【新日本プロレス】オメガ、復帰戦でUSヘビー級王座防衛 10.9両国に向けオカダとEVILが前哨戦

高木裕美

左ヒザのケガから復帰したオメガがUSヘビーのベルト防衛に成功 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 新日本プロレスの秋のビッグマッチ第3弾となる24日の「DESTRUCTION in KOBE」兵庫・神戸ワールド記念ホールでは、2大タイトルマッチに加え、10.9東京・両国国技館の前哨戦などが行われ、満員となる5482人を動員した。

 メインイベントのIWGP USヘビー選手権試合では、30分を超える激闘の末、王者ケニー・オメガがジュース・ロビンソンを下し初防衛に成功。次期挑戦者にはYOSHI-HASHIが名乗りを上げ、オメガもしぶしぶ応じた。

雪崩式片翼の天使で激闘に終止符

最後は雪崩式片翼の天使で決着をつけた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 オメガは7月1日&2日の米国ロサンゼルス大会で開催された8人参加のトーナメントを制し、初代王者に君臨。初防衛戦の相手に「G1 CLIMAX 27」公式戦となった8.5大阪でオメガを破ったジュースが決定した。だが、9.5名古屋から開幕したシリーズ初日に、オメガが左膝外側半月板損傷の重傷を負うアクシデントが発生。オメガは急きょその後のシリーズを欠場し、緊急手術、リハビリを行って、強引にこの日のタイトルマッチに合わせて復帰を果たした。

 オメガは膝のダメージを感じさせない動きで、10分ごろには華麗なノータッチトペから青い衝動、リバースフランケンシュタイナー、Vトリガーを繰り出すも、片翼の天使は2発ともジュースが阻止。いよいよピンチに陥ったジュースは、ここで禁断の膝攻めを発動。5分以上にわたり、オメガの左膝を攻め続け、鉄柱を使った足4の字固めや膝へのダイビングヘッドバットを放つ。だが、20分過ぎ、オメガもエプロンから場外への断崖式ブレーンバスターで反撃に転じると、さらにリング上でドラゴンスープレックス3連発。追い込まれたジュースはナックルパートで強引にケニーの勢いを止めると、30分過ぎ、ナックルからパルプフリクションを決めるが、惜しくもカウント2。ならばとコ ーナーに乗せ、雪崩式の一発を狙いに行ったところ、オメガが切り返して雪崩式片翼の天使でフィニッシュ。あまりの衝撃に、ジュースは試合後も大の字になったまま動けなかった。

YOSHI-HASHI「オレのハートはまったく砕けてない」

YOSHI-HASHIが挑戦を表明。オメガは余裕を見せつけ、応じる構えを見せた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ジュースに対し「よく頑張ったな。サンキューベリーマッチ」と日本語交じりで健闘をたたえたオメガは、いつものように「グッドバイ&グッドナイト」とマイクを締めると、観客とタッチを交わしながら退場。バックステージに戻ると、さっそくYOSHI-HASHIが挑戦を訴えるが、オメガは「4484(ヨン・ヨン・ハチ・ヨン)」と数字呼びした上で、たどたどしい英語でアピールしようとするYOSHI-HASHIに「日本語分かるから」と“武士の情け”をかける余裕っぷりを見せ付けた。

 YOSHI-HASHIは「オレは去年、広島のタイトルマッチで負けた。だが、オレのハートは砕けたか? まったく砕けてない」と日本語で再戦を訴えると、オメガは「今のオレには決まってる事もないから、おまえがそんなにこのベルトを狙ってるなら、両国でもいいし、ROHの大会でもいい。オレはどこでも構わない。東京ドームでもいいぞ」と受諾した上で、追い払うために乾杯用のビールをプレゼント。「しっかり練習を積んで、オレに魂を見せてくれ」とハッパをかけると、YOSHI-HASHIがオメガのこめかみに、指で作ったピストルを押し付けるが、オメガはこれを払いのけ、自らのピストルサインを突き立てた。

 両者は昨年の「G1 CLIMAX 26」公式戦初戦となった7.22後楽園ホールで対戦し、YOSHI-HASHIが初公開の新技カルマでオメガに勝利。だが、オメガはこの黒星をバネに快進撃を続け、G1初出場にして初優勝を達成。外国人レスラーとして初の快挙を成し遂げた。その後、9.22広島にて、オメガの持つ「東京ドーム・IWGPヘビー級王座挑戦権利証」を賭けて再戦するも、オメガが勝利。権利証を守り抜いたオメガは今年の1.4東京ドームでオカダ・カズチカのIWGPヘビー級王座に挑戦し、プロレス史に残る激闘を展開。一躍、世界でも注目される存在となった。

 今年のG1でも準優勝という結果を残したオメガに対し、別ブロックであったYOSHI-HASHIは2勝7敗と大幅に負け越し。1年で大きく差が開いてしまった両者だが、このタイトルマッチで、奇跡の逆転となるか。それとも、オメガがさらに防衛記録を伸ばし、新たなるチャレンジャーを迎え撃つか。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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