【全日本プロレス】史上最多の三冠王座戴冠を狙う諏訪魔 宮原戦、防衛戦、全日本の未来を語る

高木裕美

本当に実力がある選手がチャンピオンになる

若い選手からベテラン選手まで、バラエティーに富んだ選手層が集まる全日本。その中で本当に実力がある選手がチャンピオンになる 【スポーツナビ】

――また、石川選手とは、4.16後楽園でのチャンピオン・カーニバル公式戦(13分48秒 バックドロップホールドで諏訪魔勝利)、7.17後楽園での三冠戦(19分37秒 ジャイアントスラムで石川勝利)、9.23仙台での王道トーナメント決勝戦(16分54秒 バックドロップホールドで諏訪魔勝利)と、今年3回対戦しています。やはり、戦うことで通じ合う部分というのはありましたか?

 それは一番あるね。ぶつかり合うことで、見えないところが見えてくる。ただ、このタッグがどうなるのか、まだ本格始動していないからね。この先、何が起きるか分からなくなっちゃうんじゃないかな。まったく先が読めないのも面白い。オレたちで、若い力はストップさせるべき。宮原も、去年の大躍進から1年経って、もういいだろ。リング上を訳が分からなくするのがオレの役割だから。若い奴らばかりじゃ面白くない。政治もそうでしょ(笑)。対抗がいて、いろんな意見があっていいんだよ。

――現在の全日本マットでは、宮原選手だけではなく、野村直矢選手&青柳優馬選手がアジアタッグ王座を戴冠するなど、若い選手の台頭が目立ってきています。諏訪魔選手も、若手選手の勢いを感じますか?

 感じるし、それはいいことだよね。でも、今までやってきた人間の力がどんどん前へ出てくるのも必要。すべては面白くするためだからね。

――諏訪魔選手も現在40歳ですが、さらに上の世代の秋山準選手、大森隆男選手や、世界的レジェンドのウルティモ・ドラゴン選手、さらにその上の渕正信選手まで、どんどんベテラン勢もタイトル戦線に出てきてほしいですか?

 出てくると思うし、オレも絡んでみたい。やっぱり、長くやっている選手は強いしね。

――他団体にはない全日本マットの魅力の一つとして、選手の年齢層の幅広さというのがあります。イキのいい若手から、円熟味のあるベテランまで、それぞれが持ち味を出しているのが、ファンの支持につながっていると思うのですが。

 オレもそう思う。若い奴らの力というなら、他団体、新日本の選手なんか、すごく派手だしね。でも、全日本はバラエティーに富んでいて、どんな年代もタイトルを狙ってくるのが目が離せない。若い奴でも、ベテランでも、本当に実力のある人がチャンピオンになればいいんじゃない。

藤田との絡みは「もう、時間の無駄」

両国では不完全燃焼となった小島戦。再戦の可能性については、特に語らない 【写真:前島康人】

――横浜での三冠戦の先は、いろいろな戦いが見えてくると思いますが、その中の一つとして、かつての先輩であり、8.27両国大会では納得のいかない形で敗れた(11分15秒 ラリアット)小島選手との再戦の可能性はありますか?

 そうそう簡単に次があるとは思っていない。次にやるなら、50周年、それとも100周年とか、それぐらいでないとやらないんじゃないかな。これからニアミスすることすらないかも。まあ、この世界、何があるか分からないけどね。

――小島選手が全日本を退団した後、6年前の11年11.10後楽園で開催された天龍源一郎選手の35周年記念大会では、6人タッグで対戦(天龍、鈴木みのる、諏訪魔組vs.佐々木健介、小島、太陽ケア組)したこともありました。こういう形での対戦の可能性も、もはやないかもしれないですね。ちなみに、自分からリマッチを要求するつもりはないですか。

 今は全日本を面白くすることしか考えていないんで。

――もう1人、藤田選手についてもお聞きしていいですか。藤田選手とは天龍選手の引退興行である15年11.15両国でタッグマッチで対戦(諏訪魔、岡林裕二組vs.藤田、関本大介組)したものの、まったく噛み合わず、不完全燃焼な内容に終わりました。その後、16年9.25RIZINさいたま大会後、藤田選手に引退報道が出た際には、諏訪魔選手も激怒していましたよね。ところが、ここに来て、10.31後楽園での大仁田厚引退試合の対戦相手として、プロレス復帰の話が浮上し、再びリングに上がる可能性も出てきましたが?

 そこはね、もう、時間の無駄。今は何も触れる気はないですね。

――諏訪魔選手としては、外敵よりも全日本内部に目を向けたいですか?

 面白い奴がいれば、外でも何でも構わないよ。現に石川とも組んでるしね。1年前はそういう考えはなかったけど、今年は外に出て、昔の仲間と絡んだこともあったし。そこにこだわりはない。三冠を賭けて外敵と戦うのもウェルカム。今の時代、何でもありでしょ。他団体とかでも、煙が立てばかみ付きにも行くし、面白くやりたいじゃないですか。

全日本は発展途上 どんどん大きくなる

新日本独走状態のプロレス界の中で、「対抗にならないとダメ」と全日本をさらに盛り上げていくつもりだ 【写真:前島康人】

――もし万が一、9日の三冠戦に敗れた場合、横浜でやりたいことはありますか?

 今は三冠戦のことしか考えてない。それが宮原と戦うモチベーションにもなるし。まずは宮原に勝って、もっともっと全日本を面白くしていきたい。

――全日本プロレスは今年で創立45周年を迎えます。その先の未来について、諏訪魔選手はどうお考えですか?

 会社も新しい商品を作り上げていかないといけないけれど、そんな中で長生きする大木があってもいいと思う。オレが全日本じゃないんで、そこはみんなで作り上げていってほしい。一本筋を通してやっていけば、残っていけると思う。「激しい、強い、これぞプロレス」って団体であってほしいね。

――現在のプロレス界では、新日本プロレスの独り勝ちという状況が続いていますが、全日本も観客動員数など、着実に上昇してきています。

 独占ではなく、対抗にならないとダメ。全日本にはその可能性がある。若い奴も、飛べる奴も、面白い奴もいるし、いまはまだ発展途上だけど、まだまだ大きくなっていけると思う。

――最後に、全日本の元三冠王者であり、現在は頸髄完全損傷によってリハビリ中の高山選手についてもお聞きしたいのですが。

 大変なことになってて、胸が痛いね。

――09年8.30両国大会では、三冠王座を賭けて対戦(26分21秒 エベレストジャーマンスープレックスで王者・高山がV2)しています。

 あの試合がなければ、今の自分はいなかった。いい試合ができなくて悩んでいた時に、あの激しい試合があって、思い切り殴り合って吹っ切れた。高山さんには、元気になってもう1回リングに上がってほしい。同じ神奈川県藤沢市出身、同郷なんで、ぜひ一緒にリングに立ちたい。待っています。何かオレに力になることがあれば協力していきたい。恩人ですから。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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