森山監督「逞しく戦える選手を選んだ」 U-17ワールドカップ メンバー発表会見

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U−17W杯に臨む日本代表のメンバー発表会見に臨んだ森山監督 【スポーツナビ】

 日本サッカー協会は9月22日、都内で記者会見を行い、10月6日に開幕するU−17ワールドカップ(W杯)に参加するU−17日本代表メンバー21名を発表した。

 AFC U−16選手権で主力としてプレーした久保建英、平川怜(共にFC東京U−18)、福岡慎平(京都)らが順当に選出された。

 5月に行われたU−20W杯に飛び級で選出された久保に関して、森山佳郎監督は「U−20(W杯を)経験して貴重なものを注入してくれています。U−20では得点も取れなかったし、かなり悔しい思いをして帰ってきたので、この大会に期する思いはかなり強いと思う」とチームの中心選手として、U−17W杯でのリベンジに期待を込めた。

 グループEの日本は8日にホンジュラス、11日にフランス、14日にニューカレドニアと対戦する。

上下何世代の中で一番、国際経験を積むことができた

U−17世代に関して「どことやっても物おじせずに戦えるというのがこの子たちのたくましさ」と胸を張る 【スポーツナビ】

登壇者:
森山佳郎(サッカーU−17日本代表 監督)

 皆さん、こんにちは。本日はお忙しい中、ありがとうございます。こんなに(報道陣が)たくさんいらっしゃると思わなかったので、少し驚いています。いよいよ来週の水曜(27日)から御前崎(静岡県)で合宿、トレーニングマッチをして、10月2日に(W杯の開催地であるインドへ)出発します。2年半かけて準備してきた最後の発表会というか、ここで選手たちの力を思う存分に発揮させてあげたいなと思っています。

 インドで行われたアジアの最終予選(AFC U−16選手権)で出場権を得まして、年末にチリ、米国、アフリカのギニア、ヨーロッパのスペインと4大陸すべてに遠征に行き、いろいろもまれながら、最後は本番さながらにインターナショナルドリームカップ、新潟国際ユース、最後はチェコの……難しい大会名(=バツラフ・イェジェク国際ユーストーナメント)で言えませんが(笑)、3大会連続で優勝することができて、良い状態で(臨める)。

 特に、メキシコ、米国と、優勝候補と目されるチームに勝利することができて、自信を深めることができたのはプラス材料でした。あとは、大会直前に米国のエースが始まって30秒で負傷退場したこともあり、4−0で勝ってしまったことで、マークされてしまう部分はあるのかなというのは、マイナスではないですが、厳しくなるのかなという心配材料です。

 ただ、ゲームをやっていく中で、選手の国際経験という意味では、上下何世代の中で一番、積むことができた。どことやっても物おじせずに戦えると言うのが、この子たちのたくましさです。今回の選考においても、インドという環境、芝もきれいに生えそろっていないことが予想されます。そして大会中も6会場それぞれが、かなり距離が離れていて、1回の移動で6時間かかり、乗り換えも飛行機という状況です。2戦目以降はおそらくそれを毎試合やり、さらに中2日の試合ということで、かなり精神的にも肉体的にも厳しい、追い込まれる状況が考えられます。その中で、たくましく戦える選手を選考しました。

<メンバー21名>
GK:
梅田透吾(清水エスパルスユース)
谷晃生(ガンバ大阪ユース)
鈴木彩艶(浦和レッズジュニアユース)

DF:
池高暢希(浦和レッズユース)
監物拓歩(清水エスパルスユース)
菅原由勢(名古屋グランパスU−18)
小林友希(ヴィッセル神戸U−18)
山崎大地(サンフレッチェ広島ユース)
馬場晴也(東京ヴェルディユース)

MF:
奥野耕平(ガンバ大阪ユース)
平川怜(FC東京U−18)
鈴木冬一(セレッソ大阪U−18)
椿直起(横浜F・マリノスユース)
福岡慎平(京都サンガF.C. U−18)
喜田陽(セレッソ大阪U−18)
上月壮一郎(京都サンガF.C.U−18)

FW:
山田寛人(セレッソ大阪U−18)
宮代大聖(川崎フロンターレU−18)
中村敬斗(三菱養和SCユース)
久保建英(FC東京U−18)
斉藤光毅(横浜FCユース)

菅原はどのポジションも高いレベルでこなせる選手

 まずはGKから。梅田は彼が唯一、初招集です。ずっと呼んでいた青木心(JFAアカデミー福島U−18)の負傷もありましたが、梅田もずっと前からマークしていた選手です。夏前のタイミングでは、けがをしてしまい呼ぶことができなかったのですが、プレミアリーグでも首位を走っているチームで、かなり安定した力を発揮してくれている選手。順当といえば順当です。

 谷は、このチーム結成以来ずっと1番を背負ってきています。将来を嘱望されている選手で、ガンバでもトップチームでルヴァンカップではサブに入ったり、練習にも参加している選手です。鈴木彩は1人だけ02年(生まれ)の選手です。ここで呼んでしまうので、次のアジア最終予選(=AFC U−16選手権2018予選)には出られないのですが、そういうことを差し引いても、できるだけ上でチャレンジさせたいということで、将来性豊かな選手です。1人だけ中学生です。

 DFです。池高は、最近チームでFWをやっていたりしますが、代表では右サイドバック(SB)でやってもらっています。守備で課題はあるのですが、本当に物おじしないと言うか、相手がどんな相手でも全然ビビらないし、推進力のあるSBです。監物はしばらく代表に招集しなかったのですが、最終的には高さや、左利きでスピードもあり、必要になるのではないかなと。高さもあり身体能力の高い選手に対しても、やってくれるのではないかなと思います。性格的に少し優しすぎる部分もあるのですが、そこをもう1つギアを入れてくれれば、本当に楽しみな選手です。

 菅原はユーティリティープレーヤーというか、おそらく大会では右SB、左SB、センターバック(CB)などかなり動いてもらわないといけないと思います。大会直前にけがをしたという情報が入って、こいつが抜けたら一番やばいんじゃないかなと思ったほど隙間を埋められる、どのポジションでも高いレベルでこなすことができる選手です。

 小林もしばらくけがで呼んでいなかったので、本来の調子を出してくれるのか少し不安なところはあるのですが、185センチあって左利きの選手で、彼と瀬古(歩夢)がいれば日本のCBは安泰だなと思っていたところ、瀬古がけがで呼べなくなってしまった。小林もけががちで不安なところですが、彼がいてくれれば1対1の強さも含めて、外国人相手にもフィジカル的にも十分に通用するので期待しています。

 山崎も最後の最後で滑り込みました。1年ちょっと前に前十字靭帯を断裂して長らく戦列を離れていましたが、今はプレミアでトップ争いをしている広島で、ここ数試合、スタメンフル出場できていますし、瀬古がいない中、代わりを務めてくれるのではないかと思っています。彼は3バックの真ん中でロングフィードが得意な選手で、そういう意味でもオプションというか、彼を入れた中で戦術的な変更が可能になるのではないかなと思います。あとは、広島ということもあって、ムードメーカー的な役割も担ってくれます。

 馬場はシンデレラボーイのようなもので、ヴェルディでもあまり試合に出ていなかったのですが、僕がたまたま関東U−16トレセンリーグという国体の関東予選を兼ねている大会を見に行ったときにボランチをやっていて、ボールを奪うのがうまい選手だなと思って見ていました。そして1個下のU−16で欠員が出て、守備的なボランチがほしかったので呼んでみました。いきなり国際試合のボランチは難しいかなということでCBで守ることだけに集中させたら、かなりこちらの要求にも理解を示して、高いレベルでこなしてくれました。3回続けて呼んで、今ではヴェルディでもCBとしてレギュラーをつかんでやってくれています。瀬古がいない中、彼がCBとして計算がつけば、菅原をSBに回すこともできて、サイドの攻撃の厚みが増すということで、彼の役割も非常に重要になってくると思います。

平川の出来がチームの鍵を大きく握っている

 続いて中盤です。奥野は派手さはないがリーダーシップがあり、守備のボールを奪うところに特徴があります。そつなく当たり前のことを当たり前にできる選手です。平川はこのチームの心臓です。彼が攻撃の方法を決めるというか、外国人を相手にして「シンプルにやれ」と言っても、ぐいぐい自分で持ち運んで決定機を作ってしまう。彼の出来はこのチームの鍵を大きく握っていると思います。

 鈴木冬一は、チームではサイドハーフで、代表でもサイドハーフでしたが、ここのところは左SBでチャレンジさせてみたら、まあまあだった。守備力もあって、中盤よりも後ろからフリーでするする上がっていき、攻撃的にも面白かった。得点がほしい時にSBで投入するか、あるいは中盤でPKを奪えるような、1人でぐいぐいいける選手なので、相手に引かれて打開策がないときなどに、ペナの中に入って仕掛けていけるというのが彼の持ち味です。

 椿もソロでドリブルができる。中盤でのコンビネーションはまだまだ課題がありますが、単独で縦に突破したりと力があり、スーパーサブ的な役割になると思う。もちろんスタート(からの出場)も考えていますが、「最後の15分で何かを起こしてこい」という重要なカードです。福岡はこのチームで1次予選からキャプテンを任せていて、信頼できるチームの精神的支柱です。さぼることなく最後までチームのために走って体を張る選手。心強いキャプテンです。

 喜田はけががちでなかなか呼べない時もありましたが、菅原に負けず劣らずのユーティリティープレーヤーです。SBもボランチも両サイドハーフもできるし、FW、CB以外ならどこでもできる。対戦相手やチーム状況によって、いろいろなポジションをやってもらわなければいけない選手。体重が60キロぐらいと体は細いですが、それを補うほどの賢さがあり、将来が楽しみな選手です。上月は最終予選から当分呼んでいなかったのですが、ここ1〜2カ月でぐいっと伸びてきた選手。W杯に間に合ってくれたなという思いです。特にこの1〜2カ月の成長ぶりは目を見張るものがあり、縦の推進力や、守備のスイッチを押せる選手。フィジカル的にも海外の選手と張り合えるので、楽しみです。

 FWです。山田も腰を痛めてかなり戦列を離れていましたが、FWの中で一番身長があり、その中でもスピードがあって器用な選手ではないですが、相手の背後に走り込んだり、力強いドリブルでシュートまで持ち込める力を持った選手です。宮代はこのチームではエース格というか、1トップでも2トップでも、ずっと中心としてやってくれていました。彼の良いところは、相手が強ければ強いほど、「やっぱり決めるのはこいつか」というふうに頼りになる選手です。中村選手もここ1〜2カ月で伸びてくれた選手。FWの起用もあるし、右サイドハーフをやったりもしています。縦に突破ができるし、右足のシュートのパンチ力は一番ある。彼のシュート力のおかげで、周りの選手もシュートを意識しています。

 久保はU−20でW杯を経験して、貴重なものを僕らのところにまた注入してくれています。帰ってきてからすぐに大会に参加した感想を話してくれて、素晴らしい話をしてくれました。U−20(W杯)では得点を取れなかったし、かなり悔しい思いをして帰ってきたので、この大会に期する思いは強いと思います。U−20の活動もあって、ずっと呼んでいませんでしたが、チェコ(遠征)で合流して、すぐに入って攻撃のアクセントになってくれました。

 斉藤は彼だけがまだけがをしている状態です。インターナショナルドリームカップで優勝した時にMVPと得点王を獲り、U−17の合宿にも2回ほど呼んで、急激に成長している段階だったのですが、この夏に鎖骨を折ってしまい、まだ安静にしている状態です。御前崎の合宿でどの程度プレーが可能な状況なのかを見たいと思っています。グループリーグの2戦目、3戦目ぐらいでプレーが可能なら連れていきますし、難しければ差し替えも考えているという状況です。ただ、僕らスタッフの中でも、けががある状態でも連れていき、雰囲気を味あわせたい選手ではあります。

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