U−17日本、初戦大勝も目指すはその先 準備と地力、タレントがかみ合った完勝劇
“00ジャパン”はU−17W杯の初戦に6−1で大勝。重要な初戦を白星で飾った 【佐藤博之】
10月8日(現地時間、以下同)、森山佳郎監督率いる日本代表は、北中米カリブ海地区代表のホンジュラスと、市の中心部から少し離れた場所に位置するインディラ・ガンディー陸上競技場にて対戦。右MFとして先発した中村敬斗(三菱養和SCユース)のハットトリック、FW久保建英(FC東京U−18)の1得点1アシストなどで、6−1の大勝を収めた。「思ってもいなかった点差」(森山監督)で、日本は重要な初戦を白星で飾った。
セットプレーから先制、前半でほぼ勝負を決める
日本のスターティングイレブン。序盤は少し硬さもあったが、最初の15分を大過なくやり切った 【スポーツナビ】
戦術的にもスカウティング通りだった。ホンジュラスは日本の「心臓と肺」と言うべきボランチの2枚、平川怜(FC東京U−18)と福岡慎平(京都U−18)にマンツーマンマークを付けて呼吸を止めにきたのだが、これは想定内。変に“自分たちのサッカー”を意識して、いつもの感覚でこの2人にボールを集めていたら相手の思うツボになった可能性もあるが、「(ボランチのところを)ハメようとしてきたけれど、FWの前のスペースが空いていた」(福岡)と冷静に相手の対応を見ながら、ロングボールも選択。センターバック(CB)に左足の名手であるDF小林友希(神戸U−18)のような選手を置いている強みも生かし、シンプルな展開を使ってホンジュラスの狙いを外した。
そして何より大きな勝因は、やはり先制点だろう。リスクを避ける流れの中で、攻撃に関しては「あまりいい時間帯ではなかった」(久保)が、サッカーにはそういうときにこそ重要になるシチュエーションがある。セットプレーだ。前半22分、右サイドからのCKで久保が狙ったのは、ゾーンディフェンスで守るホンジュラスの隙間。高速低弾道から落ちてくるボールに対し、うまくポジションに入り込んだ中村がヘッドで合わせる。180センチの長身ながら「あまりヘディングで決めることがないのに」と笑った中村だが、速いボールへ巧みに合わせたこのヘッドはパーフェクトで、日本に待望の先制点がもたらされた。
日本は前半終了間際にも久保(中央)が「得意なコース」であるニアハイへ目の覚めるような左足シュートを突き刺す 【佐藤博之】
その後、36分にGKの不用意なキックミスからホンジュラスに与えたCKを決められてしまったものの、43分にMF上月壮一郎(京都U−18)のスルーパスを受けた中村が3度目のゴール。FIFA(国際サッカー連盟)主催の男子国際サッカー大会で日本人初のハットトリックを完成させ、試合の流れを渡さない。日本は終了間際の45分にも中村のパスから久保が「得意なコース」であるニアハイへ目の覚めるような左足シュートを突き刺し、日本が前半でほぼ勝負を決めてみせた。