白熱するプロ野球個人タイトル争い セ・パで投手5冠の可能性は!?

ベースボール・タイムズ

投手5冠も視野に入る巨人のエース・菅野 【写真は共同】

 セ・パ両リーグともに優勝が決まったが、シーズンの全日程終了まで続くのが個人タイトル争いである。投手部門ではセ・パともに一人のエースが独占状態で、打者部門では混戦模様。残り2週間余りとなった2017年タイトルレースの注目ポイントを整理したい。(記録はすべて9月22日終了時点)

セの投手では菅野が突出

 セ・リーグの投手部門では、菅野智之(巨人)の成績が突出している。防御率では唯一の1点台(防御率1.64)で、昨季に続いて自身3度目の同部門のタイトル獲得が確実。加えて、ここまで16勝(5敗)を挙げ、自身初の最多勝も間違いなし(2位が広島・薮田和樹の14勝)。完封数でもリーグトップ(4完封)で、“3冠”確実という状況だ。

 今季の菅野は勝率を見ても7割6分2厘。一昨年に10勝11敗と負け越し、昨季も9勝6敗の勝率6割と、一部で揶揄(やゆ)されていた不名誉な“負け運”を完全に払拭(ふっしょく)したと言える。最多奪三振の部門でも、マイコラス(巨人)の178奪三振に次ぐ2位(167奪三振)で、史上8人目の投手5冠(最多勝、最多完封、勝率1位、最多奪三振、最優秀防御率)の可能性も残している。

 過去、沢村栄治(巨人、37年春)、スタルヒン(巨人、38年秋)、藤本英雄(巨人、43年)、杉下茂(中日、54年)、杉浦忠(南海、59年)、江川卓(巨人、81年)、斎藤和巳(福岡ソフトバンク、06年)という選ばれし者のみが達成した偉大な「5冠」達成。

 奪三振でマイコラスを上回る以上の難関は、現在14勝3敗で勝率8割2分4厘の薮田和樹(広島)の存在。計算上、次回登板で薮田に黒星が付けば、勝率7割7分8厘。菅野が残り8試合の間に2勝を挙げて18勝5敗になれば、7割8分3厘で逆転可能。現在12勝3敗の8割(勝率1位は13勝以上が対象)の田口麗斗(巨人)もいて厳しい状況ではあるが、名実ともに日本のエースとなった菅野が偉大な先人たちに肩を並べられるかどうか、注目の残り2週間となる。

パの最多勝と最多奪三振は混戦

 パ・リーグでは、高卒8年目の26歳・菊池雄星(埼玉西武)が覚醒した。ここまで25試合に登板し、15勝6敗、防御率2.00。防御率はパ・リーグで断トツで、勝利数では16勝の東浜巨(ソフトバンク)と1勝差。加えて、シーズン4完封と208奪三振の2部門でもリーグ最多を誇っている。

 現在3冠の菊池だが、その先の「5冠」を達成するためには、菅野と同じく勝率がネックとなる。現在、勝率7割1分4厘の菊池だが、その上には13勝3敗で同8割1分3厘の千賀滉大(ソフトバンク)、16勝4敗で8割の東浜がいる。残りの日程を考えると登板は最大2試合で、逆転はほぼ不可能だ。また、最多奪三振の部門では、過去3年連続で同タイトルを獲得してきた則本昂大(東北楽天)が現在195奪三振で13個差。楽天の残り試合は最も多い15試合。今年の4月から6月にかけて8試合連続2ケタ奪三振の日本記録を樹立した右腕にとって、逆転は十分に可能だ。

 その他の投手タイトルでは、サファテ(ソフトバンク)がプロ野球史上初となる50セーブの大台に乗せて自身3年連続のセーブ王が確定。セ・リーグでは、35セーブのドリス(阪神)を、33セーブの田島慎二(中日)が追っており、ともに自身初のセーブ王を目指している。また、最優秀中継ぎでは、マテオ(阪神)が42HP、桑原謙太朗(阪神)が41HPと同一チーム内での一騎打ち。パ・リーグでは岩嵜翔(ソフトバンク)が球団新の45HPで2位の森唯斗(ソフトバンク)とシュリッター(西武)に12ポイント差を付けてトップに立っている。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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