青木宣親、NYでの“カメオ出演”は成功 「ジャーニーマン」に訪れる未来は!?

杉浦大介

9月に入ってからメッツでプレーする青木宣親。走攻守にわたる活躍を見せ、ニューヨーカーにインパクトを残した 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

「もうちょっとどうにかしたかった。欲を言えば、ですけど。もちろん悪い感じではなかったですが、自分の中でもう少しできるというのは感じています」

 9月27日(現地時間)、今季最後のホームゲームを終えた後のこと――。メッツの青木宣親にニューヨークでのプレーの総括を聞くと、そんな答えが返ってきた。

 あとアウェーでの3戦を残した時点で、控えめな言葉の中に手応えが感じられたのも事実である。9月2日にメッツに拾われるような形で入団して以降、これまでなじみのない存在だった35歳の日本人外野手のプレーを見て、ニューヨーカーもほぼ総じてポジティブな印象を持ったはずだ。

登場曲は「ゴーストバスターズ」

 メッツ入り後の24試合で打率2割8分9厘、7二塁打、13得点。2戦を除くすべてのゲームで出塁し、すぐに打線の上位に定着した。打つだけではなく、途中出場だった25(ダブルヘッダー2戦目)、27日の3打席はすべて四球を選んでチャンスメーク。5盗塁をマークし、外野守備でも球際の強さを披露するなど、本当にさまざまな形で貢献の術を見つけていったイメージが残っている。

「メッツはケガ人があまりにも多く、青木との契約は“とにかく動ける選手が必要”という切羽詰まった状況ゆえにもたらされたものだった。しかし、その後の活躍は印象的だった。打席ではバットに当てる巧さ、走塁時にはスピードを示し、守備でもいくつかのハイライトをつくった。堅実なベテランプレーヤー。今のメッツには不安定な若手が多い中で、貴重な存在になっている」

 2010年からメッツの番記者を務める『MLB.com』のアンドニー・ディコモ記者に意見を求めても、そんな風に総じて好意的だった。

 過去2年はプレーオフに進みながら、今季は故障者続出で低迷したメッツ。本塁打数こそナ・リーグ1位ながら、出塁率は同11位と荒っぽさと経験不足が目立つ打線の中で、青木はいぶし銀の存在感を発揮した。

 打席に立つ際の登場曲に、ニューヨークが舞台の映画「ゴーストバスターズ」のテーマを使用したことも正解だった。1980年代のヒット作という“中途半端な古さ”は、ファン、記者席のメディアたちを思わず微笑ませるのに十分。インパクトのある活躍が必要だった青木にとって、ニューヨークでの1カ月の“カメオ出演”は間違いなく成功だったと言って良い。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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