ、これどうしよう」という気持ちでいっぱいでした。
ケガをして一番の心配事は……
ケガの直後は悔しい気持ちをひきずったが、「ここから新しい岩谷麻優のストーリーが始まる」と考え、気持ちも楽になったと話す 【スポーツナビ】
なんでこんなタイミングで、ケガをしちゃったんだろうと……。
――「こんなタイミング」というのは?
自分がやっと何年もかけて、団体のトップのベルトを巻けたのに、なんで今なんだろうと。今まで大きなケガをしたことがなかったので、本当に悔しい気持ちでいっぱいでした。
――その気持ちは引きずった?
名古屋でケガをして、名古屋から東京に帰ってくるまでは、ずっと涙が出ていました。SNSで「ケガをしてすいません」と報告したら、みんなが温かいメッセージをくれて、それを読んで悔しい気持ちや申し訳ない気持ち、情けないというのがあって、すごい涙が出ました。それでも数日経ってから、「これは逆にチャンスだな」と思うようにしています。ここからまた復帰して、ベルトを獲ったら、これこそ真のチャンピオンだと。新しい岩谷麻優のストーリーが、ここから始まっていくんだと考えたら、ちょっと気持ちは楽になりましたね。
――もうこれより下はないから、また上ればいいと?
そうですそうです! 本当にどん底まで落ちました。心ない言葉もあって、そういうのを見て心にダメージを負っていたときは、すごいドーンと来て、本当に何日間はきつかったです。
――でもそこから考えを直して、これからまた新しいストーリーを切り開きたいと。
今は本当に早く治すことしか考えられないです。普通に歩いていても、1回1回(ヒジの関節が)抜けてしまう感覚があるんですよ。もしかしたら骨がこすれているだけかも分からないのですが、歩くたびにひじがゴキッゴキッとずれていて、ちょっと怖いです。それにヒジはくせになりやすいと聞くので、そうならないように気をつけたいです。
あとは……ギブスが臭いんです! 明日からちゃんとしたギブスを指先から肩までガッチリする予定なのですが、これを1カ月間やり続けるので、今でさえ臭いのに、1カ月もとなったら……。それが一番怖いです。恐怖心があります(苦笑)。